昭和56年版 通信白書

6　周波数，時刻及び時間間隔の標準

　時間及び周波数の標準は，物理基本量の一つであること，さらに，ほかの量に比し高精度化が実現されていることから，科学，産業，通信，交通，測地等多くの分野での利用も高度化しつつある。この情勢の下で，郵政省電波研究所での原子周波数標準及び日本標準時の高確度化，標準電波その他による高精度な標準の供給法，国際時刻比較法，時間及び周波数の精密計測法等の開発がますます重要となってきている。
　55年度においては，セシウム周波数標準器の高確度化のためのシステムの改良を細部にわたって行い，10^-12の確度が得られた。また，高度の日本標準時を発生するため，水素メーザの連続運転を前年度に続いて行うとともに，マヨラナ効果を利用したメーザの自動同調の実験を行い，運用できる見通しを得た。
　また，標準の供給に関しては，前年度に引き続き，ＢＳからのテレビジョン信号を利用した時刻及び周波数標準の供給実験を行うとともに，コード化時刻情報のテレビジョン信号への重畳による標準供給システムの開発とＣＳを利用した実験を行い，いずれも所期の成果を得た。
　なお，高精度の国際及び国内時刻比較法開発のため，ＣＳを利用したスペクトラム拡散方式の時刻符号の伝送実験に着手した。