昭和59年版 通信白書

第8章　国際機関及び国際協力

　第1節　国際機関

　　1　概　　　況

　通信はその本来的性質からみて世界的なものであり，世界を通信で結ぶためには，国際間に統一された合意を必要とする。そのため，郵便及び電気通信に関する国際協力を維持，増進するための政府間国際機関である万国郵便連合（ＵＰＵ）及び国際電気通信連合（ＩＴＵ）は，他の国際機関に先駆けて早くから設立され，既に100年を超える歴史を有し，また，加盟国数においても150か国を超す大きな組織となっている。
　一方，通信衛星を利用して国際通信を行うための国際組織である国際電気通信衛星機構（インテルサット）は，1964年に発足し，1984年で20周年を迎えた。そのメンバー数も108か国となり，メンバー以外の国も含め，170か国余に衛星通信サービスを提供している。また，その成功を背景として，通信衛星による海事通信の改善を目指して，1979年に発足した国際海事衛星機構（インマルサット）は，1982年2月1日からシステムの運用を開始した。メンバー数は40か国となっている。
　以上のほか，国際海事機関（ＩＭＯ）及び国際民間航空機関（ＩＣＡＯ）においても，通信は常に主要な問題の一つとして取り上げられており，また，最近では通信技術の飛躍的発展が経済，社会及び文化に広範な影響を与えるようになってきたことを背景に，経済協力開発機構（ＯＥＣＤ）においても通信にかかわる問題が活発な議論の対象となっている。