昭和57年版 通信白書

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第3節 課題と展望

 郵便,電信電話,ラジオ・テレビジョン放送といった基幹通信サービスは,基本的な情報通信手段として,国民生活に深く浸透し,社会経済の発展に大きく貢献してきた。さらに,近年における情報化の進展に伴い,社会経済,国民生活にとって,通信の果たす役割はますます大きくなってきている。近年における技術革新の進展,国民生活の高度化・多様化を背景として,多彩な通信サービスが誕生し,実用化されようとしているが,このような動向は,社会経済の発展を促すのに大きな役割を果たすものと予想される。
 このため,新しいサービスの展開に当たっては,次の課題に取り組んでいくことが必要である。
 第1に,多様化する通信ニーズにこたえていくための制度の在り方について検討する必要がある。通信分野における技術革新等により新しい通信メディアが開発され,実用化されようとしている。これらの通信メディアを国民の多様化するニーズにこたえた新しいサービスとして提供していくためには,各メディアの特性を十分考慮しつつ,市場原理の導入をも含めた提供主体の在り方,運営方法,利用制度等について総合的な検討を行っていく必要がある。
 第2に,通信分野における技術開発を積極的に推進する必要がある。エレクトロニクスを中心とする通信技術の開発は,社会経済の発展及び国民生活の向上にとって大きな役割を担っている。そのため,通信分野における先端技術の開発を積極的に推進するとともに,その成果を通信サービスの改善等を通じて国民生活の向上に生かしていく必要がある。
 第3に,情報化社会のぜい弱性への対応について検討していく必要がある。通信と市民生活,企業活動とのかかわりあいは,社会の情報化の進展とともにますます深いものとなっており,このため災害・障害等による通信の途絶,犯罪等による通信の悪用等は,社会経済活動全般に大きな混乱をもたらす危険性を有している。このため,従来にも増して通信の確保及び悪用に対する施策について,積極的に展開していく必要がある。
 第4に,国際化社会への対応について,総合的に検討していく必要がある。通信の国際的利用は,世界経済の発展に伴い,ますます増大し,かつ多様化してきており,国際間のデータ流通の問題,情報の不均衡の問題等が生じている。これらは,経済,社会,文化等の各分野に幅広くかかわる問題であり,その対応策を総合的に検討していく必要がある。
 80年代の我が国は,経済の安定成長,省資源・省エネルギーへの対応,国民福祉の向上等多くの解決すべき問題を抱えている。
 通信が社会経済の基盤としてこれらの問題に対応していくためには,上記の課題の解決に向け,広く国民の総意を結集し,総合的長期的視点に立った通信政策の柔軟な展開が必要とされる。

 

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