昭和57年版 通信白書

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第4節 電磁波有効利用技術

1 移動体個別識別システム

35年ごろから光等を使用して貨車を自動的に識別する装置が国鉄を中心に研究・開発され,現在では電磁誘導方式の移動体個別識別(AVI)システムが新幹線,地下鉄において実用化されている。そして最近,目覚ましいエレクトロニクス技術の進展を背景にして,マイクロ波を使用するAVIシステムも開発された。このAVIシステムは質問器によりマイクロ波を発射し,このマイクロ波のエネルギーにより無電源の応答器を動作させ,応答器に書き込まれた個別番号をそのマイクロ波にのせて再輻射し,質問器側でその個別識別番号を読み取るというものである。
我が国においては,マイクロ波を使用するAVIシステムの方式として,不揮発性のIC等の電子回路素子に個別識別番号を書き込む「メモリ方式」と,ある周波数に固有に共振するセラミックス等の共振子の組合せによって個別識別番号を表現する「共振子方式」の二つの方式が提案されている。いずれの方式も応答器のクレジットカード並みの小型化が図れ,電算機処理が可能であることなどから,多種多様の分野に導入されていくと考えられている。
AVIシステムに適している周波数帯は,その電波伝搬特性,環境条件等から高周波利用設備が使用している2,450MHz帯とされている。このため郵政省,国鉄,民間会社は共同で,同周波数帯における各AVIシステムの基本動作の確認,環境試験並びに高周波利用設備との周波数共用の可否を調査してきた。その結果,補述の二方式のAVIシステムは,十分実用に供せられるものであることが判明したので,これらAVIシステムの早期実現を図るため現在,その免許方針等の整備を進めている。

 

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