昭和55年版 通信白書

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第6節 データ通信システム

1 データ交換網

 データ通信の発達に伴い,データ通信回線として既存の電話網等を利用する比重が高まっているが,データ通信システムが高度化するにつれて,接続品質,伝送品質の制限や通信速度の限界等のため,既存網では満足しえない需要が増加している。このため,データ通信に適した新しい公衆網の出現を要望する声が高まっている。
 これに対して電電公社では,時分割交換技術やディジタル伝送技術等,ディジタル技術を駆使し,高速,高品質で多彩なサービスを効率的に提供できる新しいデータ交換網の実用化を44年度から進めてきたが,54年12月には回線交換方式によるサービスを,東京,横浜,名古屋,大阪で開始した。また,55年7月にはパケット交換方式によるサービスを東京,横浜,名古屋,大阪,福岡,仙台,札幌で開始した。
 回線交換,パケット交換両サービスとも200b/s〜48kb/sの幅広い通信速度で,高品質の通信が可能である。
 回線交換サービスは,加入者からのディジタル信号のまま多重化し,これを時分割交換するもので,比較的長電文,高密度のデータ通信やファクシミリ通信に適している。
 また,パケット交換サービスは,蓄積交換方式により加入者からのディジタル信号を,網内でパケットと呼ばれるあて名情報等を付した一定長のデータブロックとして転送するもので,比較的短電文,低密度の通信に適している。
 国際電電においても,パケット交換方式による国際公衆データ網の建設計画(VENUS)が進められている。同社では,この準備段階として51年以来,国際公衆データ網に関する各種プロトコルの研究を進めてきた。52年度からはCCITT標準ネットワークプロトコルを採用した国際パケット交換システムの建設が行われており,これまでにコンピュータ又はインテリジェント端末,ファクシミリ端末等の利用者のためのサービス用設備を設置し各種の試験が行われ,サービス開始に向けて準備が進められている。
 また,メッセージの蓄積交換機能を提供するための建設も進められている。
 一方,外国のコンピュータに蓄積されている文献等の情報を我が国の端末から検索するための「国際コンピュータ・アクセスサービス」が55年9月から開始されている。

 

 

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