昭和58年版 通信白書

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16 マイクロ波リモートセンシング

 電波によるリモートセンシングは,従来,主に用いられてきた可視赤外領域の光を利用するものと異なり,昼夜の区別なく,天候に左右されることなく観測が可能である。特に,マイクロ波によるリモートセンシングは今後,電波の主要な利用分野の一つになると予想されるため電波研究所では,電波の有効利用の観点から,各種マイクロ波リモートセンシングに関する研究を行っている。
[1] 散乱計:雨域及びその降雨強度の観測を行う航空機搭載マイクロ波(10GHz及び34.5GHz)雨域散乱計を53,54年度で製作し,57年度末までに約107時間の飛行実験を行った。57年度の梅雨期には鹿島支所と共同で多周波レーダによる降雨観測実験も行った。また宇宙基地用降雨レーダの設計仕様を検討した。
 海面の風向,風速算定アルゴリズムを確立し,このアルゴリズムを使って56年度に実施した海面散乱実験の全データの解析を終えた。電波の散乱特性の基礎データ収集のため,室内実験用FM-CW(10GHz帯)レーダシステムを整備し,基礎実験を行った。
[2] 放射計:大気の等価伝搬遅延長及び電波の減衰を測定する高精度微分輻射測定法を開発した。これらの成果をMOS-1の放射計予備検証実験に反映すべく,宇宙開発事業団と共同実験を開始した。
[3] 合成開ロレーダ:56,57年で合成開ロレーダデータの高速ディジタル処理装置の整備を完了し,SEASATデータの画像再生ソフトウェアの改良を進めた結果,70km×50kmの散乱データを約4時間で画像化することに成功した。

 

 

15 電波音波共用上層風隔測装置(上層風ラス・レーダ)の開発研究 に戻る 17 レーザリモートセンシング に進む