昭和56年版 通信白書

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7 郵便事業の財政

 郵便事業は,人件費が約70%を占め,更にこれに準ずる経費を加えると人件費的経費が約90%を占める労働集約性の高い事業であるため,本来賃金コストの上昇に弱い体質を持っている。近年における我が国の賃金水準は,年々上昇を示し,このため経費が増大していく傾向は避けられず,郵便事業財政を圧迫してきた。最近における郵便事業の財政状況は第2-1-13表のとおりである。郵便事業財政は,48年の石油危機に端を発した人件費や諸物価の高騰により,49年度以降大幅な赤字に転じ,50年度(51年1月)に郵便料金の改定が行われたが,既に生じていた多額の累積欠損金は,51年度に繰り越されることとなった。
 51年度及び52年度は,料金改定等により単年度で黒字となり,累積欠損金も一時減少したものの,53年度から単年度で再び赤字となった。その結果,郵便事業財政は,54年度末において2,124億円もの累積欠損金を抱え,この改善が喫緊の課題となっていたが,先の第93回臨時国会において「郵便法等の一部を改正する法律」が成立して,56年1月20日から郵便料金の改定が実施され,55年10月1日から実施した小包料金の改定と併せ懸案であった郵便事業財政の建て直しを図る第一歩が踏み出された。
 しかし,55年度は,当初55年10月1日からの料金改定を予定し,24億円の黒字を見込んでいたが,小包を除く他の郵便物の料金の改定実施時期が遅れたことなどにより,371億円の欠損となり,55年度末における累積欠損金は2,495億円に増加し,事業財政はなお厳しい状況におかれている。

第2-1-13表 郵便事業の財政状況

 

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