昭和53年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

2 我が国からみた通信・情報関係交流状況

 世界の情報化の進展は,各国ごとの努力だけでなく,経済・文化の両面にわたる人的・物的国際交流の拡大によってもたらされるものである。情報化の進んでいる我が国は,国際交流がひん繁に行われており,これを支える通信・情報の分野も交流が活発となってきている。以下では,交流度を表すと考えられるものの出入状況と国際通信量の状況を概観してみる。

(1) 通信・情報関係出入状況

 52年の通信・情報の分野において国際交流に貢献したと考えられるものについて,その「出」と「入」の合計を100%として,「出」及び「入」の比率を示すと第1-2-6図のとおりである。
 これをみると,外国郵便物数,国際電気通信量,国際テレビジョン伝送時間,映画用フィルム(現像済み)及び書籍・雑誌点数の言わば通信・情報量は,「出」が平均46.0%,「入」が平均54.0%と,「出」及び「入」のバランスはほぼとれている。
 また,情報化を高めると考えられる通信機器台数,通信ケーブル,コンピュータ台数(中央処理装置)テレビ受像機台数,ラジオ受信機台数,テープレコーダ台数及びタイプライターの機器等をみると,圧倒的に「出」が多く,コンピュータを除いた「出」は94.5%となっているが,情報化を飛躍的に進展させるコンピュータについては「入」が95.8%となっている。
 一方,通信・情報量の地域別交流状況は,第1-2-7図に示すとおりであり,「出」はアジア39.2%,欧米40.8%,その他20.0%とおおむねバランスのとれたものとなっているが,「入」はアジア18.4%,欧米75.1%で交流というよりむしろ一方通行となっている感がある。特に,テレビ伝送,映画,書籍,雑誌といった文化面において我が国の情報交流をみると,「出」ではアジア41.4%,欧米33.2%に対し,「入」では欧米84.2%であり,アジアへ大半が流れ,ほとんどが欧米から入るという構造になっている。
 次に,通信・情報関係機器等からみた各地域における情報化貢献状況は第1-2-8図のとおりであり,電話機及び通信ケーブルといった基礎的なものについてはアジア及び中近東の比率が高く,両者合わせてそれぞれ67.7%,73.6%を占めており,特に,中近東の17.9%,26.9%が注目される。また,テレビ受像機,ラジオ受信機及びテープレコーダについては,北アメリカがそれぞれ45.6%,37.8%及び31.0%を占めて最も多く,更に,テープレコーダでは中近東の15.1%が,タイプライタではヨーロッパの40.7%が注目される。

(2) 我が国の国際通信量

 我が国の国際通信は,経済の高度成長に伴う活発な貿易活動に支えられた通信需要と39年の太平洋ケーブル開通に始まる通信回線の広帯域化とがあいまって飛躍的な発展を遂げ,52年度における通信量は,外国郵便2億1,641万通(個),電報447万通,電話1,203万度,加入電信2,340万度に達し,特に国際電気通信量については42年度に比べて約5倍の取扱量となっている。電報,電話及び加入電信について利用者別にみると,各サービスともほとんどが企業等による業務用通信であり商工業が最も多いが,電話においては個人の割合が14.3%と高く,海外旅行者や滞在者の増加に伴い大衆化が進んでいる(第1-2-9図参照)。また,対地別にみると,第1-2-10図に示すとおり,52年度においては電報,電話,加入電信ともアジアが第1位を占めており,特に,電報及び電話については50%以上を占めている。これは,10年前の42年度に比べ我が国とアジアとの関係が格段に緊密化したことを示している。
 一方,通信量(発信)を世界の中でみると,1976年度において外国郵便は第17位,電報は第6位,電話は第19位,加入電話は第8位となっており,アジアの中では,外国郵便が第1位をインドに譲るものの,そのほかは首位を占めて最大の国際通信取扱国となっている。欧米諸国間における国内長距離通信的な国際通信を考慮すると島国である我が国の国際通信量は相対的に大きいと言える。
 次節以下では,これまでみてきた世界の情報化の動向や我が国における通信・情報関係交流状況を念頭に置きながら,各国がどのような課題を抱え,情報化社会の進展への努力を行っているかについて多角的に見ていくこととしたい。

第1-2-6図 通信・情報分野における交流状況

第1-2-7図 通信・情報量の地域別交流状況

第1-2-8図 通信・情報関係機器の地域別交流状況

第1-2-9図 国際電気通信業種別利用構成の推移(1)

第1-2-9図 国際電気通信業種別利用構成の推移(2)

第1-2-10図 国際通信量の対地別分布

 

 

第1部第2章第1節1 世界の情報化の動向 に戻る 第1部第2章第2節1 郵便の現状と将来への模索 に進む