昭和55年版 通信白書

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4 電子交換方式

 電電公社では,蓄積プログラム制御方式を採用した電子交換機を46年に実用化し,53年度末現在約270ユニットが全国で運用されている。
 最初に実用化されたのは,D10形自動交換機と呼ばれる大局用の電子交換機である。54年度はこの電子交換機の高性能化,経済化を図るため,より高速で処理能力の高い中央処理系装置,小形経済化を図った新通話路系装置を採用した方式(端子容量約9万)の商用試験を行った。また,ソフトウェアについても新機能,新サービスの追加に対する即応性の向上,維持管理の容易化等を図るため,機能ブロック化によりプログラム構造を改良し,プログラム言語として交換用高水準言語(CHILL)を使用した改良プログラムシステムを実用化し,商用試験を実施している。
 一方,中局用電子交換機としてはD20形自動交換機を実用化し,51年にサービスを開始している。その後,経済化を目的とした改良を行った。さらに,小局用電子交換機としてD30形自動交換機を開発し,商用試験を行っている。
 D30形自動交換機の開発により,あらゆる規模の局に経済的に電子交換機を導入できるようになり,今後これらの電子交換機の普及により,大局,中局,小局ともに同等のサービスが受けられるようになる。
 電子交換機は通常の通話の他にも蓄積プログラム制御の利点を活用し,自動車電話,自動内航船舶電話等移動通信用の交換機としても使用されており,また,無紐式手動台の制御にも使用されている。さらに,将来の新サービスに対して効力を発揮するものとして期待される共通線信号方式も既に実用に供されている。現在はその改良としてCCITT No.7方式に準拠した共通線信号方式の実現にむけ開発を行っている。
 D10〜D30形自動交換機はいずれもアナログ形の交換機であるが,将来のディジタル網の中枢をなすディジタル交換機についても開発を進めている。
 ディジタル化により交換機の小形化,経済化を図ることができ,更にディジタル伝送路と一体となって網全体の経済化を図ることができる。また,音声に限らずデータ・画像等のディジタル情報を扱えること,速度の異なる情報を効率良く交換できることなどから将来の多様な通信サービスを効率的に提供することが期待できる。
 このため,中継線交換機及び加入者線交換機の実用化を進めており,中継線交換機については,現場試験を行っている。また,加入者線交換機についても試作を終え,試験を行っている。
 国際電電では,52年2月以来,XE-1国際電話用電子交換システムを商用に供しているが,国際ダイヤル通話(ISD)のできるのは国内の電子交換機(DEX)に収容されている加入者に限られていたので,さらに,クロスバ交換機のプッシュホン加入者からもISDを利用可能とするXR-2国際電話自動化設備を55年1月商用に供した。また,通信の需要増大に備えるとともに安定的なサービスを提供するため,58年度を目途に大阪地区へ導入する新たな国際電話用電子交換システム(自動交換系)の建設を進めている。
 国際テレックスについては,非常障害時における通信の確保とともに通信の需要増に対処し,かつ,運用保守の省力化,効率化を推進するため,CT-20国際テレックス電子交換システムを55年度運用開始を目途に大阪地区へ導入すべく建設を進めているほか,電子式の国際加入者線交換機を55年度に東京地区に,また,56年度に大阪地区に導入を予定し,国際テレックス加入者線集線装置を55年度に横浜に,また,56年度に名古屋及び神戸に導入を予定している。さらに,電電公社国内テレックス網と接続するための電子式符号変換交換装置を55年度に大阪地区に,56年度に東京地区に導入すべく準備を進めている。また,テレックス預り伝送サービス等を行うため,加入電信蓄積処理設備を56年度導入を目途に建設中である。
 国際電報の託送については,東京地区にこれまでの電話託送準自動受付システム(PTAS-A),着信国際電報自動処理システム(PTAS-B)の導入に続き,発信国際電報自動処理システム(PTAS-C)を55年3月に導入した。更に大阪地区に電話託送準自動受付システム(PTAS-D)を55年度に,また,発信国際電報自動処理システム(PTAS-E)を56年度導入を目途に建設を進めている。

 

 

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