はしがき

 我が国の水道事業は、今日ではその普及率が97%を超え、国民にとって必要不可欠な社会資本として、また、地方公営企業を代表する事業として、極めて重要な役割を担っている。
  しかしながら現在、少子高齢社会の進展や節水型社会への移行等により、水需要の大幅な伸びは当面期待できない状況にある一方で、施設の大量更新期を迎えることによる計画的な改良・更新の必要性、地震等の自然災害に対するライフライン機能の一層の向上など経費の増加が今後も見込まれており、水道事業を取り巻く環境は非常に厳しいものになっている。
  こうした課題に適切に対応していくためには、それぞれの事業体が改めて経営の総点検を行い、経営の自立性を高めるとともに、民間企業の経営手法と市場経済下で展開されている競争原理を水道事業に見合った適切な形態で積極的に取り入れていくことで、更なる経営の効率化、活性化を図る必要がある。
  具体的には、(1)顧客指向(サービスと信頼性の向上)、(2)目標による管理(目標の設定と権限・責任の明確化)に基づくマネジメントサイクルの確立、(3)管理の効率化、コスト削減等を目指した民間的経営手法(アウトソーシングやPFI等)の導入、(4)中期経営計画の策定及び職員給与・定員管理の適正化、(5)利用者が事業体を相互に比較評価して成果等を確認できる情報の開示等が挙げられる。
  このような中で、総務省においては、事業の経営状況を客観的に捉え、類似団体との比較を行うための統計資料として、「水道事業経営指標」を作成しているところである。
  本指標は、平成18年度地方公営企業決算状況調査を基礎とし、営業中の上水道事業(末端給水事業)について、現在給水人口、主たる水源及び有収水量密度の区分により、類似するグループごとに分類し、収益性、資産・財務状況、効率性・生産性等の観点に立ち、多様な角度から分析したものである。
  本指標を、今後の経営改善に当たっての尺度として積極的に活用され、経営の健全性確保の一助としていただければ幸いである。
平成20年3月           
総務省自治財政局公営企業経営企画室長
          井 上 宜 也
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平成18年度水道事業経営指標