調停に参加できる人は?

ちょうせい第10号(平成9年8月)より

Q&A こんなときは? 第1回

2 調停に参加できる者

Q: 建設工事の振動による損害に係る賠償請求調停事件について、工事請負人を相手方として被害者から調停申請がなされましたが、この手続に工事の注文者を参加させることができますか。

A: 調停に参加できるのは、同一の原因による公害の被害者に限られます(公害紛争処理法第23条の4)。したがって、注文者を参加させることはできません。
 なお、工事の注文者を含めて調停を行う方法としては、申請前の方法として、(1)事前相談の際に当初から注文者を被申請人とするよう指導する方法、また、申請を受け付けた後の方法として、(2)別に注文者を被申請人とする調停申請するよう指導し、申請を受け付けた後、前の調停と併合する方法(規則14条)、(3)調停手続に加えることにより調停の成立が容易になるとか、当事者の合意の実効性が確保できるとの判断に基づき、利害関係者として手続に関与させ、調停条項上の権利義務の主体とする方法があります。
 特に、(3)の場合には、法律上の制度ではなく運用によるものですから、当事者の意見を聴き、反対がある場合には手続に関与させることは適当でないと思われます。また、本件において、注文者を利害関係者として手続に関与させる場合には、注文者から手続に加わる旨の書面を提出してもらうか、または、調停期日の場で口頭で申請してもらい、その旨を調書に記載するのが適当です。その後、期日に出席した場合には、調書の出席状況の欄に利害関係人としてその氏名を記載することが適当です。また、利害関係人であっても当事者と同様の立場で関与することになりますから、利害関係人に損害賠償責任を負わせる内容の調停もできます。このような運用は、公害紛争処理法上の調停手続は、当事者の互譲に基づく合意により公害紛争を解決しようとするものですから、民事調停や裁判上の和解において第三者が利害関係者として当事者と同等の地位につく場合と同様の趣旨によるものです。

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