昭和58年版 通信白書

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第5節 有線伝送及び交換技術

 1 ディジタル伝送方式

(1)ディジタル中継伝送方式
 ディジタル伝送方式は,音声はもとより画像通信,データ通信等の多様な情報を経済的かつ高品質で伝送できる特長を有しており,ディジタル1次群(1.544Mb/s)から5次群(397.2Mb/s)までのディジタルハイアラーキに沿った各種の有線伝送方式が実用化されてきた。
 平衡対ケーブルを用いたディジタル伝送方式としてはディジタル1次群に適用するPCM-24方式があり,我が国初のディジタル伝送方式として集中局〜端局等の近距離回線に使用されてきたが,56年度には諸機能の向上を図ったDP-1.5M方式が実用化された。
 標準同軸ケーブルを用いたディジタル伝送方式としては,中・短距離区間に適用されるDC-100M方式(電話1,440回線又は4MHzテレビ15回線)の実用化に続き,ディジタル伝送方式としては世界最大の伝送容量を持ち,長距離区間に適用されるDC-400M方式(電話5,760回線又は4MHzテレビ60回線)が51年度から商用に供されている。また,57年度にはDC-100M方式の改良方式であるDC-100M-R方式が実用化された。
 一方,網としてのディジタル化を推進するため,53年度には網同期方式及びディジタル1次群レベルを同期化しディジタル・データ交換網によるサービスを提供するためのディジタルデータ伝送方式が実用化された。その後56年度にはディジタル中継線交換機と組み合わせて電話網の本格的なディジタル化を行うために,ディジタル2次群レベルで同期多重変換を行う市外系ディジタル同期端局方式が実用化され,57年度にはディジタル加入者線交換機と組み合わせ,市内中継網のディジタル化を目的とした市内系ディジタル同期端局方式が実用化された。
(2)ディジタル符号化方式
 音声信号をディジタル信号に変換するための符号化装置については,LSI単一チャンネル符号器を用いて小形化,経済化を図ったPCM端局装置が56年度に実用化された。
 テレビジョン信号の符号化装置については,53年度にカラーテレビジョン信号を6.3Mb/sに変換するフレーム間符号化装置が,また56年度には32Mb/sに変換するフレーム内符号化装置がそれぞれ実用化されており,57年度からこれらについて新アルゴリズムの採用,主要部分のLSI化等により,一層の高品質化,経済化を図った装置の実用化が進められている。
(3)データ伝送方式
 データ通信システムの構成に当たって,データ端末装置とコンピュータ間,あるいは,コンピュータ相互間でデータの送受信をいかに能率よく行うかが重要な要素となっており,データ通信システムの多様化,取り分け端末の多様化に伴って50b/s〜数10kb/sという広範囲な速度でのデータ伝送が要求されている。
 電電公社では,データ回線の高速化・経済化を図るため,各種データ伝送方式の開発を進めている。従来のデータ伝送は,変復調装置を用いたアナログ伝送方式によっていたが,現在,端末までの全区間をディジタル構成で伝送するディジタルデータ伝送方式が実用化されている。この方式は,局間伝送路としてDC-400M方式等のディジタル伝送方式のほか,DAT方式(アナログ伝送路により,ディジタル情報を伝送する方式)により,200b/s〜48kb/sのデータ信号を伝送するものである。
 57年度には本方式の一層の経済化を図った諸装置の実用化を行うとともに,数kb/s〜数Mb/sの高速度データ伝送サービスを可能とする高速ディジタルデータ伝送方式の開発が進められてぃる。
(4)ディジタル加入者線伝送方式
 2線メタリックケーブルを用いて64kb/s及び16kb/sの双方向伝送を可能とし,端末-端末間のディジタル1リンクサービスを経済的に実現するディジタル加入者線伝送方式の開発が進められており,59年度から現場試験が開始される予定である。

 

 

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