1.事業の概況

 普及率、平均有収水量、有形固定資産減価償却率により、事業の概況をみる。

(1) 普及率
          現在給水人口
普及率(%)= ――――――――― ×100
         行政区域内人口
   ※ 1.現在給水人口には法非適簡易水道事業分を含んでいない。
     2.現在給水人口は末端給水事業(用水供給事業、簡易水道事業及び建設中(未稼働)の事業を除く。)を対象としている

  当該団体 類似団体平均 全国平均 A  市
普及率     91.3 97.5

【全体の傾向】
 普及率については、給水人口規模の大きい事業においては、都市部の占める割合が比較的高いため、普及率も高くなるものと考えられる。
  一方、給水人口規模の小さい事業においては、農山漁村地域等の占める割合が高く、また、自家井戸水等に依存する人口が多いことにより、上水道の普及率が低くなっているものと考えられる。

【A市の場合】
 A市の普及率は97.5%であり、全国平均や類似団体平均(73.1%)と比較しても高水準で、殆どの市民が公営水道の供給を受けている状況である。今後は、未普及地域における水道の供給状況を勘案し、必要に応じ対策を講じていくことが望まれる。
普及率グラフ


(2) 平均有収水量
            1日平均有収水量
平均有収水量(l)= ――――――――― ×100
            現在給水人口
  当該団体 類似団体平均 全国平均 A  市
平均有収水量     321 281

【全体の傾向】
 平均有収水量については、従前は給水人口規模の大きい事業が概ね高くなる傾向を示していたが、近年、節水型社会への移行等により特に都市部を中心に平均有収水量が減少傾向にあることを受け、5千人未満を除き、給水人口規模による顕著な差は見られなくなってきている。
  なお、5千人未満で数値が大きくなっているのは、観光地等の要因により、当該数値が極端に大きい団体が含まれるためである。

【A市の場合】
 A市の平均有収水量は、全国平均や類似団体平均(332l)と比較して低い水準にある。
  有収水量に占める家庭用の割合が高い中で、近年平均有収水量が減少傾向にあることから、平成14年度に料金改定したところではあるが、引き続き水需要や給水収益の状況を注視していく必要がある。

平均有収水量グラフ


(3) 有形固定資産減価償却率
                    有形固定資産減価償却累計額
有形固定資産減価償却率(%)= ―――――――――――――――――――――― ×100
                 有形固定資産のうち償却対象資産の帳簿原価
  当該団体 類似団体平均 全国平均 A  市
有形固定資産減価償却率     36.4 35.0

【指標の見方】
 有形固定資産減価償却率は、償却資産における減価償却済の部分の割合を示す比率である。この比率により減価償却の進み具合や資産の経過年数を知ることができる。当比率の向上は、相対的に資本費(減価償却費)の減少を意味するが、同時に施設の老朽化の度合を示していることから、修繕費の発生や生産能力の低下を知らせるものでもある。すなわち、償却資産の減価償却の進み具合を分析することによって、将来の施設更新の必要性や今後の修繕費の発生見込みを推測し、今後の設備投資計画を立てる際の参考とすることができる。
  また、さらに償却資産を電気設備・機械設備等の勘定科目ごとに分析することにより、緻密な投資計画を立てることができ、費用についてもそれぞれ修繕費と比較することにより、施設管理の一層効果的な運用を図ることができる。
  なお、この比率は減価償却に伴う資金の内部留保がどの程度図られているかを示すものであり、資金計画を策定する上でも重要な判断材料の一つとなる。

【全体の傾向】
 有形固定資産減価償却率については、給水人口規模の大きい事業が高くなっており、特に都及び指定都市は高い数値を示している。これは一般に給水人口規模の大きい事業の方が、供用開始年度が古く年数を経過した資産が多いことから、減価償却が比較的進んでいることによるものと考えられる。

【A市の場合】
 A市の有形固定資産減価償却率については全国平均を若干下回っているものの、類似団体平均(33.38%)を上回っている状況にあり、平均的な水準と言える。近年比率は上昇傾向にあるが、供用開始時やその後の拡張により整備した資産が更新時期を迎えていると考えられることから、設備投資計画に基づく着実な更新が望まれる。

有形固定資産減価償却率


2.施設の効率性へ→
← 目次へ戻る

平成18年度水道事業経営指標