「東日本大震災による委員活動への影響等に関する実態調査」結果報告書の概要
第1 調査の目的等(報告書P.2)
平成23年3月11日の東日本大震災では、茨城県内の行政相談委員の多くも大きな被害を受けた。
このような状況の中、4月に入り、被害の大きかった市町村の何人かの委員から、今後の委員活動上の支障や悩みのほか、今回の大震災を契機に、今後の委員活動の進め方や大震災での体験等を踏まえ行政機関等の取るべき対応等について建設的かつ真摯な意見を聞くことができた。
これらの意見等については、他の委員からも同様のことを聴取し、それを取りまとめて情報発信することが、今後の行政相談委員活動を行う上で、また、被災県の行政相談委員として有益なのではないかと考え、平成23年5月と9月の二度にわたり、県内すべての委員(平成23年4月1日現在123人)を対象に、「実態調査」を行った。
5月の第1次調査については74人の委員から回答を得(回収率60.2%)、9月の第2次調査については34人の委員から回答を得た(回収率27.6%)。
第2 第1次調査結果の概要
1 東日本大震災発生後の委員活動上の支障の有無等(報告書P.3〜)
今回の大震災においては、委員の自宅はもちろん、定例相談所を開設している施設等が被害を受けていることが予想された。
そこで、震災後に生じている委員活動上の支障や悩み等について聞いたところ、74人の委員から回答を得た。その回答の内訳をみると、活動上の支障等は「特にない」とするものが55人(74.3%)と最も多く、次いで「一時的に相談所が開設できない等の支障があったが、現在は解消している」とするものが10人(13.5%)で、活動を行う上での支障は特になかった、あるいは、あっても比較的短期間で解消したとするものが大半(87.8%)を占めている。
その一方で、「自身の事情等で委員活動に時間を割けない」とするものが6人(8.1%)、「制度のPR不足等から十分な活動ができなかった」とするものが3人(4.1%)みられた。
2 東日本大震災後に実施したい委員活動等に関する意見等(報告書P.5〜)
4月に会った委員の中からは、今回の大震災を契機として、今後の委員活動の進め方等について積極的な意見等が聞かれた。
そこで、大震災後に実施したい委員活動等について聞いたところ、25人の委員から31件の意見が寄せられた。これを分野別にみると、表−1のとおり、「民生委員等との連携」を図りたいとするものが8件(25.8%)と最も多く、次いで、震災により心の傷を負った方への対応など「震災関連の相談対応」に関するものが7件(22.6%)、「住民への情報提供」に関するものが4件(12.9%)などとなっている。
表−1 震災後に実施したい委員活動に関する分野別意見
| 分野 |
件数(%) |
| (1) 特設相談所の開設 |
3件 (9.7) |
| (2) 住民への情報提供 |
4件 (12.9) |
| (3) 震災関連の相談対応 |
7件 (22.6) |
| (4) 民生委員等との連携 |
8件 (25.8) |
| (5) 委員制度のPR |
3件 (9.7) |
| (6) その他 |
6件 (19.4) |
| 合計 |
31件 (100) |
主な分野別の代表的な意見は、以下のとおりである。
| 分野別 |
代表的な意見 |
| (2)住民への情報提供 |
- 震災後、自分の居住地周辺の道路、建物等の調査をしたが、災害対策本部の連絡先が分からず、特に夜間・休日は音声録音で連絡がとれなかったため、市の担当課に苦情を申し入れた。後日、配布物等があり解決したが、普段から緊急時の連絡体制を確立しておく必要があると思う。
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| (3)震災関連の相談対応 |
- 震災後、心に傷を負った方が多いように思うので、そういう方々の相談にも対応していきたいと思う。
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| (4)民生委員等との連携 |
- 災害時だけではなく、平常時においても民生委員と協同で弱者の方を対象に見回りなどの支援を行うべきであると思うが、当市においては日頃から民生委員との緊密な連携が図れていないため難しいと考える。行政相談委員が民生委員の定例会議や各種支援活動等に参加できるようになれば、一層の使命感と仲間意識が醸成され、親近感も生まれ、地域を回る中で事案の掘り起しにもつながると思うので、民生委員と密接な関係が築けるよう、行政評価事務所で取り計らってほしい。
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3 東日本大震災での体験を踏まえた行政機関等への意見等(報告書P.8〜)
