昭和57年版 通信白書

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3 英国における電気通信事業の自由化の動向

 英国では,1981年7月,英国郵使電気通信公社(BPO)の分離及び電気通信回線・端末機器の自由化を骨子とした「英国電気通信公社法(BT法)」が成立した。
 BPOの分離については,同年10月に実施され,英国電気通信公社(BT)及び郵便公社は,それぞれ業務を開始した。その後,政府は,1982年7月に英国経済の活性化を図るため,BTの民営化を発表し,これに関連する法案を11月に議会へ上程することとしている。
 電気通信回線の自由化については,政府は1981年7月末,段階的に実施する旨を発表した。
 [1] 第1段階(1981年10月1日以降)BTが1982年4月1日までに提供していない,又は提供する見込みのない付加価値通信サービスを提供する民間事業者に対し免許を与える。
 [2] 第2段階(1982年初以降)BTの回線を使用して実質的な付加価値を付したサービスであればBTと競合したサービスを提供できる免許を民間事業者に与える。ただ し,民間事業者がBTの回線を単に第三者に再販売すること及び国際回線の自由化は当面認めない。
 また,産業省は,BT回線の自由化にとどまらず,1982年2月,かねてからケープル・アンド・ワイヤレス社(C&W),ブリティシュ・ベトロリアム社,パークレー銀行のコンソーシャム(共同企業体)が申請していた通信網建設計画(マーキュリー計画)について,免許を与えた。同計画では,主要都市間を光ファイバケーブルで結ぶディジタル網を建設し,企業向けに音声,データ伝送用のディジタル専用回線サービスを1983年頃からロンドン市内で提供し,その後主要都市へ拡大することになっている。産業省の与えた免許内容は,[1]免許期間を25年間とする,[2]マーキュリー網とBTの国内公衆通信網及び国際専用回線との相互接続を認める,[3]BTの通信網使用等についてBTへのロイヤリティの支払義務を課す,というものである。
 一方,BTは,米国のダイヤルコム社と業務提携し,1982年3月から子会社を通じてメイルポックス,テキスト編集,データ・ファイル等のエレクトロニック・メール・サービスを開始した。さらに,BTは,米国のサテライト・ビジネス・システムズ社(SBS)と共同して,英米間にデータ,画像伝送等のディジタル網サービスの提供を計画しており,回線の自由化に向けて積極的な施策を展開している。
 端末機器の自由化については,政府は1981年11月にその実施計画を発表し,今後3年間にそのほとんどを自由化することとしている。なお,端末機器の技術基準に関しては,英国規格協会(BSI)が作成し,認定機関には英国電子技術承認庁(BEAB)が当たることになっているが,技術基準が設定できるまでの間は,暫定的にBTが端末機器の認定を行っている。

第1-1-21表 英国電気通信公社をめぐる自由化等の経緯

 

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