昭和53年版 通信白書

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4 今後の課題

 我々は,世界の情報化の動向,諸外国の通信事情,通信政策の進展状況及び我が国の通信をめぐる諸情勢について述べてきた。これをみると,諸外国の抱える問題と我が国における問題点が共通のものであり,世界の通信の発展には国際間の協力が不可欠のものであることが分かる。我が国は,従来から世界における通信の発展に積極的に取り組んできたところであるが,今後,どのような課題が考えられるであろうか。
 まず第一に,現在,通信の分野では郵便事業の経営悪化,通信料金制度の在り方など通信の将来をも左右する問題が数多く生じているが,これらは,我が国特有の問題ではなく,世界各国においても懸案となっている共通の政策課題でもある。したがって,今後,各国との情報交換あるいは人的交流を密にし,共通課題を協力し合って解決して行くことが必要である。
 第二に,近時における通信の発展は,技術革新,特に電気通信技術の飛躍的な向上によるところが大きい。この技術の進歩に支えられ,我々は総合情報端末への道を歩み始めており,キャプテンシステムに象徴される新しいメディアが開発されつつある。ここで特徴的に言えることは,従来型のマス情報を受けつつも,個別的な情報を選択して得ることも可能となるということである。現在,我が国を含め各国において,国民生活の向上を図るべく通信技術の研究が進められているが,更にこれを推進するとともに互いに協力し合い,その成果を分かち合うべきである。
 第三に,世界は今,海底ケーブルや通信衛星によって結ばれ,国際通信は,社会体制や国情の異なる国々を結ぶパイプの役目を果たしており,国際社会の一員として生き,そこに名誉ある地位を占めたいと願う国にとっては,その発展は不可欠のものとなっている。これはとりもなおさず世界の平和と協調と相互理解をもたらすものであり,そのためにもグローバルな通信網の建設を更に推進しなければならない。
 第四に,各国が通信を通じて発展するには,その通信水準が同等のものとなっていなければならないが,開発途上国の国内通信網は先進諸国のそれに比べて著しく遅れ,むしろ格差が拡大する傾向にあり,世界における通信の二重構造化が進んでいる。経済的にも,技術的にも世界の先進グループに属する我が国としては,円滑な国際交流を推進するためこれら開発途上国の通信基盤確立,特に国内通信網の建設と通信機器の普及に絶大の協力を行う必要があろう。
 国際社会に生き,各国との相互依存関係が強い我が国としては諸外国との交流を活発に行って相互理解を深め,足らざるところを協力し合って補うことによりその発展を確固たるものとすることができよう。

 

 

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