昭和58年版 通信白書

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2 オフィス・オートメーション・ネットワーク

(1)オフィス・オートメーション・ネットワーク(OAネットワーク)の技術動向
 企業等においては,事務作業の効率化を図るため,ファクシミリ,ワードプロセッサ,パーソナル・コンピュータ等が導入され,OA化が積極的に推進されておi),最近では,これらOA機器をローカル・エリア・ネットワーク(LAN)等で結んだシステムを実現しようとする動きが活発である。
 OAのシステム化に当たって,必要不可欠なネットワークの発展段階を考えると,単体として導入されたOA機器(第一段階)が閉じた構内・ビル内でネットワーク化され(第二段階),その後,距離的に離れた構内・ビル間が結ばれ(第三段階),OAシステムが完成するものと想定される。我が国のOA化の現状は,第一段階から第二段階に進み始めたところといえる。現在,特に,各方面で注目を浴びてきている構内・ビル内のネットワークの形態としては,一般に,第2-7-16図に示すように,スター,ループ,リング,バスの4種類に分けられる。
 ネットワークの構成に当たっては,PBX(構内交換機)とLANが重要な構成要素となっている。PBXについては,その標準化が公衆電気通信網と接続する上で重要であり,通話品質確保のための伝送特性に関する規格規定並びに,通信網のサービス総合ディジタル網(ISDN)化に伴うPBXと通信網間の信号方式の高度化が課題となっている。
 ディジタルPBXの伝送特性に関する規格等については,ディジタルPBXの技術的パラメータ,性能要求条件,伝送特性等に関する検討がCCITTの第XI研究委員会(SGXI)の中のディジタル加入者線交換機の検討に含めて進められており,今会期(1981年〜1984年)に勧告される予定となっている。
 またPBXと加入者線交換機(LS)間の信号方式の高度化については,ISDNにおけるディジタル加入者線信号方式並びに,No.7信号方式の研究のなかで取り扱われている。
 LANの標準化については,現在米国のIEEE(Institute of Electricaland Electronics Engineers),CCITT及びISO(国際標準化機構)等で検討が進められている。一番活発に動いているのはIEEE(802委員会)で,7階層のプロトコルのうち,フィジカル・レイヤ,データリンク・レイヤの両層の機能及びネットワークレイヤとのインタフェースの標準化の検討が進められている。また,通信方式の国際的な標準化作業は,CCITTで行うこととなっているが,SGVII(データ通信用の網)において,LANと将来の公衆電気通信網との接続にかかる標準化が話題となっており,今後活発な動きが見られると思われる。また,LANに接続される装置という面からはSGVIII(テレマティークサービスのための端末)における標準化動向が注目される。
 なお,国内においては,LANの標準化はこれからという段階である。
(2)OAネットワークに関する取組
 郵政省では,今後OAが発展していく上で必要不可欠となるOAのネットワーク化に関し,LAN及びディジタルPBX等の開発・実用化動向を踏まえ電気通信行政の的確な展開を図るため「OAネットワークに関する調査研究」を57年度から2か年計画で行っている。57年度の調査研究結果については,「オフィス・オートメーション・ネットワークに関する調査研究報告書」として取りまとめられている。
 この報告書には,[1] LANなどのOAネットワークに関する技術・利用動向,[2] OAネットワークに関連する事項の標準化動向,[3] 利用者の意向とメーカの対応状況,[4] OAのネットワーク化に関する課題(LANと公衆電気通信網との接続等)についての調査結果と,58年度の検討課題を取りまとめており,今後のOAネットワークの発展・普及に資するため,両年度にわたる本調査研究の成果については,公衆電気通信設備との接続等に関する技術条件・標準方式の設定,必要な制度面の見直し等の施策に反映させる予定である。

第2-7-16図 ネットワークの形態

 

 

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