昭和55年版 通信白書

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7 海上運送事業用

(1) 外航海運用通信
 外航船舶は,一般に,中波電信,中短波電話,短波電信,短波電話の周波数を使用した大電力の無線設備,世界の主要港湾において使用されているVHF無線電話(国際VHF)のほかレーダ,無線方位測定機,ロラン受信機等の設備を備え,航行の安全及び貨物の輸送,手配等に関する通信を内外の海岸局と行い,また,船舶向けに行われている気象,流行病その他航行の安全に必要な情報の通報を受信している。これらの船舶における事業運営や乗組員のための通信は,主に公衆通信によって行われているが,最近その円滑化を図るため,新技術の導入による混雑緩和,高品質化が世界的規模で企画・推進されている。特に,海事衛星通信方式では現在,米国のマリサット・システム衛星が,大西洋,太平洋及びインド洋に打ち上げられ,53年11月,インド洋衛星にアクセスするための我が国山口地球局(国際電電)が開設され,現在,ほぼ全世界の海域をサービスエリアとする海事衛星による電話,テレックス及びデーテルの公衆通信サービスが提供されており,我が国においては国際電電がこのシステムを利用するための実用化試験局を船舶25隻に開設している。
(2) 内航海運用通信
 日本周辺海域を航行する内航船舶では,主に沿岸無線電話(公衆通信)により事業運営や乗組員のための通信が行われているが,航行の安全を確保するため無線設備の備え付けが強制されているいわゆる義務船舶局は,中短波無線電話,VHF無線電話等を備えている。
 内航の海上運送事業者の中には,沿岸無線電話では通信が困難な海域まで通信を行う必要があるため,無線利用組合等の団体をつくり中短波無線電話の海岸局(全国で8か所)を開設し,船舶との通信を行っているものがある。
 近年,内航船舶の大型化,高速化が進められているが,これらの船舶の運行を能率的に行う目的で専用の海岸局の開設を希望するものがあり,54年度には5局が新たに開設された。
 なお,長距離カーフェリーは,航行の安全を図る見地から無線電信を設置している。
 以上のほか,海運事業に使用される無線局として無線航行移動局があるが,これは,船舶にレーダのみを設置して航行の安全を図ろうとするものであり,小型船舶の場合に限られている。

 

 

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