昭和60年版 通信白書

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2 電波利用技術の開発

 電波は,船舶や航空機の安全確保,リモートセンシング,レーダー,医療機器や電子レンジ等における高周波エネルギーの利用等,非通信系分野においても広範囲にわたり利用されている。
 最近,特に注目されているものとして,超長基線電波干渉計(VLBI)による高精度測位技術への応用がある。
 VLBIとは,10億光年から数十億光年離れた宇宙のかなたの星から届く微弱な電波を,地球上の2地点で独立に,同時にとらえ,2地点間での受信時刻のずれを百億分の1秒単位で測定し,それを基に2地点間の距離を計算するものである(第3-1-2図参照)。
 VLBI技術の利用としては,地殻プレート運動の検出による大地震の長期的予知,国際精密時計比較,地球回転運動の精密測定等が考えられている。
 郵政省電波研究所は,59年度にNASAと共同して,国際的なVLBI観測を開始し,59年7月から9月まで実施された第1回日米VLBI本実験においては,鹿島局と他6観測局とを結ぶ6本の基線長を3cm以下の誤差で決定し,日本列島の位置を高精度に確認するなど,多大な成果が得られた。

第3-1-2図 超長基線電波干渉計(VLBI)の原理

 

 

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