昭和58年版 通信白書

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3 薄膜磁性体

 薄膜磁性体は,不揮発性メモリを実現できるという磁性体特有の性質のほか,集積化や大面積化等の点で製造性に優れており,また高密度記録及び高速動作が可能なことから,早くからメモリ用材料としての研究が行われている。
 国際電電では,光で記録再生する光磁気メモリが将来の高密度大容量メモリとして期待できることから,その実現のため大面積で均一な高性能記録媒体の開発が進められてきた。その結果,既にアモルファスのガドリニウム・テルビウム・鉄からなる三元合金薄膜が開発され,半導体レーザによる記録再生実験に成功し,1cm2当たり約20Mbの記録密度,1MHzの記録再生速度でC/N値として40dBが得られている。
 57年度は,光磁気ディスクの実用化を目指し,記録媒体の性能向上とともに,ランダムアクセスに必要な溝付ディスク媒体や光学ヘッドの小形化に重点を置いて開発が進められた。記録媒体については,記録層に干渉層,反射層を設けた多層構造により,C/N値として45dB以上を達成できた。また,溝付ディスク基板上での特性も同様の結果が得られ,ビット誤り率は10-4〜10-5の範囲であった。
 これらの結果を踏まえて,ディジタル信号で画像情報の入出力実験を行い,ファクシミリ等を入出力装置としたランダムアクセスが可能で,大容量の画像ファイルメモリとして実用可能であることが確認された。さらに,将来はコンピ一タ用等に使えるディジタル符号メモリの実用化のため,媒体の性能向上のための研究開発が進められている。

 

 

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