平成18年度第2回総務省政策評価会議事要旨

  1.  日時:平成181122日(水)1030分〜1200

  2.  場所:総務省8階 第一特別会議室

  3.  出席者:
     
    中邨 章      明治大学大学院長・副学長
    青木 國太郎   東京都日の出町長
    上山 信一   慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科教授
    北大路 信郷   明治大学公共政策大学院ガバナンス研究科教授
    多賀谷 一照   千葉大学法経学部教授

    総務省出席者】
      山川大臣官房総括審議官、村木大臣官房政策評価審議官、
    渡会大臣官房総務課長、下河内大臣官房会計課長、吉崎大臣官房企画課長、
    岩田大臣官房政策評価広報課長、河内大臣官房政策評価広報課企画官

  4.  議事次第
    (1)  平成18年度総合評価(テーマ:総務省の政策評価)について
    (2) その他

  5.  配布資料(PDF)
     
    資料1  平成18年度総合評価 今後のおおまかなスケジュール(案)
    資料2  平成18年度総合評価(テーマ:総務省の政策評価)における検討項目(案)

    参考資料]  
      参考資料1  行政機関が行う政策の評価に関する法律(抜粋)
      参考資料2  総務省政策評価基本計画
      参考資料3  基本計画の計画期間と実績評価のサイクルとの関係
      参考資料4  経済財政運営と構造改革に関する基本方針2006(抄)
      参考資料5  平成18年度総合評価(テーマ:総務省の政策評価)における検討項目(案)とこれまでのご指摘

  6.  評価会においてメンバーから出された主な意見等:
    議題1【平成18年度総合評価(テーマ:総務省の政策評価)について】

     内容に関しては大きな異論はない。ただし、この総合評価の進め方については懸念がある。総合評価という手法を採るなら、単に担当部門が評価作業の手法を自ら見直すという話ではなく、第三者が納得しうる客観性と科学的な評価プロセスが必要。
     評価と言うためには、これまでの総務省の政策評価について、その効果の測定が必要。事務局の問題意識や評価会の意見もそのための材料のひとつでしかない。その他の材料をまず集める必要があるのではないか。
     例えば、既に先般紹介があった職員の意見。あるいは国民がこの政策評価をどう思っているか。さらにステークホルダー(利害関係者)の意見があるとなおよい。可能であれば、地方自治体や、規制対象となっている企業の意見を聞いてはどうか。
     これらを集めた上で、重要となる論点を抽出すべき。初めから絞った論点に限って総合評価を実施するというのでは、総合評価としての正当性にやや疑問が残る。総合評価としての構造をよく確認する必要がある。
     なお、並べた材料をどう解釈し、今後の改善案を導くかは事務局の裁量による。但し、評価書に「今後どうするか」をあまり盛り込むべきでない。それは別途評価結果を踏まえて、改めて事務局が考えること。総合評価はあくまで問題点の分析にとどめるべき。(上山委員)

     分析要素は揃える必要があるが、現実には範囲を絞って作業しないと評価結果を活用した取組ができなくなるかもしれない。総合評価はあくまで評価なのだという認識を打ち出すことは重要。
     政策の性質の違いによって、評価のアプローチも変えることを検討すべき。
     地方行革分野の評価では、予算との連携と言っても、果たしてどのような意味があるのか。事業系の政策なら予算との因果関係が分かるが、例えば、地方行革などにおいては、「これだけの予算で、これだけ地方の人員が削減できた」という説明では、論理性が不明確。また、人員の削減などの簡単な指標では評価できない。
     これまでの評価による効果として、どの分野も網羅的に行ってきたので、総務省の政策に一覧性が確保できた点、また、職員の意識向上にも繋がった点が挙げられる。
     今後は、分野によっては別の評価方法とするなどこれまで一律に実施してきた評価の見直しが実現出来ればよい。
    (北大路委員)

