はしがき

 地方公営企業は、住民の日常生活に欠くことのできない上・下水道、交通、電気・ガス、病院等のサービスの提供を通じて、住民生活の向上や地域の発展に大きな役割を果たしています。
 平成27年度における地方公営企業の決算状況をみると、事業数は8,614事業、従事する職員の数は34万3,272人となっており、決算規模は約17兆882億円と、地方公共団体の普通会計における歳出決算額の約17%に相当しています。また、建設投資額は約3兆8千億円にのぼり、地方公共団体の普通会計における建設事業費の約27%に相当し、社会資本の整備に寄与しています。
 このように、地方公営企業の提供するサービスは、住民生活の向上や地域の発展のために重要な役割を果たしている一方で、公営企業を取り巻く経営環境は、施設等の老朽化に伴う更新投資の増大、人口減少等に伴う料金収入の減少などにより厳しさを増しています。
 地方公営企業が、将来にわたり住民生活に必要なサービスを提供し、その本来の目的である公共の福祉を増進していくためには、その経営環境の変化に適切に対応し、公営企業のあり方を絶えず検討していくことが求められるとともに、自らの判断と責任に基づき、経営の健全化等に不断に取り組む必要があります。
 そのため、総務省では、各公営企業について、事業廃止、民営化、広域化等及び民間活用といった抜本的な改革の検討並びに「経営戦略」の策定を通じた経営基盤強化等の取組を推進するとともに、公営企業会計の適用拡大や経営比較分析表の活用等による「見える化」を推進することとしています。
 このような状況においては、今後、公営企業間の経営状況の比較を行う客観的な指標としての公営企業決算統計はますます重要になっていくものと考えます。
 地方公営企業年鑑は、公営企業決算統計調査をもとに、昭和30年に昭和28年度決算を第1集として発刊して以来、今年度の平成27年度決算の集録をもって第63集を数えることになりました。本年鑑が、公営企業経営の基礎資料として大いに役立つものと確信し、それぞれの分野において十分に活用されることを期待しています。
 最後に、本年鑑の基礎となりました公営企業決算統計調査に当たっては、各地方公共団体の関係者に多大な御協力を頂いたことを厚くお礼申し上げます。

 平成29年3月
総務省自治財政局長
黒田 武一郎

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