昭和56年版 通信白書

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8 準ミリ波帯通信方式

 社会活動の高度化にともない電気通信の需要は,ますます増大,多様化しており電話だけでなく,高速データ,ファクシミリ,画像通信等のための広帯域ディジタル伝送路の需要が増大すると予想される。したがって,無線通信の分野でも現在拡充を図っている長距離大容量ディジタル回線に加えて,今後は経済的な広帯域ディジタル加入者無線回線の必要性が高まるものと考えられる。
 電電公社では,以上の需要に対処するため準ミリ波帯(25〜27GHz帯)を用いて電話局と加入者を結ぶディジタル加入者無線方式の開発を行っており,周波数の有効利用,装置の小型・軽量化等について研究するため実験局を開設した。
 本方式は電話局を基地局として4つの扇形ビームを有する空中線を用いて半径7km内の事業者等の加入者に時分割多重したディジタル信号を伝送するものであり,1加入者当たり64kb/sから数Mb/sまでの広帯域ディジタル信号の伝送が可能であるとともに,実験用通信衛星「さくら」を使ってテストに成功したDA-TDMA方式を採用することにより,加入者が散在していても,即応性をもって経済的に回線を設定できる特長を有している。また,マイクロIC等の技術を用いることにより,装置の小型・軽量化を図り,ビルの屋上あるいは屋内に容易に設置できる構造になっている。第2-7-9表に本方式の主要諸元を示す。
 55年度は,親局と3局の加入者局の回線構成により,初期設定,符号誤り率特性の測定,衛星回線との接続実験等を行い,良好の結果が得られたので,56年度は都市内において実際の運用形態に即した回線構成で伝送実験及び伝搬実験を行う予定にしている。

第2-7-9表 準ミリ波帯加入者無線方式の諸元

 

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