昭和55年版 通信白書

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2 電波監視結果

 52年度から「不法電波一掃月間」を8月に設定し,期間中,関係機関の協力を得て不法無線局の取締りを強化するとともに,一般市民に対する電波法令に関する知識の普及を図るための広報活動を重点的に実施してきた。
 54年度における電波監視の業務別の実施結果は,次のとおりである。
(1) 電波の質及び無線局の運用の監査
 監査局数及び違反局数は,第2-6-15表に示すとおりである。違反の状況を周波数帯別にみると30MHzを超えるものは,30MHz以下に比べ違反が極めて多いことが分かるが,これは無線局の規模,無線設備の保守,整備又は無線設備を操作する者の法令に対する認識等に差異があることによるものと思われる。
 過去3年間における違反率をみると,電波の質については52年度0.08%,53年度0.07%,54年度0.08%であり,無線局の運用については52年度1.99%,53年度2.76%,54年度1.42%となっている。
 また,本年度は,上記の監査のほかに,150MHz帯,400MHz帯の陸上移動業務の局及び簡易無線局を対象として「通信系を単位とする運用監査」を実施した。監査した通信系の数は8,562件であり,この結果,電波法令違反について行政指導を行ったものは,1,504件である。
(2) 混信調査
 調査実施件数は,123件であってこれらを周波数帯別に分類したものが第2-6-16表であり,30MHz以上の周波数帯におけるものが全体の56.1%になっている。
 混信発生は,主として短波帯(3,000kHz〜30MHz)においては外国無線局,30MHzを超える周波数帯においては国内無線局によるものであって,特に無線局数の集中している周波数帯及び同一業種に属する複数の免許人が周波数を共用している周波数帯におけるひん度が高い傾向を示している。
(3) 不法無線局の探査
 不法無線局の摘発局数は第2-6-17表に示すとおりである。
 これを周波数帯別にみると,26MHz〜27MHz帯が最も多く,次いで150MHz帯,400MHz帯の順となっている。また,用途別には不法市民ラジオが2,808局で最も多く,そのほとんどのものが我が国では市民ラジオとして使用することが認められていない多数の周波数を切り替えて発射できる高出力の機器を使用していたものである。
 一般不法局は,事業の事務連絡用に使用されていたものであって,陸上運輸事業用,土木建設事業用及び機器製造販売事業用に使用されていたものがその大半を占めている。
 過去3年間の不法無線局の摘発局数を年度別にみると,52年度1,268局,53年度1,715局,54年度3,123局となっている。52年度から大幅な増加があったのは,8月を「不法電波一掃月間」と定めて,近年増加の傾向にあった不法無線局,特にハイパワー市民ラジオの取締り強化と,更に広く一般市民を対象として電波法令に関する知識の普及を図る広報活動を行ったため,一般市民からの情報の提供等の協力が得られた結果によるものである。
 一般市民が関与する簡易無線局,特にハイパワー市民ラジオの不法開設が多いことから,電波利用の秩序維持を図るためには,今後とも悪質な違反の取締りを強化するとともに,電波利用及び電波法令について周知宣伝を行い広く国民の理解と認識を深めることが必要である。
(4) 電波の発射状況調査,利用状況調査等
 電波の発射状況調査及び利用状況調査の実施状況は,第2-6-18表のとおりである。
 発射状況調査は周波数スペクトラムの空間的占有状況をは握するために実施している調査であって,必要に応じ各周波数帯について順次反復して調査し,又は特定周波数帯を対象として調査する。また,無線局の分布状況及び電波の伝搬特性を考慮して,固定及び移動により調査を実施している。
 これらの調査結果は,周波数のクリアランス・モニタ,混信の実態は握,電波の監査,国際機関及び外国主管庁からの要請による調査の計画策定上の資料として活用されている。
 以上の調査のほか,IFRBからの協力要請に基づく国際監視及び高周波放送専用周波数帯の調査を実施しており,前者は調査件数96件,調査波数19,090波,後者は調査件数10件,調査波数547波となっている。
 電波の利用状況調査は,周波数スペクトラムの空間的及び時間的な占有状況について測定を行い,電波の効率的な利用が行われているか,また,通信のそ通状況に問題がないかを調査するものであって固定及び移動による調査を併せ121件の調査を行った。
 調査の対象を周波数帯別にみると大部分が30MHz以上となっており,特に150MHz帯及び400MHz帯が多くなっている。
 これらを無線通信業務別にみると,陸上移動業務用(携帯移動業務用を含む。),簡易無線業務用,海上移動業務用の順となっており,用途別では,各種業務用,漁業用,タクシー事業用の順となっている。

第2-6-15表 電波の監査状況

第2-6-16表 周波数帯別調査件数

第2-6-17表 不法無線局の摘発状況

第2-6-18表 電波の発射状況調査及び利用状況調査実施状況

 

 

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