第5回情報公開法の制度運営に関する検討会の議論の内容


日時   平成16年7月26日(月) 13時00分〜16時10分
場所   永田町合同庁舎 1階 第1会議室
出席者
(参集者) 小早川座長、藤原座長代理、宇賀委員、小幡委員、曽和委員、西鳥羽委員、三宅委員
(事務局) 藤井政策統括官、田部行政情報システム企画課長、高野管理官、山内情報公開推進室長


議事 :
  1  開会
  2  フリートーキング
 閉会


議論 :
小早川座長 本日は、これまでのヒアリング結果等を踏まえて、検討の範囲と枠組みについてのフリートーキングを行いたい。前回の会議でご了承いただいたが、節目となる会議については公開で行なうことにした。本日の会議は、そういうわけで公開で行なうことにしたい。傍聴の方々もお見えになっている。
なお、本日は、堀部委員が所用のためご欠席、小幡委員が途中で退席される。
まず事務局より資料の説明をお願いする。
山内室長 資料1は、この後のフリートーキングのための参考資料としてご用意したものである。
  資料2は第2回から第4回の検討会のヒアリングにおいて述べられた意見の・指摘の要旨を項目別に事務局で整理したものである。これもフリートーキングの際のご参考資料として用意した。
  それから資料3は、6月末まで総務省のホームページで、一般からの意見募集を行なったものの結果を取りまとめたものである。30点の意見が列記されているが、提出者の氏名・連絡先等の個人情報を除き、そのままの形で束ねている。なお、明らかに今回の意見募集の趣旨に適合しない内容のメールについては、事務局の判断で除いている。
  参考資料1と参考資料2は、前回及び前々回のこの検討会の議事録で、既に総務省のホームページにおいて公表しているものである。
小早川座長 それでは、今後の検討の範囲と枠組みについてフリートーキングを行ないたい。フリートーキング用に検討事項案を事務局に整理をしていただいた。これまで関係団体等からヒアリングなどを行ない、できるだけ幅広く論点を拾い、検討事項として整理した資料を前回ご議論いただいた。これから9月以降は、それぞれの検討事項について当検討会として解決方策を審議していくことになるが、その基礎となる資料として、事務局にどのようなものを準備してもらう必要があるか、あるいは検討の枠組みとして漏れているものはないかといった観点から本日はご議論をいただきたい。
  それでは、論点を大きく3つの部分に区分をして議論をしていきたい。資料1の「今後具体的に検討・調査を要すると考えられる事項について(たたき台)」のI1「個別論点」とあり、その中がさらに分かれているが、1の「対象文書等」、2「開示・不開示の範囲等」と、まずはこの部分について事務局から資料の説明を受け、議論をしたい。
事務局(資料1に基づき、「I1個別論点」の「1対象文書等」及び「2開示不開示の範囲等」について説明)
小早川座長 「対象文書等」と「開示・不開示の範囲等」について、皆さんの意見、発言をお願いしたい。
  これまで問題とすべき、取り上げるべき論点について、折々皆様から提案をいただいたものが今日のペーパーに、表現はそのままではないかもしれないが、採り入れられているはずである。なお落ちている点があるということももちろんあるかと思うが、ただ、私の感じとしては、これからこの検討会を限られた時間でできるだけ意味のある議論を突っ込んで深くやっていく必要があり、また、意味のある結論を何か出していく必要があるので、そう総花的にやっていく余裕はなく、今日も、これに細かいことをどんどんつけ加えることではなく、ここに書かれていることを踏まえながら、その中で特にこれが重要である、あるいはこれが重要だが、この書き方ではそこは十分出てないとか、調べ方についても、こういう問題についてはこう突っ込んで調べるべきであるというような、どちらかというと広げるよりは深めるような議論を今日できればいいと私は思っている。
  文書のほうからまず始める。
曽和委員 対象文書の定義が組織共用文書になり、従来の条例が決裁収受文書としていたよりも広がったから、大いに歓迎されたところだと思うが、実際に組織共用文書なのかどうかということで争われた実態があるのかどうか、あるいは各省庁の文書管理規程がこの点どういうふうな対応をしているのか、気になる論点である。
