昭和58年版 通信白書

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2 総合的,計画的な国際協力の推進

 国際協力の現状については,これまで述べてきたとおりであるが,社会経済の発展に不可欠の要素である通信インフラストラクチャーの南北格差には著しいものがあり,開発途上国の発展の大きな阻害要因となっている。
 電気通信,コンピュータ等の技術分野において世界の先進国である我が国は,開発途上国の通信インフラストラクチャーの発展のために,次の点に配慮しつつ,通信分野の国際協力の拡充と強化に向けて一層の努力を払うべきである。
[1] 通信分野における開発途上国への国際協力については,開発途上国の通信インフラストラクチャーの整備・拡充が果たす役割の重要性にかんがみ,国,通信事業者,通信関係製造業者等の国際協力を含めた総合的,長期的な見通しに立った国際協力を推進する必要がある。
 また,その際には国際協力の効果を高めるため,開発計画の策定やプロジェクトの選定の段階から,完成後の保守・運用の訓練まで一貫した協力を行っていく必要がある。
[2] 通信分野の技術は,日々進歩しており,こうした中で技術協力の実施にあたる人材の確保が,大きな課題となっている。このため,国,通信事業者,通信関係製造業者等においては,従来にも増してこの分野での人材の養成,活用を図る必要がある。
[3] 開発途上国における通信インフラストラクチャーの整備のためには,電気通信網の管理,運営,保守等にあたる高度な技術者を多数養成する必要がある。
 そのために我が国としては,現地の教育施設及び教育内容の充実への支援や海外からの研修員の教育訓練等を行うための訓練機関の整備・拡充を積極的に推進することが望まれている。こうした人材の養成にあたっては,乏しい資源の中,人的資源を財産として急速な近代化を図ってきた我が国の経験が大いに活用されるべきものといえる。
[4] 開発途上国において,真に有効な通信インフラストラクチャーを構築するためには,その国の環境や農村地帯等の地域の実状に見合った経済的なシステム・機器の開発を行うことが重要である。
 こうした開発の努力の例として,58年9月に開かれた「アジア・太平洋電気通信東京会合」で行われた国際電気通信衛星機構(インテルサット)事務局長の報告によれば,広範囲な地域に散在する小容量の通話の需要に対応する開発途上国のルーラル・コミュニケーションシステムとして,インテルサットは,小さな低コストの地球局を設置して低密度電話サービス(Low Density Telephony Service)を提供することを検討している。
 我が国としても,こうした開発途上国の実態に適合したシステムの開発及び支援に力を入れることが望まれている。

 

 

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