昭和57年版 通信白書

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4 ディジタル交換

近年,電話の普及に伴う電話サービスの充実に加え,ファクシミリ通信,データ通信等非電話系サービスの提供やコンピュータの効率的な利用に対する社会的要請が強くなりつつあり,これにこたえ得る通信網の高度化が重要な課題となっている。
このような背景から電電公社は,将来の情報化社会に適合する通信システムの実現を目指した高度情報通信システム(INS)の検討を進めており,この中で網の中核として重要な役割を果たすディジタル交換機について積極的に実用化を進めている。
交換機のディジタル化によりディジタル伝送路と一体となって,通話品質の向上及び網全体の経済化を図ることができるばかりでなく,加入者線のディジタル化により,高速非電話サービスの提供あるいは電話と非電話サービスの同時提供といったサービス面での利便向上が期待できる。
このようなディジタル交換機について電電公社では大局用の中継線交換機であるD60形自動交換機の商用試験を56年から4局で順次開始し,57年末には大手町局で最初のサービスを開始する予定である。
引き続き,加入者線交換機及び中継線交換機機能を併せ持つD70形自動交換機の商用試験を57年から全国で開始し,58年末には先行局のサービスを開始する予定である。
一方,これらの技術をベースとしINSに向けて必要となるディジタル加入者線用インタフェースを持ったディジタル加入者線交換機をはじめ,通信処理用関門交換機能を有するディジタル中継交換機,音声蓄積サービス用の通信処理装置等の技術の確立を進めており,これらの交換技術をはじめ,各分野にわたる新しい技術を確認するため,電電公社では57年度より東京,三鷹地区を中心にINSのモデルシステムを実際に構築し調査を進めることとしている。
国際電電では,近い将来の本格的な国際ディジタル通信網時代に対応するため,新型の国際電話関門局用ディジタル交換機IDS(International Distributed Switching System)の研究開発を進めている。
これからの国際交換機には,サービス中断の生じない高い信頼性と,規模の拡張と機能の拡充に対する高い柔軟性が,ますます要求される。このような要求条件を満足させるためIDSでは近年発達の著しいマイクロプロセッサ及び高速大容量メモリ等を,各種信号方式に対応した呼処理モジュール並びに複数の通話スイッチモジュール等の多数の機能別モジュールに分散して適用し,これらのモジュールを適宜組み合わせて柔軟なシステムの構成ができるようにしている。このように機能の分散と負荷の分散を徹底して図ることにより,全システムダウンを起こりにくくし,増設や機能の拡張を容易にするとともに,ソフトウェアを単純化しその作成並びに保守を容易にするなどの特長を発揮できるようにしている。
IDSの試作は既に完了し,基本動作試験を行って新しいシステム構成の実現性を確認した。同時に信号方式としてCCITTで最近標準化されたNo.7方式を本試作システムに実装しその実証実験も行った。

 

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