昭和58年版 通信白書

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9 レーダプロッティングの自動化方式

 レーダは,船舶の安全航行にはなくてはならない無線設備であり,最近の石油タンカー等の船舶の大型化に伴い,その重要性はますます高まってくるとともにその機能の改善が要望されていた。
 国際海事機関(IMO)は,このような背景のもと,従来,人手によりレーダ指示器表面に記録していた他船の航跡を自動的に表示するとともに,針路と速度を計算,評価して衝突回避に有効な情報の形で表示する機能(自動レーダプロッティング機能)の研究開発を進め,我が国も参加してきた。
 自動レーダプロッティング機能は,レーダから発射され他船に反射して戻ってくるレーダ電波の復調信号,ジャイロコンパスからの針路信号,スピードログからの速度信号等をマイクロプロセッサで計算処理することにより実現される。
 表示内容は,通常のレーダ表示に加え,他船の速度と針路のベクトル表示,過去の航跡,最接近予測距離及び時間,衝突予測危険範囲等であり,さらに他船が衝突予測危険範囲に進入してきたとき警報を発生させる。
 IMOでは,レーダに本機能を付加することにより船舶の衝突の防止が図れることから,1974年の海上における人命の安全のための国際条約(SOLAS条約)を改正し,1984年9月1日以降1万総トン数以上の船舶に順次本機能を有するレーダの設置を強制することとした。
 これに備えて,郵政省は,IMO総会決議に準拠して技術的条件を定め,58年2月1日に無線設備規則を改正した。

 

 

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