昭和55年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

4 郵便・電気通信事業に関する動向

 英国では,1977年7月,産業大臣により設置された郵電公社調査委員会(カーター委員会)が提出した報告書において,英国郵電公社(BPO)の経営形態の見直しの観点から,郵便事業部門と電気通信事業部門との分離が勧告された。これに対し政府は,1978年7月,BPOに関する白書を発表し,BPOの分離問題についての決定を延期したが,1979年5月の政権交代に伴い,事態は進展し始めた。
 その後,政府は9月に,郵便及び電気通信サービスの改善を行うための政府案を発表し,その中で,BPOを二つの独立した公共事業体として分離し,一方を郵便及び為替業務,他方を電気通信業務とすることとし,そのための法案を議会に提出する方針を示した。BPOの分離には,BPOに加え労働組合,BPO利用者協議会,電気通信産業等も支持しており,また,分離問題の決定延期の理由となっていた産業民主主義化の試行が同年12月に終了したことから,BPOの分離は早急に具体化に向けて進展し始めた。
 郵電事業体の郵便部門と電気通信部門の分離については,英国のみならず,フランスにおいても問題となっている。前述のノラ・レポートは,まず第1に,労働集約的な郵便事業と極めて資本集約的な電気通信事業とを分離し,究極的には,「電気通信公社」を設立していくこと,第2に,高度情報化の進展に対応するため,政府は通信省を設置し,多様な電気通信サービスを提供する郵電庁電気通信総局(DGT),フランス送信担当公社(TDF)及び国立宇宙研究センター(CNES)の活動を調整することを勧告した。これに対し,郵電庁は,郵便部門と電気通信部門とは多くの点で境界領域を共有し,互いにサービスを提供し合っていること,DGTは独自の収入でその支出をまかなうとともにある程度の行動の自由を認められていることなどから,分離を考えていないと伝えられている。

 

 

3 総合的通信政策の探究 に戻る 5 放送事業に関する動向 に進む