昭和53年版 通信白書

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第4節 事業経営状況

1 国内公衆電気通信事業

(1) 電電公社関係

 52年度の事業収入は,52年4月からの料金改定の本格実施により,前年度の事業収入を35.9%上回ったが,一般加入電話の新規需要が予定を大幅に下回ったことによる減収要因も無視し得ないものとなった。52年度における一般加入電話の販売は,当初2,200万加入として計画されたが,厳しい経済情勢の影響などから,加入電話の新規需要が減少し,一般加入電話増設数が大幅に下回る見通しとなったとして,第2次補正予算(53年1月成立)において当初予算を40万加入減補正(補正後計画180万加入)することになり,更にその実績は133万3千加入にとどまった。
 収支状況は,このような加入電話新規増設の落ち込みにもかかわらず料金改定による増収によって4,390億円の黒字となり,49年度1,753億円,50年度2,812億円,51年度1,425億円という引き続く赤字決算から一転した収支改善状況を示すところとなった。
ア.収支状況
 52年度の電電公社の決算は総収入3兆4,036億円,総支出2兆9,646億円となり4,390億円の黒字決算となった。
(ア) 事業収入
 52年度の事業収入は3兆3,713億円となり対前年度比で35.9%の伸びとなった。
 内訳について概観すると,まず事業収入の91.0%を占める電話収入は3兆667億円で対前年度実績比37.1%の増となり,1加入当たりの電話収入は50年度の5万7,336円,51年度の6万3,828円に対して8万4,199円とかなりの伸びをみせた。
 公衆電話料は1,093億円で対前年度比11.6%増となり,1公衆電話当たり収入は14万5,397円と対前年度比4.6%増となった。
 電信収入は730億円,対前年度比51.9%の増となり,専用収入は1,529億円(うち,データ通信収入926億円,対前年度比24.8%増)対前年度比17.3%の増となった。雑収入は787億円であった。
(イ) 事業支出
 52年度の事業支出は9.48%(定昇込み)のベース・アップと利子負担等の増大により対前年度比10.8%の伸びとなった。各費目の構成比は,直接事業費48.9%(うち人件費34.6%),資本費用45.9%(うち減価償却費31.8%),業務委託費3.9%,諸税公課1.3%となっている。直接事業費は対前年度比13.2%増加し1兆4,158億円,資本費用のうち減価償却費は,対前年度比9.9%増加して9,215億円,金融費用(利子及び債券取扱費と債券発行差損償却費)は対前年度比10.2%増加して4,076億円となった。
 事業収支率は52年度は85.9%となった(第2-2-20表参照)。
 なお,過去5か年の事業収入,事業支出の内訳は第2-2-21〜22表のとおりである。
イ.資産及び負債・資本の概況
 電電公社の52年度決算における貸借対照表の概要は第2-2-23表のとおりであり,固定資産額7兆173億円(有形固定資産額は6兆9,099億円),固定負債は5兆2,601億円(うち電信電話債券が5兆1,758億円),また,資本勘定は5,861億円増加し,2兆1,054億円となった。
ウ.資金調達状況
 電電公社の建設投資及び債務償還に要する資金は,内部資金(減価償却費,債券発行差損償却費,収支差額からなる。)と外部資金(設備料,受益者債,財政投融資,特別債・長期借入金からなる。)とから構成されているが,その構成比は第2-2-24図のとおりであり事業収支の改善により内部資金比率の高まりが見られる。
エ.経営比率
 過去5か年の総資本純利益率,総資本回転率は第2-2-25表のとおりであり,52年度はいずれも相当の向上を示している。

(2) 有線放送電話事業

ア.事業収支状況
 52年12月から53年3月までの間に事業年度が終了した980施設の収入総額は219億円で,1施設当たり2,230万円であり51年度の収入総額231億円に比べ5.5%の減,1施設当たりでは4.9%の増となっている。
 52年度の収入のうち,利用料は収入総額の72.1%を占めており,ほかに,接続手数料2.8%,放送料3.2%,雑収入9.1%,運営費補助金3.4%,繰入金9.3%となっている。
 支出については,総額220億円で,1施設当たり2,245万円であり,51年度の支出総額235億円に比べ6.5%の減,1施設当たりでは3.8%の増となっている。
 52年度の支出のうち,人件費が52.1%と最も多く,以下物件費25.6%,減価償却費14.1%,支払利息5.3%等となっている。
イ.規模別事業収支状況
 有線放送電話は,農林漁業地域における通信メディアであるので地域社会の状況を反映して経営規模が小さい。有線放送電話の経営にも,規模の利益の原則が働いており,一般的に大規模の施設ほど事業収支状況が良い傾向を示している(第2-2-26表参照)。

第2-2-20表 電電公社の事業収支率

第2-2-21表 電電公社の事業収入の推移

第2-2-22表 電電公社の事業支出の推移

第2-2-23表 電電公社の貸借対照表(53年3月31日現在)

第2-2-24図 資本勘定収入の構成比推移

第2-2-25表 総資本純利益率等の推移

第2-2-26表 有線放送電話の規模別事業収支状況

 

 

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