昭和59年版 通信白書

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5 国際海事衛星機構(INMARSAT)

(1) 概   要
 インマルサットは,海事通信を改善するために必要な宇宙部分(衛星及びその管制等に必要な関連地上設備)をすべての国籍の船舶による使用のために開放し,これにより海上における遭難及び人命の安全に係る通信,船舶の効率及び管理,海事公衆通信並びに無線測位能力の改善に貢献することを目的とした国際機関であり,1979年7月の「国際海事衛星機構(インマルサット)に関する条約」及び「国際海事衛星機構(インマルサット)に関する運用協定」の発効に伴い発足した。
 同条約は,インマルサットに加盟する国の政府が署名する政府間条約で,機構の組織等の基本的事項を規定し,同運用協定は,インマルサットに出資してその運営に参画する国の政府,又はその国の政府が指定した権限ある事業体が署名する協定であり,機構の財務・運用に関する事項を規定している。我が国は,この権限ある事業体として国際電電を指定している。
 なお,インマルサットの加盟国は,1984年3月末現在で40か国であり,各々のインマルサットへの出資率は,第2―8―7表のとおりである。
(2) 組織構成
 インマルサットは,主に次の三つの機関で構成される。
 ア.総   会
 総会は, 「インマルサットに関する条約」に署名したすべての国の政府で構成されるものであり,原則として2年に1回開催される。
 主として主権国家としての締約国に関する事項を決定し,機構の一般方針,長期目標等を審議することなどを任務としている。
 1983年10月には,その第3回会合が英国のロンドンにおいて開催された。
 イ.理 事 会
 理事会は,1984年3月末現在,インマルサットへの出資率の大きさによって選出された署名当事者又は署名当事者の代表21名と,地域代表の原則を尊重することを確保するよう出資率にかかわりなく総会によって選出された署名当事者の代表4名とで構成される。
 理事会は,インマルサット宇宙部分の企画,開発,建設,運用,維持等,インマルサット事業の運営について責任と権限を持つ機構の中心的機関であり,少なくとも年に3回の会合を開催することとなっている。1983年度においては,第14回から第17回まで,4回の会合が開催され,主として以下の事項が決定された。
 [1] インマルサット第2世代衛星の提案要請書に,航空移動衛星業務用周波数(Rバンド)の一部とそれに必要なフィーダリンクを組み入れること
 [2] 宇宙部分の使用量に基づく各署名当事者の出資率を最初に決定する時期を,1985年1月31日とすること
 [3] 音声級専用線サービス及び電話の週末割引料金サービスを各々試行ベースで提供すること
 ウ.事 務 局
 事務局は,インマルサットを法的に代表する事務局長を長として,理事会の方針及び決定に従ってインマルサット業務を管理,執行する機関である。
(3) システム構成
 インマルサット・システムは,大西洋海域を欧州宇宙機関(ESA)からリースしたマレックス衛星,インド洋海域をインテルサットからリースしたインテルサットV衛星に搭載の海事通信サブシステム(MCS),太平洋海域を米国企業コムサット・ジェネラル社からリースしたマリサット衛星で各々カバーしている。これら運用衛星の配置は,第2―8―8表のとおりである。
 インマルサット・システムを利用して海事通信を行っている船舶は,1984年3月末現在で,56か国の2,272隻である。

第2-8-7表 インマルサットの加盟国及びその署名当事者の出資率(1984年3月末現在)
第2-8-8表 インマルサットの運用衛星の配置

 

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