昭和55年版 通信白書

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2 対策実施概要

(1) 国内公衆電気通信対策
ア.システムの信頼性向上対策
 電気通信システムの信頓性向上対策としては東京,大阪,名古屋等大都市の市外交換機を分散させて設置している。市外伝送路については,一つのルートが被災しても自動切替により別ルートで救済する多ルート化,二つ以上のルートに回線を分散収容し一つのルートが被災しても半数近くの回線が残存するようにした2ルート化を図るとともに,テレビ中継伝送路についてはループ状の網を構成し,災害時における障害に際してもテレビプログラムが逆方向で確保できるよう整備を図っている。また,都市内中継線を確保するため,都市内マイクロ波方式等による伝送路を併設している。
 さらに,災害復旧活動に直接関係のある指定行政機関,指定公共機関等の重要加入者(加入電話)については,電話局から加入者までのケーブルを2ルート化する工事を逐次実施してきている(人口5万人以上の都市についてはほぼ完了)。
イ.通信の途絶防止対策
 災害等により,通常の通信手段が失われても市町村等が孤立することのないよう,全国約3,000の市町村に孤立防止用移動無線機を配備している。
 また,都市内災害で加入者ケーブルが切断され,加入電話が使用できなくなった場合に備えて,災害応急復旧用無線電話機を災害復旧活動に直接関係のある国や地方公共団体の機関に配備(県庁所在地級都市に配備)しており,この電話機は,被災者が避難する場所の公衆電話として使用することもできる。
ウ.早期復旧対策
 交換設備が被災した場合に備え,非常用移動電話局装置(最大2,400加入程度までの救済が可能)を20都市に配備し,更に東京,大阪には,10,000加入の救済が可能な大容量の可搬形電話局装置を配備している。
 電源設備が被災した場合に備えて,移動電源車及び大容量可搬形電源装置を配備し,伝送路等の通信施設が被災した場合の応急復旧用として各種の可搬形移動無線機を配備している。
 また,ケーブルが被害を受けた場合,簡単に敷設・接続できるよう応急同軸ケーブル,応急市外ケーブル及び応急市内ケーブルの配備を進めている。
(2) 国際公衆電気通信
ア.国際伝送路
 国際伝送路については,海底ケーブル系,衛星系,散乱波系及び短波系で可能な限り相互補完ができるようにするとともに,国際伝送路の複数化及び代替回線の設定についても関係通信業者の合意の下に実施している。
イ.国内伝送路
 国内伝送路については,電電公社と密接な連絡調整を行い,非常時の通信確保を図るとともに,茨城衛星通信所と東京関門局間に第2マイクロルートを建設中である。
ウ.関門局設備
 国際電話,テレックスとも非常時の通信確保のため,東京のみならず大阪にも関門局を置き運用してきている。
 また,国際電話については,東京関門局でのみ扱っている国際ダイヤル通話を,大阪関門局でも処理できるよう58年度を目途に国際電話電子交換システムの導入を予定し,国際テレックスについても,東京の自動交換機に加え大阪関門局にも国際テレックス自動交換機が55年度中に設置されることとなっている。
 これらの設備の拡充に合わせて,大阪地区での国際回線の収容対地を拡大し,東京と大阪の関門局に同時に収容される対地及びその回線数を増やして,非常時の通信確保をより完全なものとすることとしている。

 

 

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