  というのは、自治体では、国の法令に合わせて、組織共用文書という形に改正しているところが増えてきているが、今度は文書管理規程の中で、保存期間の定めのある文書と保存期間の定めのない文書とに分け、保存期間の定めのない文書は、担当課の責任者の判断で随時廃棄できるというようになっている。それだと、これは文書不存在という議論にも関わるが、あったはずだとか、いや、もう捨てたとかいうことが争われる。保存期間の定めのある文書については、きちんと廃棄手続があって廃棄する記録も残るが、保存期間の定めのない文書の場合には記録も残らない。そうすると、その両者を分けるメルクマールは何かが気になる。国の場合はどういうふうになっているのか、気になっているので、ぜひ実態を資料で示していただき、今後議論をしていきたい。
藤原委員 今の点は、論点を増やすかどうかという話で言えば、文書管理のところなり、不存在のところで議論すればいいのではないか。というのは、組織共用文書自体は国の審査会の答申等でもかなり広くとらえているし、自治体あるいはその自治体での争いを受けた裁判例でも、文書さえあれば、組織共用文書の解釈はかなり柔軟にやっていると思う。今ご指摘の問題は不存在あるいは文書管理の在り方のところで一緒に論じたほうがよろしいかと思う。
小早川座長 私的メモとの区別も、やっぱり同じグループか。
藤原委員 私的メモは、組織共用の話で、もし必要なら審査会答申のその他のところで調べればいいかなと思う。特に目を引くような判例があるというわけではないと思うが、若干の裁判例、答申はある。
小早川座長 では、不存在のところで具体的にもう一度議論をすることにする。
三宅委員 歴史的資料と行政文書のそれぞれの開示基準の関係のところで、紙媒体とマイクロフィルムと電子データの3種類をある程度分けて検討をしていただきたい。特にマイクロフィルムは、情報公開法が制定されたとき、ちょうど省庁再編の直後ということで、役所を移動するときに、結構マイクロフィルムを捨てたという業者からの話を聞いたことがある。マイクロフィルムなどは廃棄の基準が定かではなかったのではないか。これは公務員の方からも一度聞いたことがあり、真偽を調べていただきたいというのではなく、マイクロフィルムと文書がある場合に、どういう廃棄の基準になっているのかというところも、移管の基準とともに検討をしていただけたらと思う。
  それから刑事訴訟確定記録等についてでは、刑事訴訟確定記録法に基づく開示の場合と、昨今、犯罪被害者保護法に基づく、犯罪被害者に対する開示の実例が大変多くなっている。犯罪被害者として起訴に関わってないけれども、その周辺で同様の被害を受けている者にとっては、それに準じて刑事確定訴訟記録法に基づく閲覧を認める、謄写も認めるという例がかなり広く認められているようですので、その運用も少し調べていただきたい。
  ただし、最近私が事件で取り上げたのでは、ほんの数年前の交通事故の記録を、犯罪被害者保護法で求めようとしたところ、もう廃棄されて無いということであった。確かに交通事故は年間かなり件数が多いから、2、3年で廃棄されているのではないかと思う。それで、廃棄の基準を調べていただきたい。
  それから3)の「その他」については、ホームページ上に掲載されている文書について、これは役所のホームページは随分充実される方向で増えているが、それがある程度の時期が来ると、電子データそのものがホームページ上から消えるというときの、そのときの基準が問題だ。それがもし文書として廃棄されるという取扱いになるのであれば、その時点で現用性をなくして、公文書館に移管される非現用文書になるのか、もしこれがそういう取扱いが十分できるとすると、歴史的文書みたいなもののふくらまし方が随分多くなって、そちらのほうの取扱いもちょっと射程に入れられることになろうかと思うので、その点をお願いしたい。
