昭和57年版 通信白書

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10 サイトダイバシティ

衛星通信では,増大する通信需要に対処するため,従来使用されてきた6/4GHz帯に加えて,10GHz以上の新しい周波数帯を使用する傾向が,我が国を含めて一際的に強まっている。しかしながら,10GHzを超える周波数帯では,降雨による電波の減衰が無視できなくなり,特に,高い周波数帯を使用する場合及び衛星の仰角が低くなる場合に降雨減衰が顕著になる。
衛星通信における降雨減衰の影響を軽減する有力な方法の一つにサイトダイバシティがある。サイトダイバシテイは,20km程度以上離れた二地点間の降雨の相関が小さいことから,そのような二地点にそれぞれ地球局を設置し,一方の地球局の回線品質が降雨によって基準値を下回った場合に,他方の地球局に切り替えて回線を確保する方式である。
(1)30/20GHz帯サイトダイバシティ実験
郵政省電波研究所は,平磯支所に設置されているECS実験用の地球局を改造し,鹿島支所のCS主局との間で,CSを用いて受信切替方式によるサイトダイバシティ実験を実施した。
電電公社は,CS実験の一環として,横須賀電気通信研究所に設置されている副固定局等を用い,ディジタル合成方式によるサイトダイバシテイ実験を実施した。そのほか,CSの20GHz帯の下り回線における降雨減衰を継続的に測定し,サイトダイバシティ効果の基礎資料を得ている。
(2)14/11GHz帯サイトダイバシティ実験
インテルサット<5>号系衛星では,6/4GHz帯に加えてスポットビーム用に14/11GHz帯が使用される。我が国からは,インド洋衛星の仰角が低いため,降雨の影響を受けるおそれがある。国際電電は,インド洋<5>号衛星を対象に,山口衛星通信所及び浜田国際中継所に実験システムを設置してサイトダイバシティの各種伝搬資料の取得及び通信実験を行うため準備を進めている。

 

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