昭和57年版 通信白書

2　有線放送電話業務

（1）設備の状況
　ア．施設数
　施設数は，38年度の2，649をピークに年々減少し，56年度末における施設数は776となり，前年度末の816に比べ40（4.9％）の減である。
　その減少の要因としては，農林漁業地域における公社電話の普及に伴い，通話手段としての有線放送電話を利用する者が減少することにより生じる施設の経営難や設備更改のための資金難等が挙げられる。
　施設数の最近の年度別状況は，第2-2-9表のとおりである。
　施設の運営主体は，有線放送電話の基盤が農林漁業地域であることもあって，農林漁業団体が最も多く562（72.4％），次いで地方公共団体157（20.2％），市町村や農協等の共同経営体36（4.6％），公益法人21（2.7％）となっている。
　イ．端末設備数
　56年度末における端末設備数は167万2千個であり，前年度末の172万3千個に比べて5万1千個（3.Ｏ％）の減となっている。44年度に323万個とピークに達した端末設備数は，以後年々減少している。
　なお，端末設端数からみた有線放送電話の規模別分布状況は，第2-2-10表のとおりであり，56年度末における1施設平均端末設備数は2，155個となっている。
　ウ．交換方式
　自動交換方式をとっている施設は，56年度末において施設数で703（全施設の90.6％），端末設備数で157万個（全端末設備数の93．％）となっており，有線放送電話全体における自動化率は年々上昇している。
　なお，自動交換方式をとっている施設の平均端末設備数は2，233であり，全施設の平均端末設備数2，155よりも多く，自動交換方式をとっている施設が比較的大型であることを示している。
　エ．電電公社回線と接続しているもの
　電電公社と接続通話契約を締結している施設は，56年度末において施設数で173（全施設数の22.3％），端末設備数で39万5千個（全端末設備数の23.6％）となっている。接続通話契約の種別には，第一種接続通話契約（市内接続通話）と第二種接続通話契約（市内・市外接続通話）があるが，ほとんどが第2種接続通話契約である。
（2）利用状況
　ア．利用者
　56年度末における利用者数は160万6千人であり，前年度末の166万人に比べ3.3％の減である。
　イ．利用料
　56年度における利用料についてみると，600円以上800円未満の施設が全体の34.4％を占め，次いで400円以上600円未満が21.ｌ％となっている。400円未満の施設は5.5％，また，1，000円以上の施設は17.5％となっている。
　ウ．放送時間
　有線放送電話は，放送と通話を一体として行うメディアであるが，そのうち，56年度の放送の利用状況についてみると，1時間未満が34.6％，1時間以上2時間未満が48.6％，2時間以上が16.8％となっている。