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代理人と代表者はどう違うの?

ちょうせい第25号(平成13年5月)より

Q&A こんなときは? 第15回

 公害紛争・苦情処理に携わる地方公共団体担当者の皆さんの疑問にお答えする「こんなときは?」のコーナーの第15回です。今回も最近寄せられたお問い合わせの中から、業務の参考となると思われるものを選んで掲載します。公害紛争処理制度等についてご質問等がありましたら当委員会事務局までおたずねください。

代理人と代表者との違い

Q: 廃棄物処理施設の建設をめぐり住民から調停申請がありました。調停委員会は、申請人が多数にわたることもあるため、代理人を選任するよう指導しました。ところが、申請人は、代理人ではなく代表者を選任したいと考えているようです。当事者が代表者を選定する場合に注意すべきことや、代理人を選任した場合との違いはどのようなものでしょうか。 

A: 法令上は、当事者が多数であっても、代理人の選任や代表者の選定をしなければならないわけではありません。しかし、申請人が数十人あるいは数百人にわたる大型の事件の場合には、当事者が毎回調停期日に出席することは困難であり、また調停期日を開催する会場の確保や当事者に対する通知といった手続等を考えると、代理人や代表者なしで調停手続を円滑に進行させることは実際上困難であると考えられます。そのため、申請人にその旨を十分説明し、代理人を選任するか又は代表者を選定するよう指導するのが適当です。
 次に、代表者制度について、代理人制度と比較しながらみてみます。当事者が多数である場合には、当事者はそのうちから1人若しくは数人の代表者を選定し、又は変更することができます(公害紛争処理法施行令(以下「令」という。)第3条第1項)。よって、委任による代理人の場合とは異なり、当事者以外の者を代表者として選定することはできません。
 代表者が選定された場合には、代表者は、当該代表者を選定した当事者のために、それぞれ単独で申請の取下げ、調停案の受諾等を除く一切の行為(調停期日への出席、調停期日での発言、資料の提出等)をすることができます(令第3条第2項)。なお、代理人の場合とは異なり、代表者に対しては、申請の取下げ、調停案の受諾等についての権限を付与することはできません(公害紛争処理法(以下「法」という。)第23条の2参照)。
 さらに、代表者が選定された場合には、当事者は、代表者がすることのできる行為については、代表者を通じてのみすることができることになります。つまり、代理人を選任した場合とは異なり、当事者本人が調停手続において各種の行為をすることができなくなります(令第3条第3項。ただし、出頭要求による調停期日への出頭及び意見の陳述、文書等の提出要求による文書等の提出等、調停委員会の指示による行為は行うことができます。)。
 調停委員会等が代表者の選定について相談を受けた場合、以上のような代理人制度との違いについて十分に指導を行う必要があります(表参照)。調停委員会等としては、通常の場合、調停期日における手続等にかんがみ、弁護士等を代理人として選任するよう指導することが多いと思われますが、さらに、代表者は申請の取下げ、調停案の受諾等ができないこと及び代表者を選定した当事者は調停期日で発言等をすることができなくなること等についても説明することが必要でしょう。なお、当事者に弁護士を選任する意思や弁護士費用を負担する経済力がない場合には、当事者の中の代表者格の者を代理人とするよう指導するのが適当ではないかと思われます。

公害等調整委員会事務局

(表)代理人と代表者の主な相違点
  代理人 代表者
当事者数 当事者が一人の場合であっても選任できる。(法第23条の2第1項) 当事者が複数の場合に限り選定できる。(令第3条第1項)
資格 当事者以外の第三者から選任してもよい。(法第23条の2第1項) 当事者の中から選定する必要があり、第三者から選定することはできない。(令第3条第1項)
承認の有無 弁護士でない者を代理人に選任するには、調停委員会の承認が必要である(一度承認した場合であっても、後に取り消すことも可能。)。(法第23条の2第1項、第2項) 代表者の選定には、調停委員会の承認は不要である(調停委員会が代表者をやめさせることはできない)。(令第3条第1項)
権限 事件の処理に必要な手続上一切の行為をする権限がある。ただし、申請の取下げ、調停案の受諾等については特別の授権が必要である。(法第23条の2第4項) 申請の取下げ、調停案の受諾等を除き、事件の処理に必要な手続上一切の行為をする権限がある。(令第3条第2項)
当事者の手続への関与 代理人を選任した場合であっても、当事者本人は、調停手続において各種の行為をすることができる。 代表者が選定されると、代表者がすることのできる行為については、代表者を通じてしかできない。(令第3条第3項)

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