昭和59年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

2 スペクトラム拡散地上通信方式

 電波研究所は,陸上移動通信を対象とするスペクトラム拡散通信方式を開発するために,54年度から,その適用性について調査を実施し,その結果に基づいて,本格的な研究開発を推進している。
 直接拡散方式及び周波数ホッピング方式の室内実験装置による種々の実験的検討及び理論的検討に基づいて,車載が可能な野外走行実験システムとして,周波数ホッピング形スペクトラム拡散通信装置6台が58年度前半に完成した。本システムモデルでは,8周波FSK(周波数偏移変調)方式及び誤り訂正符号化方式の採用によって,マルチパスフェージング下での改善効果が期待でき,アドレス符号にPNコセット符号を用い,多数のアドレスを確保している。
 野外走行実験に先立って,室内実験によって,種々の性能評価を実施した。その結果,都市内伝搬で予想されるマルチパスフェージング下において,良好な符号誤り率(BER)特性を示すとともに,初期捕そく及び同期保持機能も良好に動作することが確認された。
 車載機を都市内で走行させた予備実験によって,定性的に室内実験用シミュレータで得られたと同様のBER特性が得られることが明らかになり,通話試験も良好であった。

 

第2部第7章第4節1 ディジタル陸上移動通信方式 に戻る 3 40GHz以上の電波利用の研究 に進む