昭和55年版 通信白書

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第2部 各   論

第1章 郵   便

 第1節 概   況

 54年度は郵便事業にとって業務運行の面では,比較的順調に推移した年であった。しかしながら,事業財政の状況は更に悪化したので,これを改善し財政基盤の確立を図ることが喫緊の課題となった。
 郵便物数の動向についてみると,54年度の年間総引受郵便物数は,約153億通(個)で,我が国郵便史上はじめて150億の大台を超えた。前年度に比べ約10億通(個),率にして6.8%の増加である。利用の傾向としては,相変わらず第二種郵便物や書籍小包など,比較的料金の安い郵便の増加が目立っている。
 事業財政についてみると,51年1月の郵便料金改定により,51年度及び52年度は,単年度では黒字となったが,53年度から赤字に転じ,54年度においても単年度で224億円の赤字を生じた。その結果,54年度末の累積欠損金は2,124億円に達し,事業経営上極めて厳しい状況となった。このような状況の中で,54年10月郵政審議会に対し,郵便事業財政を改善する方策について諮問したところ,同年12月「事業運営の効率化,合理化等の推進への一層の努力を要請するとともに,封書60円,葉書40円を骨子とし,55年7月から郵便料金の改定を行うことはやむを得ない。」旨の答申を得た。政府としては,この答申の趣旨を尊重するとともに,物価や国民生活への配慮から,実施時期を55年10月に延期するほか,葉書の料金を55年度中は30円とすることを骨子とした「郵便法等の一部を改正する法律案」を第91回通常国会に提出した。同法案は同国会では審議未了廃案となったが,その後第92回特別国会に再提出され,継続審査案件となった。
 郵便業務運行は,前年度の年末年始におけるかつてない混乱の結果を踏まえ,業務運行基盤の確立,労使関係の安定化に努めるなどして業務の正常運行の確保を図ってきた結果,年間を通じておおむね順調に推移した。
 また,年間を通じて最大の繁忙期である年末年始においても年賀郵便物,一般郵便物とも滞りなく送達することができ,元日には21億7,700万通の年賀郵便物を配達した。
 郵政省は54年3月,毎月23日を「ふみの日」と定め,手紙を書くことの価値を見直す運動を全国的に展開することとした。この運動には手紙を書くことを通じて,人の心と心の触れ合いを深め,同時に手紙文化,文字文化の見直しの気運を盛り上げる一助にしたいとの期待が込められている。
 54年度においては,この具体的キャンペーンとして[1]「ふみの日」キャッチ・フレーズの募集[2]「ふみの日」キャンペーン切手の発行[3]新聞による広報[4]手紙フェスティバルの開催[5]「ふみの日」切手デザインコンクール等の諸施策を実施したほか,地方郵政局,郵便局においてもそれぞれ地域の実情に応じた施策を実施した。
 この運動に対する外部の反響は概して好意的であり,その趣旨は広く各方面から受け入れられているものと認められる。

 

 

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