昭和59年版 通信白書

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第6章 周波数管理及び無線従事者

 第1節 周波数管理

  1 概   況

 現在,電波は,社会経済活動のほとんどすべての分野に利用され,極めて重要な役割を果たしており,また,身近な日常生活にもなくてはならないものとなっている。
 一方,電波は,「周波数スペクトラム」として時間的,空間的に占有性を有する一種の有限な資源である。
 すなわち,電磁波のスペクトラムは,第2-6-1図に示すように,可視光線の領域を超えて宇宙線の領域に至るまで非常に広範囲にわたっている。しかし,このうち,「電波」として無線通信に使用可能な周波数スペクトラムは,最近の技術でもおおむね50GHzまでの範囲に限られている。
 周波数帯別の主な用途は,第2-6-2表のとおりである。
 「電波に国境なし」といわれるように電波は地球を取り巻く空間を自由に伝搬するので,電波を利用する者が無秩序に周波数を使用するならば,国内はもとより国際間においても相互に混信妨害を生ずることとなる。
 このような電波の有限性及び伝搬特性のため,周波数スペクトラムの有効利用を図り,また,世界的な無線通信業務を円滑に行う必要があることから,周波数については,古くから国際的にちみつな管理が行われ,電波秩序が維持されている。
 我が国における周波数管理は,電波法及び関連法令の規定に基づき,次のような事項を考慮して適切に行うよう努めている。
[1] 国際電気通信条約及び同附属無線通信規則,国際民間航空条約,海上人命安全条約等の周波数に関する国際的な規律に従うとともに国際協調を図ること。
[2] 周波数需要の動向を把握し,周波数の計画的な使用を図ること。
[3] 円滑な無線通信業務を維持し,かつ,周波数スペクトラムを有効に利用するため,適切な技術的基礎に基づいた周波数の使用を図ること。
[4] 周波数スペクトラムの開発及び有効利用に関する技術の調査研究を推進すること。
 昭和58年度末現在,割り当てられた周波数の数は,第2-6-3図に示すように1万1,891波に達し,長波帯からマイクロ波帯までほとんどくまなく割り当てられている。また,無線局数も約270万局に達している。
 なお,最近の電波利用の拡大に伴い,周波数の需要は著しい増加を示しており,周波数の一層効率的な使用を図るとともに,今まで利用されていない新しい周波数帯について利用開発を進めていく必要がある。
 各業務ごとの周波数の分配状況は,第2-6-4表及び第2-6-5表のとおりである。

第2-6-1図 電磁波のスペクトラム

第2-6-2表 周波数帯別の主な用途

第2-6-3図 割当周波数の数及び無線局の数の推移

第2-6-4表 各業務に対する周波数の分配状況(宇宙無線通信業務を除く。)

第2-6-5表 宇宙無線通信業務用の周波数分配状況

 

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