     次から次に新たな政策が出てきて、地方町村は付いていけない面があり現場が混乱している。そうした政策の評価についても付いていけない面がある。政策評価はわかり易く簡明にしてほしい。(青木委員)

     総合評価のイメージがつかめない。横串を通す、横断的な評価かと思うが、どういう観点から評価するのかを明確にした方がよい。
     予算と評価の連携についてだが、地方自治行政の場合、予算と事業が直結しない。国が渡した予算で実際に事業を行うのは自治体。例えば、自治体独力で行う事業とする場合との比較で評価を行なってはどうか。
     端的な結論は、自己評価であるため評価結果がどうしても限定されてしまい、限界に来ていると感じる。自治体やユーザーから評価を求めてはどうか。
     (多賀谷委員)

     国民は、総合評価の対象となっている事柄について、「成果が出ているのか(アウトカム)」を知りたい。
     今回の総合評価では、政策評価が役に立っているのかどうか、仮説を立てて証明するという手法があるのではないか。
     インプットによりアウトプット、アウトカムが生まれるが、総合評価でもそのロジックは崩せない。
     インプットが、政策評価の始まり。エビデンス(evidence;証拠、根拠)として、いつ何をやったか(評価の改善などの過程)を説明。アウトプットが、評価書の公開や、予算に指標が使われるようになったなど、つまり役所の仕事が変わったということ。そこからどういうアウトカムを導き出すか。
     資料2は評価手法の改定案に過ぎず、この論点は必要であるし、間違っていないが、総合評価としては狭い。広げすぎても良くないかもしれないが、端的に「政策評価はうまくいっていたのか」という原点が薄れているのが気になる。 
     例えば国土交通省では、「合併後の新組織において、行政経営が進んだのか」をテーマに総合評価を実施している。その際、改革の進捗度を直接評価するのは困難なので、政策の質は上がったのか、国民へのアカウンタビリティ(説明責任)を果たせるようになったかなど、五つの切り口に絞り、それが達成出来ていれば改革が進んでいるという仮説を立てている。材料としても職員へのアンケートや評価会での議論などを使っている。こういったやり方もひとつの参考になるのではないか。(上山委員)

     資料2の冒頭、「政策評価の質や内容」について、長い期間をかけて高度化に向けた議論をしてきたが、内部評価には限界があると感じている。誰に向けて評価を発信するのかというターゲットを明確にすること、何らかの方法でステークホルダーの評価を求めることが必要ではないか。
     また、総務省は元々、三つの省庁が統合された省であり、その三つを一緒にして同じ手法で評価するから無理が出てくるのではないか。発想を転換して、旧三省庁で別々の手法により評価してもよいのではないか。全てを同じ手法で評価することによる問題が出てきた印象がある。(中邨座長)

     確かに、三者を無理に束ねなくてもよい。省全体として何をするのかという説明は必要だが、政策評価をやる上では局単位が適当ではないか。
     これまで省全体としての評価結果の提示や、とにかく数値化するという取組をしてきた。そのことには意味はあったが、総務省全体として評価し、全体責任は大臣というのでは、結果がぼやけてしまう。局単位で目標を設定し、達成度を測るという方向でもよいのではないか。(上山委員)

     政策評価会の在り方についてだが、今の在り方は限界に近付いていると感じる。
     現状では、「特定の分野について議論したい」「評価の在り方、手法について議論したい」という両者の委員がいる。今回の総合評価をひと区切りとして、何らかの組織再編が必要ではないか。(中邨座長)

     総務省の政策には、政策的分野と、役割の決まっている分野(郵政行政の指導監督、消防、恩給業務等)とがある。後者は従来の評価手法で対応できるが、問題は前者。局単位より、例えば、自治行政や情報通信行政といったように大括りにしてはどうか。今後どうするかは、総務省自らの責任で決めるべきで、この政策評価会で決めることではないが。(多賀谷委員)


戻る