昭和55年版 通信白書

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2 FCCのコンピュータ調査

 近年における情報通信技術の発達は通信とデータ処理の境界線を不めいりょうにしてきている。
 データ処理のオンライン化及び通信におけるコンピュータ利用がいち早く進んだ米国では,1960年代に入ると,通信事業者と処理業者との争いがひん発し,なんらかの規制が緊要となった。FCCはこの情勢に対処する基本政策を確立するため,1966年,「コンピュータと通信とのサービス及び施設上の相互依存関係から生ずる規制上及び政策上の諸問題」に関する調査(第1次コンピュータ調査)を行った。
 この第1次コンピュータ調査においては,主に中央処理型のコンピュータを想定して検討がなされた。しかしその後の技術進展により,ミニコン,マイコンが発達し,端末のインテリジェント化が進み,分散処理型のネットワークが出現するようになって,通信とデータ処理の境界は,以前にも増して不めいりょうになってきた。FCCは,このような状況に対処するため,1976年8月,新たに「第2次コンピュータ調査」を開始し,新たな規則の提案を行い,関係者の意見を求めた。
 1979年7月,FCCは第2次コンピュータ調査に関する仮決定を告示し,関係者からの意見を聴取した上,1980年5月に最終決定を告示した。仮決定及び最終決定の概要は,第1-1-20表に示すとおりである。
 最終決定は,仮決定の趣旨を受け継ぎ,関係者の意見を参考として一部修正を加えたものであるが,内容的には更に発展したものとなっている。
 その要旨は,次のとおりである。
[1] すべての通信サービスを基本通信サービス(基本的な情報伝送サービス)と高度通信サービス(基本的な情報伝送とコンピュータによる情報処理とが結合したサービス)に区分し,基本通信サービスのみを規制の対象とする。
[2] 1982年3月1日から,旧式の電話機から最新の端末機器に至るすべての宅内機器を規制対象外とする。
[3] AT&T及びゼネラル電話電子工業会社(GTE)は,非規制分野のサービスを提供するためには,再販売ベースの分離子会社によらなければならない。
[4] 1956年同意審決はAT&Tが高度通信サービスを提供することを禁止していないと解釈する。
 この最終決定により,第2次コンピュータ調査は一応の終結をみた。
 これに対して一部のデータ処理業者は変更を求めて提訴する動きをみせており,今後の動向が注目されている。

第1-1-20表 FCCのコンピュータ調査の概要(1)

第1-1-20表 FCCのコンピュータ調査の概要(2)

 

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