昭和56年版 通信白書

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9 ミリ波帯通信方式

 年々増加する無線周波数の利用に対処するため,既利用周波数帯の一層の有効利用を図るとともに,30GHzを超える未利用周波数帯の活用のため各種研究開発が進められている。30GHzを超えるような高い周波数になると,通信装置を構成する半導体素子として十分な性能を持ったものが得にくいことや,降雨による減衰が大きくなるといった問題がある反面,空中線の指向性が鋭く耐干渉性の強い回線構成が可能であるとともに,占有帯域幅を広くとり得るといった利点があるため,比較的短距離の区間で多方向に多数の回線を設定できる可能性がある。
 こうした中で,最近の半導体素子技術の急速な発達もあって,ミリ波帯電波を利用した通信システムの実用化が始まった。56年3月,我が国としては初の40GHz帯(37.5〜38.9GHz)の電波を用いた実用局が国土庁によって開設された。防災関係行政機関を結ぶ中央防災無線網の一部6区間に小容量ディジタル無線システムとして導入され,現在順調に運用が行われている。本システムの主な諸元は第2-7-10表のとおりで,1システム当たり6.312Mb/s(電話換算96ch)の伝送容量を持ち,2値FSK信号として伝送するもので,アンテナ及び無線送受信装置は一体となって一つのケースに収められている。
 また,更に高い周波数である50GHz帯においても同様の無線伝送システムの開発が進められており,56年度には実験局の開設が予定され,降雨減衰による回線信頼度,システム構成上の諸問題について検討及び実験が計画されている。

第2-7-10表 ミリ波帯小容量ディジタル無線伝送システムの装置諸元

 

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