昭和60年版 通信白書

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5 自営電気通信

(1)自営電気通信の概要

 自営電気通信は,利用者自身が自らの電気通信のために使用性のよいシステムを構築して行ういわば自家用の通信であるため,電気通信事業者のサービスでは満たされない通信需要を満たすものとして普及・発展を遂げてきた。

(2)事業法等の施行に伴う自由化の拡大

 事業法下では,郵政省令で定める技術基準に適合するなど一定の条件を備える電気通信設備であれば,第一種電気通信事業者の所有する電気通信回線設備に接続することが可能である。
 60年4月1日,事業法の施行とともに,電波法,有線電気通信法の一部も改正・施行されたことにより,自営電気通信設備についても大幅に自由化が図られた。
 自営電気通信設備は,自営無線通信設備及び自営有線電気通信設備に区分することが可能であるが,自営無線通信設備については,[1]これまで,自営電気通信のために無線局を開設できるのは電電公社の回線が利用できない場合等に限られていたが,これを緩和する,[2]無線局開設者以外は無線設備の使用を禁じられていたが,今後は一定の範囲で自由化する,の措置がとられた。
 自営有線電気通信設備は,これまで,自ら設置した設備を他人の設置した設備と接続して使用したり,他人に使用させたりすることは原則として禁止されていたが,この規制が撤廃された。
 これらの変更により,自営電気通信設備の設置が容易になるとともに,利便性が向上し,柔軟な運用が行えるようになった。
 また,従来,特定通信回線を介して公衆通信回線を相互に接続する,いわゆる公-特-公接続や,コンピュータの本体においてメッセージ交換を行う場合等に一定の制限があった。事業法では,これらの法律上の制限が原則として廃止されたため,データ通信システム等の設計に当たり自由度が増大した。

(3)発展が予想される自営電気通信

 従来,電気通信の利用に当たっては,一部を除き,公衆電気通信を利用するか又は端末から端末まで自営電気通信を利用するかの二者択一であり,結果的に自営電気通信の利用は,自ら大規模な電気通信回線設備を設置する能力を有する日本国有鉄道,電力会社等の大企業等に限られていた。しかしながら,新体制に移行したことにより,一部は電気通信事業者の電気通信設備を利用し,一部は自営電気通信設備を利用することが可能となり,通信ネットワーク形成上の柔軟性が増大した。このため,従来,自営電気通信設備を利用できなかった者も,電気通信事業者の通信ネットワークと自らの電気通信設備を組み合わせて,自らのニーズに合った独自のネットワークを形成することができるようになった。
 高度情報化の進展につれ,利用者のニーズはますます高度化,個別化が進むとみられ,電気通信利用の先端分野において,自営電気通信が通信全体をリードすることも予想されよう。

 

 

4 第二種電気通信事業の展開 に戻る 第1章第2節 通信高度化への環境整備 に進む