今回の大震災により、多くの委員が避難所でのボランティア活動等に従事するなど様々な体験をし、その中で行政機関の対応等についても間近に見ていることが予想された。
そこで、大震災での体験を踏まえた行政機関等への意見等について聞いたところ、40人の委員から61件の意見が寄せられた。これを分野別にみると、表−2のとおり、道路、堤防等の早期復旧など「災害復旧・復興支援」に関するものが21件(34.4%)と最も多く、次いで、震災時の情報伝達手段(方法)など「住民への情報提供等」に関するものが14件(23.0%)、「災害予防対策の実施」に関するものが9件(14.8%)などとなっている。
また、件数としては少ないが、「被災時の自治会等の活用」に関するものが3件(4.9%)みられた。
表−2 震災体験を踏まえた行政機関等への分野別意見
| 分野 |
件数 (%) |
| (1) 災害復旧・復興支援 |
21件 (34.4) |
| (2) 被災時の自治会等の活用 |
3件 (4.9) |
| (3) 住民への情報提供等 |
14件 (23.0) |
| (4) 災害予防対策の実施 |
9件 (14.8) |
| (5) 原発事故関係 |
7件 (11.5) |
| (6) その他 |
7件 (11.5) |
| 合計 |
61件 (100) |
主な分野別の代表的な意見は、以下のとおりである。
| 分野別 |
代表的な意見 |
| (1)災害復旧・復興支援 |
- 東北地方等の被災地に比べると、被害が過少に見えてしまい、従来ならば行政苦情につながる状況でも我慢してしまう傾向がある。行政は苦情や意見を特に聞かなくてもパトロールや調査を行い、早急に対応する努力をしてもらいたい。特に道路や堤防の亀裂などは対応が遅れると被害が大きくなる。
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| (2)被災時の自治会等の活用 |
- 本市の各町内には、「自主防災会」という組織があるが、今回の大地震に際して果たしてどれほどの活動ができたか疑問である。残念ながら、私の町内の自主防災会は、余震が続く中、自己の対応に追われほとんど動けなかったが、うまく機能した自主防災会もあったと聞いている。記憶が新しいうちに、各町内の活動の実態等を調査し、有事の際に行動できる自主防災会づくりを目指してマニュアル等の見直しを図っていくべきであると考える。
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| (3)住民への情報提供等 |
- 多くの市町村で防災無線を活用しているが、風向きの悪い所や自動車の交通量の多い所では聞こえないことが多い。今回の震災で停電・断水した際、停電の情報については発電機を使って電源を確保し、テレビから情報の確認ができたが、断水については通電後も防災無線が聞こえないため、どこで給水を行っているのか分からず、電話を掛けて確認しようにも、回線が混雑してなかなかつながらない状態であった。家庭内受信機が設置されていれば、情報は市民全体に知れたと思うので普及を進めたい。
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| (4)災害予防対策の実施 |
- 震災当日、避難所に指定されている公民館にいたが、公民館は天井が落ち、窓枠や壁にひびが入っていた。地震が落ち着いた頃、地元の自治会長が見え、水や食料が確保できているか確認されたが、公民館には何の用意もなく、水を入れる容器すらなかった。また、停電で電話もパソコンも使えず、携帯電話もつながらないため、災害本部とも連絡が取れなかった。幸い避難しなければならないほどの被害ではなかったので問題にならなかったが、今回の経験を生かし、避難場所に指定されている所は、それなりの対応ができるように日頃からチェックを行っていくことが望まれる。また、IT機器が使えなくなったときに、災害本部との連絡をどのように取るのかも検討してほしい。
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4 その他(自由意見)(報告書P.14〜)
前述1から3だけでは、今回の大震災での体験を踏まえて感じていること等について網羅的に聞くことは難しいと考え、「その他(自由意見)」を記載してもらうことにしたところ、8人の委員から意見が寄せられた。
その代表的なものは、以下のとおり、ボランティア活動を通じての避難者との関わりについての感想など、多岐にわたっている。
| 題名 |
内容 |
| ボランティア活動における緊急避難者との関わりの中での感想 |
- 管轄違いの物資の陳列
