はじめに


 わが国の医療需要は、少子・高齢化社会の到来、疾病構造の変化、医療技術の高度化・専門化等に伴い、ますます増大し多様化するとともに、国民の健康への関心の高まりにより、医療サービスに対するニーズは、量的拡大から質的充実へと変化してきています。

 一方、医療供給体制については、病院数、病床数ともに欧米先進国と比べ遜色ない水準に達しており、医師等医療従事者も全体としてはほぼ充足しているといわれているものの、医師等の大都市指向や新臨床研修制度等の影響もあり、以前から言われている離島・へき地等における医療スタッフの不足など医療資源の地域的偏在に加え、産科・小児科等で医師不足が深刻となるなど、診療科目における偏在も広がってきており、地域医療の確保を図る上で大きな問題となっています。

 また、医療保険制度の改革など医療制度も大きく変化しており、病院の役割の明確化、病院間の機能分担や連携のあり方、保健・医療・福祉の連携等が重要な課題となってきています。

 このような中で、自治体病院の経営状況をみてみると、平成16年度は経常収支において前年度の932億円の赤字から1,317億円の赤字と385億円増加して、依然として事業数、病院数ともに6割以上が経常損失を生じるという極めて厳しい状況にあります。

 こうした状況の下で、自治体病院が、引き続き地域の中核的医療機関として、あるいは地域医療の担い手としてより良い医療を提供していくためには、経営を健全化していくことが重要であり、当該病院がどのような経営状況にあるかを的確に把握し、問題点を改善していくことが不可欠です。


 「自治体病院経営指標」は、経営状況の良い病院に係る類型別及び病院別の類似病院の経営指標との比較検討を通じ、各病院の現状を把握することを目的としたものです。

 また、「自治体病院比較経営診断表」は、現況指標・状況変動指標・医療指標の3種の指標により、各病院について全病院における経営上の相対的位置を把握し、診断を行うためのものであります。

 今回、この「自治体病院経営指標」及び「自治体病院比較経営診断表」について、平成16年度決算に基づく指標を加え最新のものに更新しました。各病院等関係機関におかれましては、この指標等を大いに活用され、経営の健全化を図られるよう期待するところです。

 なお、利用に際して、これまで利用された方々からの御意見を踏まえ、「本書の目的・利用方法」を作成し織り込んでおりますので、ご活用下さい。

平成18年3月            
総務省自治財政局地域企業経営企画室長
           大 西 秀 人

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平成16年度自治体病院経営指標 自治体病院比較経営診断表