昭和55年版 通信白書

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2 国民生活と新しい通信メディア

(1) 社会問題の解決に寄与する新しい通信メディア
 今日,省エネルギー,環境汚染,地震対策等の様々な社会問題がクローズアップされその解決が急がれているが,通信の進展は,これらの社会問題の解決に大きな役割を果たすものと期待されている。すなわち,既に成熟の域に達した基幹メディア及びこれに続く新しい通信メディアは,多種多様な情報の収集・分析,分散している社会機能の有機的な結合を可能とし,社会の中枢神経としてその役割を増大させていくものと考えられる。
 たとえば,重要な社会問題であり,電気通信が問題解決に何らかの役割を果たしうるものとしては,第1-2-83表にみるような事項が挙げられる。
 このうち,「1.情報の過不足による弊害」は,マス・メディア等により大量の情報が流されている反面,本当に必要な個別情報が不足していること,あるいは,「2.災害の危険性の拡大」とも関連し,災害時において適切な情報伝達が難かしいこと等を意味している。この個別情報ニーズに対しては,近年のデータベースサービスの発展,CATV等による地域の生活情報システムの増加,あるいは現在,実験中のキャプテンシステムなどが大きな役割を果たしていくものと期待されている。一方,災害時における情報伝達の問題については,総理府の世論調査においても必要な対策の第一に挙げられており,通信は,災害の予知から被害を最小限に食い止めるまでのすべての防災活動を円滑・有効に行うための重要な神経部分といえる(第1-2-84表参照)。
 また,「3.公共サービス・公共施設の不足」については,老齢化現象の進展とも関連し,医療,福祉が代表的な問題といえるが,近年,医療については第1-2-85表,福祉については第1-2-86表にみられるような様々な新サービスが電電公社によって開始されている。
 「4.資源・食糧不足」については,石油危機を契機として,通信のもつ省エネルギー的性格が改めて注目されており,ファクシミリ,テレビ会議システムなどの発展により,今後とも,省資源・省エネルギー機能が一層増大するものと期待される。
(2) 家庭生活の充実に寄与する新しい通信メディア
 経済の高度成長を背景に,基本的生活文化機器(電気洗濯機,冷蔵庫,テレビ,電話等)の普及はほぼ一巡し,近年は,社会生活の分野におけると同様,家庭生活の分野においても,様々なニーズに対応し,情報通信メディアの高度化・多様化が進展している。
 今日,テレビ・電話以外の情報関連機器についても,「ラジオカセット」,「ステレオ」,「電子卓上計算機等」は高い普及率を示しており,また,現在の普及率は低いものの「音声多重テレビ」,「ビデオカセット」などは,将来の購入希望はかなり高率となっている(第1-2-87図参照)。
 また,家庭において将来の利用意向の多い各種の通信関連サービスをみると,従来のテレビあるいは電話といった個別メディアの利用ではなく,通信機能に,遠隔操作,処理,双方向応答,データ検索等の様々な機能を加えた,極めて高度の総合的な通信システムが望まれている(第1-2-88表参照)。

第1-2-83表 電気通信が問題解決に寄与する重要な社会問題

第1-2-84表 地震予知対策を進めるに当たっての要望事項

第1-2-85表 医療関連の新しいサービス

第1-2-86表 福祉関連の新しいサービス

第1-2-87図 情報関連機器の保有状況と保有意向

第1-2-88表 新しいサービスの利用意向率

 

 

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