ボランティアはトップリーダーの指示に従って動く。布団提供コーナーで動いていたところ、被災者からあの布団が欲しいと言われる。リーダーに確認すると、これは県供出の布団だと言われ、県職員に確認に行く。改めて、布団に所属があることを知る。民間供出の物は、汚れや傷みのひどい物もあるので仕分けを行う。被災した人が、より安心して広い体育館内で休むための布団と考えた場合、日頃の「もったいない」感覚は自分の物だからこそ言えるのであって、他人の物に身をくるめることは、やはり新品又は誰が見ても気分良く使えそうなもの、自分がこれを使って安心して眠れる、良かったと言えるものを提供しようと話し合い、仕分けを行う。
最初に違和感を覚えたのは、衣類などの支援物資が置いてある所まで被災者が来て、より取り見取り欲しい物を持っていくと思っていたが、ボランティアがあらかじめ被災者の要望リストを見てそれに近いものを渡していたことである。ボランティアがつかんでくるものを被災者が広い体育館の入口で待っているという光景にびっくりした。夕方の反省会で、被災者本人が直接手に取って必要な物を持っていくということでいいのではないかと伝え、翌日からその方式に変わった。
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第3 第2次調査結果の概要
○ 東日本大震災の経験等を通して今考えていること(報告書P.23〜)
平成23年9月に、東日本大震災の発生から約半年を経て、大震災の経験を通じて今考えていることについて聞いてみたところ、34人の委員から68件の意見が寄せられた。これを分野別にみると、表−3のとおり、震災後約半年を経過しても全・半壊した家屋の修繕などがなかなか進んでいない状況等を踏まえ、第1次調査と同様、「災害復旧・復興支援」に関するものが22件(32.4%)と最も多く、次いで、福島第一原発による健康への不安やそれによる風評被害の発生等を受けて、「原発事故関係」に関するものが10件(14.7%)、同じく、大震災後における「行政相談委員活動」に関するものが10件(14.7%)などとなっている。
表−3 震災発生から約半年経過時点における分野別意見
| 分野 |
件数 (%) |
| (1) 災害復旧・復興支援 |
22件 (32.4) |
| (2) 被災時の自治会等の活用 |
6件 (8.8) |
| (3) 住民への情報提供等 |
7件 (10.3) |
| (4) 災害予防対策の実施 |
3件 (4.4) |
| (5) 原発事故関係 |
10件 (14.7) |
| (6) 行政相談委員活動 |
10件 (14.7) |
| (7) ボランティア活動 |
6件 (8.8) |
| (8) その他 |
4件 (5.9) |
| 合計 |
68件 (100) |
主な分野別の代表的な意見は、以下のとおりである。
| 分野別 |
代表的な意見 |
| (1)災害復旧・復興支援 |
- 東日本大震災の爪痕に今なお苦しんでいる住民が多い。屋根瓦の破損は2〜3年先まで修理ができない状況の中、台風15号の大雨で雨漏りしている住宅については一日も早く修理ができないだろうか。被害を受けた方々の心情を考えると、地元の職人のみならず、国、県等の配慮が必要ではないかと考える。
- 被災された方々の将来の生活不安を一日も早く解消し、家族を亡くした人々の心の傷を癒すためには、国等の支援、傾聴ボランティア、カウンセラーが必要である。
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| (5)原発事故関係 |
- 福島原発事故による風評被害については、各方面に影響を及ぼしている。住民に身近な市町村は、放射線量の情報提供はもちろんのこと、自前の測定を実施しているほか、除染についての四苦八苦の対応を求められているが、国側の住民に対する見える形での対応、対策を早急に出してほしい。
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| (6)行政相談委員活動 |
- 私は、この度の震災を通して、行政相談委員としてはもちろんのこと、一市民のボランティアとしてもいろいろな場面で活動させていただいた。中でも、心のケアということで、各避難所へ出向き一人一人にお話や相談、また、怒りなどを聞いてアドバイスをしたりして一時を過ごしてきた。行政と相談委員が一緒になって、いつもペアを組んで、被災された方々に対応してきた。これを期に当市では、市民協働で「心の健康づくり委員会」を設置し、当市の実情に合った取り組み方や行政職員を始めとした関連団体の意識の啓発とネットワークを強化し、地域力を高め、物事を未然に防ぐことができる地域社会を構築していけるよう頑張っている。
- 当市では、被災前のように元気な市民があふれる町を目指し、「心も身体も健康」をテーマに、「まちづくりは市民の健康から」を理念として、市民のますますの健康への意識の向上を図っていけるよう、努力していきたいと思う。私も微力ではあるが、一緒に頑張っていきたいと思う。
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