昭和58年版 通信白書

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第4節 情報通信事業

 1 電電公社の情報通信事業

(1)データ通信設備サービスの種類
 データ通信設備サービスは,電電公社が電気通信回線及びこれに接続する電子計算機等からなる電気通信設備を一体として設置し,利用者にサービスを提供するもので,この種類は第2-4-13表のとおりである。
 公衆データ通信サービスは,電電公社があらかじめ用意したシステムを共同利用するいわばレディメイド型サービスであり,「販売在庫管理システムサービス」及び「科学技術計算システムサービス」がある(なお,58年8月にはこれら二つのサービスのネットワークは統合され,新たに「公衆データ通信サービス」として提供されることとなった。)。
 各種データ通信サービスは,電電公社がユーザの求めによりその対象業務に応じたサービスを提供するいわばオーダメイド型サービスであり,「運輸省自動車登録検査システム」,「全国銀行為替システム」,「気象庁地域気象観測システム」等がその例である。
(2)公衆データ通信サービス
 ア.販売在庫管理システムサービス(DRESS)
 販売在庫管理システムサービスは,販売管理・在庫管理に必要な各種伝票の作成,ファイルの更新,管理資料の作成等の処理ができるサービスとして,45年9月東京で開始されて以来,57年度末現在においてユーザ数1,280,端末数5,929となっている。
 57年度末現在におけるサービスの提供状況は,第2-4-14表のとおりである。
 57年度末現在における販売在庫管理システムサービスの利用状況をユーザ数,端末数及び1ユーザ当たりの平均端末数でみると第2-4-15表のとおりであり,前年度に比べてユーザ数は約10%,端末数は約1%減少しており,1ユーザ当たりの平均端末数は4.6台である。
 このサービスのユーザの業種別構成の概略は,第2-4-16図のとおりであり,商業48%,製造業・建設業36%と,これらで全体の84%を占めている。
 次に,ユーザの資本金,従業員別事業規模についてみると,資本金においては5千万円未満の企業が62%を占め,従業員数においては100人未満の企業が64%を占めており,販売在庫管理システムサービスが中小企業を中心に利用されていることを示しているが,自営システムとの接続,1ユーザ当たりの端末数の増加等内容的変化が著しくなってきている。
 イ.科学技術計算システムサービス(DEMOS-E)
 科学技術計算システムサービスは,高度な技術計算や経営科学計算ができ,る我が国初0商用TSSとして,46年3月東京で開始されて以来順調な伸びを示し,57年度末現在においてユーザ数2,504,端末数3,544となっている。
 48年度には,電電公社が国産メーカ3社と共同開発した高性能の超大型電子計算機であるDIPS-1を利用した科学技術計算システムサービス(DEMOS-E)が開始された。
 57年度末現在におけるサービスの提供状況は,第2-4-17表のとおりである。
 57年度末現在における科学技術計算システムサービスの利用状況をユーザ数,端末数及び1ユーザ当たりの平均端末数でみると,第2-4-18表のとおりであり,前年度に比べてユーザ数は約12%,端末数は約32%いずれも増加している。1ユーザ当たりの平均端末数は,1.4台となっている。
 このサービスのユーザの業種別内訳は第2-4-19図のとおりであり,通信・出版・サービス業59%,製造業・建設業30%と,これらで全体の89%を占めている。
 また,ユーザの資本金,従業員別事業規模についてみると,資本金においては1千万円未満の企業が19%を占める一方,1億円以上の企業も28%を占めている。同様に従業員数においても,25人未満の企業が33%を占めているが,500人以上の企業も20%を占めており,科学技術計算システムサービスのユーザの両極化現象がみられる。
 ウ.サービスの統合
 公衆データ通信サービスは,これまで,科学技術計算システムサービス(DEMOS-E)及び販売在庫管理システムサービス(DRESS)の2種類の独立したサービスとして提供されてきたが,58年8月,これら二つのサービスのネットワークを統合し,新たに「公衆データ通信サービス」として提供することとし,各々のサービスは,それぞれ第1種サービス(DEMOS)及び第2種サービス(DRESS)となった。
 これにより,センタの集約等によるサービスの効率化が期待できるほか,第2種サービスに収容しているデータ宅内設備(データ端末)から第1種サービスのデータベースが利用できるようになるなど新たなサービスの提供が可能となった。
(3)各種データ通信システムサービス
 57年度においては,三重県救急医療情報システム等5システムが開始され,57年度末現在におけるシステム数は65システムとなっている。
 各種データ通信システムの利用状況を48年度以降の推移でみると,第2-4-20表のとおりであり,システム数の増加とともにシステムの平均規模が年々拡大している。
 また,57年度末現在におけるシステムを対象業務別にみると第2-4-21表のとおりであり,預金・貸付け・為替等の金融業務が多く31システムとなっているが,その全体に占める割合は徐々に減少している。

第2-4-13表 データ通信設備サービスの種類

第2-4-14表 販売在庫管理システムサービスの提供状況(57年度末現在)

第2-4-15表 販売在庫管理システムサービスの利用状況

第2-4-16図 販売在庫管理システムサービスのユーザの業種別内訳(57年度末現在)

第2-4-17表 科学技術計算システムサービスの提供状況(57年度末現在)

第2-4-18表 科学技術計算システムサービスの利用状況

第2-4-19図 科学技術計算システムサービスのユーザの業種別内訳(57年度末現在)

第2-4-20表 各種データ通信システムの推移

第2-4-21表 各種システムサービスの対象業務別内訳

 

 

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