総務省トップ > 組織案内 > 外局等 > 公害等調整委員会 > 係属事件 > 熊本県天草市有明町大浦地先内の砂利採取計画不認可処分に対する取消裁定申請事件(平成22年(フ)第2号)

熊本県天草市有明町大浦地先内の砂利採取計画不認可処分に対する取消裁定申請事件(平成22年(フ)第2号)

(1)事件の概要

 熊本県知事は、申請人から出された熊本県天草市有明町大浦地先内に係る砂利採取法第16条に基づく砂利採取計画認可申請に対し、熊本県海砂利採取削減計画に基づき、申請された区域における採取可能な海砂利については、既に平成20年度に採取されているため、平成22年度に採取する限度量はないこと。申請された区域で砂利の採取を行うことについて、熊本県一般海域管理条例(以下「管理条例」という)第3条1項の規定による一般海域における砂利採取の許可を得ていないこと。申請人の砂利採取計画を認可することは、公共の福祉に反すること。などを理由に、平成22年7月22日付けで、不認可の処分行った。
 これに対し、申請人は、県の定めた計画に基づく当該地域の砂利採取限度量超過などを理由にした不認可処分は、その理由がいずれも砂利採取法第19条所定の基準に該当せず、違法であるとして、平成22年9月2日付けで、同処分の取消しを求めて裁定を申請した。

(2)事件の終結

 裁定委員会は、平成23年6月30日付けで、以下の理由により申請人の裁定申請を棄却した。
 公害等調整委員会(以下「公調委」という)としては、管理条例第3条1項に基づき熊本県知事が申請人に対して行った、一般海域における砂利採取の許可申請にかかる不許可処分の適否の判断は、公調委の所掌事務には含まれず、また、申請人からはこの不許可処分に重大かつ明白な違法があるとの主張もないことから、本件認可申請に係る砂利採取行為については、管理条例第3条1項の許可を得ていないことを前提として、本件不認可処分の適否を判断することとなる。
 砂利採取法第18条2項及び砂利の採取計画等に関する規則第3条2項は、砂利採取計画の認可申請には「砂利の採取に係る行為に関し、他の行政庁の許可、認可その他の処分を受けることを必要とするときは、その処分を受けていることを示す書面又は受ける見込みに関する書面」を添付することを定めている。これは、砂利採取の権原がないか、又は、これを取得する見込みのない者を可能な限り排除して、処分庁が無用な認可処分を防ぐことを意図したものである。なお、ここにいう「他の行政庁」は、砂利採取計画の認可処分権者と同一であっても何ら差し支えないと解される。
 当裁定委員会としては、管理条例第3条1項に基づく不許可処分が適法有効に存在することを前提とする以上、処分庁がこの不許可処分を理由に本件不認可処分を行ったことについて、違法性を認めることはできない。このことから、本件不認可処分に関するその余の不認可理由の適否を判断するまでもなく、その取消しを求める本件裁定申請には理由がないので、本件裁定申請を棄却することとする。

(3)裁定書

裁定書のPDFはこちらからpdf ご覧いただけます。


文中の固有名詞などには、「A」「a」等の記号に置き換えているものがあります。

ページトップへ戻る