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訴訟の証拠資料として使うために調停記録の謄写請求をすることができますか?

ちょうせい第22号(平成12年8月)より

Q&A こんなときは? 第13回

 公害紛争・苦情処理に携わる地方公共団体担当者の皆さんの疑問にお答えする「こんなときは?」のコーナーの第13回です。今回も最近寄せられたお問い合わせの中から、業務の参考となると思われるものを選んで掲載します。公害紛争処理制度等についてご質問がありましたら当委員会事務局までおたずねください。

1 訴訟の証拠資料として利用するための調停記録の謄写請求

Q: 調停打切りとなった事件の申請人が裁判所に訴えを提起しました。そして、申請人から、裁判において証拠資料として利用するために、調停委員会が職権で行った調査(粉じん被害損害賠償事件における粉じん測定データ)について閲覧及び謄写の請求がありましたが、許可してよいのでしょうか。また、裁判所から請求があった場合にはどうでしょうか。 

A:
調停事件の記録は、当事者であれば、審査会等の許可を得て、閲覧することができます(公害紛争処理法施行令第15条の3)が、記録の謄写については規定がありません。閲覧の許可に当たっては、請求の理由等を把握した上で(公害紛争処理法施行規則第7条)判断することになりますが、その理由によっては慎重な判断が必要となる場合もあります。
 本件のように、調停事件の記録の内容を公開の裁判において証拠資料として利用することが閲覧の理由であるような場合には、調停手続の非公開(公害紛争処理法第37条)との関係を考える必要があります。具体的には、手続が継続中であれば、当該調停手続の進行に支障が生じるおそれはないかについての判断が必要であることはもちろんですが、手続終結後であっても、当事者のプライバシー等を侵害することにならないか、当事者の意向を十分斟酌しているか、非公開原則を採用する調停制度そのものに対する国民の信頼を損なうことはないか(国民の調停制度の利用の阻害要因とならないか)等、諸般の事情を考慮して総合的に判断する必要があります。このことから、調停手続継続中と終了後とでは判断が異なる場合もあると考えられます。
 本件の場合、請求のあった資料は調停委員会が行った調査によるものであり、内容的にみても客観的な数値データであること、また、調停手続が既に終了していること等から考えると、一般的には閲覧を許可することは差し支えないと思われますが、申請人に対して調停手続の非公開の趣旨を改めて説明しておくことが望ましいでしょう。
 また、裁判所から審査会等に対して文書送付の嘱託がされることがあります(民事訴訟法第226条)。この場合も上記と同様に考えればよいでしょう。なお、提出に当たっては、予め調停事件の当事者の了解を得ておくことが望ましいでしょう。

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