昭和57年版 通信白書

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4 パターン情報処理

コンピュータの入出力や交換機への信号送出は,タイプライタや電話機のダイヤル等により行われているが,これを人間の自然なコミュニケーション手段である音声や文字を用いて可能どするためのパターン情報処理の研究が進められている。パターン情報処理には“機械が人間の話す言葉を理解する”音声認識,“機械が合成音で話をする”音声合成及び“手書きや印刷の文字を認識する”文字認識等がある。
電電公社においては,音声認識の方法として,入力された音声の周波数スペクトルパターンを標準パターンと比較分析し,単語を識別する方式が研究されている。研究は特定の話し手の特徴を計算機に記憶させて認識する方式から不特定の話し手の言葉を理解する不特定話者認識法,さらに,単語の認識から連続的に発声される文章の認識へと方向を進展している。
音声合成については,従来のパーコール方式よりも更に少ない情報から音を合成するLSP方式を採用し,音声の最小単位である母音や子音等の音韻を結合して,人間のように言葉を話す装置の開発が進められており,合声音にアクセント,イントネーションを付与したり,自然な肉声らしい合成音を実現するための研究を行っている。
文字認識については,活字及び手書きの数字,英字,カナ文字認識法が開発され,現在は,活字漢字,手書漢字の認識技術及びファクシミリ入力の文字認識技術が急速に進歩しつつある。文字の識別方法としては,文字線と背景の白地の両方から文字の特徴を抽出して識別する位相構造化法が開発され,印字及び手書きの英字,数字,カナ文字を対象とした高性能で経済的な文字読取方法として,データ通信用端末装置に適用されている。また,位相構造化法の特徴抽出能力の強化を図り,低品質の印刷文字読取りに適した位相特徴分布法が開発され,装置開発が進められている。

 

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