昭和60年版 通信白書

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2 発展する画像通信

(1) ビデオテックス

 ビデオテックスは,企業や家庭にあるテレビジョン受像機等と,情報センタを電話回線で接続して,情報センタに蓄積された情報をテレビジョン受像機等に映し出すものである。文字・図形等の情報の検索は,利用者と情報センタとの会話形式により行え,利用者の個別ニーズにこたえることができるものであり,利用者主導で情報を得ることができる新しい通信メディアである(第2-1-2図参照)。
 (サービス地域の拡大が進むキャプテンシステム)
 我が国においては,キャプテンシステムの名称により,59年11月から東京地区及び京阪神地区で商用サービスが実施されている。
 サービスの提供地域については,順次拡大が進められ,60年3月に名古屋地区,5月に新潟市,金沢市,熊本市,大分・別府地区,また,10月には札幌・小樽地区へと拡大されている。
 さらに,今後は,62年度末までには全国主要都市へと拡大される予定である。
 (増加するキャプテン端末)キャプテンの端末数の推移は第2-1-3図のとおりであり,サービス提供地域の拡大に従い着実に伸びてきている。
 現在のところ,キャプテン端末は事業所を中心に普及しており,家庭への普及はいまだ十分なものとなっていない。今後,端末機器の低廉化,操作性の向上,情報内容の充実,あるいは他のビデオテックスシステムとの相互接続の実現等により,利用範囲が拡大すれば,家庭においてもキャプテン端末が普及していくものと期待される。
 (多種多様な情報分野)
 情報提供者は,60年6月末現在,501社で,サービス開始時(310社)に比べ大幅な増加を示している。情報提供者は,全国に広がりをみせており,その業種も多岐にわたっている。
 また,蓄積画面数も,60年6月末現在,約13万画面となり,サービス開始時(約7万5千画面)に比べ,約2倍となっている。情報センタに蓄積され,利用者が検索できる情報は,第2-1-4表のとおりである。60年6月1か月間の総アクセスは980万画面であり,アクセスの多いものは「娯楽・趣味」,「公共広報」,「専門情報」の順となっている。

(2)ファクシミリ通信

 ファクシミリ通信は,文字,図形,写真等を,簡易な操作でそのまま伝送できることから,漢字を使用する我が国に適した通信メディアとして,広く普及するとともに,その利用分野は非常に広範囲なものとなっている。
 ファクシミリ通信には,電話網,専用線,ファクシミリ通信網等NTTの回線を利用したもの,利用者が自ら設置した回線を使用したものがある。また,このほか,NTTによって公衆ファクスサービスが提供されている。
 (ファクシミリ通信網サービスの充実)
 我が国のファクシミリ通信は,46年の公衆電気通信法の改正により,電話網が音声以外にも使用できることとなり,電話網ファクシミリを中心に急速に発展してきた。
 その後,56年9月に,ファクシミリ専用のネットワークサービスであるファクシミリ通信網サービスが提供された。このファクシミリ通信網サービスは,ディジタル伝送方式と蓄積交換方式を用いることにより,ファクシミリ通信に適したサービスの提供を可能とした。
 さらに,59年7月には,従前のファクシミリ通信網サービスをより充実した「新ファクシミリ通信網サービス」が開始され,親展通信,ファクシミリボックス等の蓄積交換サービス機能,コンピュータとの通信を可能にするセンタ・エンド型通信サービス機能が付加されたほか,A4判伝送も可能となった。
 (飛雇的に発展するファクシミリ通信)
 電話網及びファクシミリ通信網を利用したファクシミリ設置個数の推移は,第2-1-5図のとおりとなっている。59年度末現在,設置個数は,前年度末に比べ50.1%増の73万個であり,大きな伸びを示している。
 ファクシミリ通信網サービスの契約数の推移は,第2-1-6図のとおりである。59年度末現在,1万8,214契約であり,前年度末に比べ90.7%増となった。
 また,ファクシミリ通信網サービスの加入地域は,59年度末現在で294地域となり,人口10万人以上の都市をほぼ網羅した。
 なお,ファクシミリ通信のより一層の普及を図るため,CCITTの標準化活動と調和をとりつつファクシミリG4機について60年3月,郵政省から推奨通信方式が告示された。
 ファクシミリG4機は,ディジタル網を使用し,A4判原稿を数秒で送れるほか,誤り制御方式の導入や高解像度化により高品質な通信が可能である。また,文字情報と画像情報の混在した文書の効率的な伝送が可能なミクストモード機能を備えており,日本語テレテックスとの相互通信も可能である点で,従来のファクシミリに比べ大幅に機能が向上している。

(3)電子郵便

電子郵便は,送達の一部に電気通信(ファクシミリによる通信)を取り入れることにより,送達時間を大幅に短縮させた新しい郵便サービスで56年7月に実験を開始した。慶弔用を中心に図面,グラフ,数表等を迅速に送付できるサービスとして利用されている。
 なお,60年3月から「レタックス」という愛称の下に,より一層の利用拡大が図れるよう周知を行っている。
 また,59年11月には,国際電子郵便の実験サービスを開始した。
 (利用の増加する電子郵便)
 電子郵便の取扱通数は,59年10月のサービスネットワークの全国拡大後,急激な伸びを示しており,新しい郵便サービスとして発展が期待されている(第2-1-7図参照)。
 (世界に広がる国際電子郵便)
 国際電子郵便サービスは,郵便局の窓口に差し出された手紙や図形等の文書を,国内及び国際間の電子郵便網を通じて送受信し,速達便等により受取人に配達するものである。これにより,国際間の郵便の送達時間は大幅に短縮され,差出日と同日又は翌日の配達が可能となった。
 サービス開始当初の取扱国は米国,英国等7か国であったが,その後,韓国,ブラジル等が加わり,60年10月現在,取扱国は25か国となっている。
 今後,取扱国の増加に伴い,国際電子郵便の発展が期待されている。

第2-1-2図 ビデオテックスの仕組み

第2-1-3図 キャプテン端末数の推移

第2-1-4表 キャプテンの情報提供分野とその情報メニュー例

第2-1-5図 ファクシミリ設置個数の推移

第2-1-6図 ファクシミリ通信網サービスの拡大状況

電子郵便レタックス

第2-1-7図 電子郵便取扱通数の推移

 

 

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