  それから閲覧のみを可能として複写を認めてない他の法令等の規定の関係は、これは刑事訴訟確定記録法でもあるので、刑事訴訟確定記録法の運用も2)にも絡めて調べていただきたい。最高裁の決定で、特別抗告で閲覧しか規定がないから複写はだめだとした決定があったと思うので、そのあたりも調べていただければと思う。
小幡委員 3)の「その他」で、ホームページの掲載文書等については、情報提供と、ここで言う開示請求の3)の「そ対象となるものの割り振りだとは思うが、現実には、窓口での教示とか、その充実とも絡むが、ホームページにこういうのがあると説明はするにしても、それでもホームページを全員が見られるというわけではないので、あえて生のものを見たいという請求者に対してこれを外す必要があるのかという感じもする。今の、ホームページ上の掲示がいつなくなってしまうとかいう話については、国会図書館などでもWeb上の文書の収集とかいう話が今進みつつある。そういう話とは別として、現状では、情報提供により窓口でうまく説明すれば請求には来ないだろうが、それ以外の人をあえてはねるという必要性はないような気もするので、論点としてこの論点が必要かやや疑問がある。
曽和委員 「その他」の2番目の「閲覧のみを可能とし複写を認めていない他の法令等の規定と開示請求権との関係」という論点について、閲覧とか謄写あるいは情報の公開を個別法で定めている、その個別法の代表的な法令を整理して示してもらえないか。公職選挙法には選挙人名簿の閲覧の規定があるが、従来、複写を認めていたのを認めないという運用を自治体がしてきている中で、情報公開条例で複写請求が来た、どうしたらいいかというような相談を受けたことがある。情報公開法では、15条の「他法令による開示の実施」との調整問題ということになると思うが、なかなか難しい問題がある。ほかにも個別法は個別法の事情でいろいろ公開する範囲や手続を決めているが、それと情報公開法の手続とのすり合わせは必ずしも厳密にやられてない。代表的なものでいいので、審査会答申、判決例の整理等の分析だけでなくて、法令の整理を事務局でしていただければ、議論ができるのではないかと思う。
宇賀委員 「対象文書」の1)の「歴史的資料等」について、現在、国立公文書館に重要な歴史的文書がなかなか移管されてないのはいろいろな理由があるが、1つの問題として、非現用になったものを移管する場合に、内閣総理大臣だけで決められず、移管元の国の行政機関の同意が要るとされていることがあると思う。現在、保存期間を満了しても、それを延長するのは各行政機関の判断で自由にできる。にもかかわらず、今度は非現用となったときでも、またこれを移管するときに、各行政機関の同意が要る。私はここの部分の同意は要らないと思っている。ただ、これは国立公文書館法の改正によってできる話で、情報公開法を改正する必要はないが、この検討会でそういった点について一つの提言をしておくのは意味があると思う。
小早川座長 情報公開法は総合的な情報公開の推進ということは射程に入っているので、この検討会でもその意味で議論の対象になると思う。
  今いろいろ出たが、その中でも、また議論の位置付けとしては、文書管理の問題とも見られるものもあったと思う。ホームページをいつ削除するかというのも文書管理の話ともとらえられるし、マイクロフィルムの扱いもそうだ。そこでまた、議論があってもいいかと思う。
  それから、私個人としては、刑事訴訟関係記録について、立案当時の説明というか、外す理由付けの言い方が必ずしも十分でなかったところがあって、その後、例えば不起訴記録の扱いなどは、最初の説明の仕方では必ずしもカバーできてないところがあるのではないかという気もするが、このへんは法務省でその後どういうふうに考えて、情報公開の趣旨と整合するような形で先々どういうふうに考えていくのかという問題もあろうかと思う。そのへんもできれば視野に入れたい。
  それでは、次の「開示・不開示範囲等」に移りたい。
藤原委員 見直しの論点に関しては、ここに挙げられているものの中で、先ほど出た公文書館法とか、あるいは他の法令とか、個別の法令の改正解釈に関わるもの、それと行政の一般法である行政手続法等の運用とかに関わるものとかいろいろあると思うが、特に情報公開法の本体に関わるものとして、私はこの論点の整理で言うと、(6)(8)(9)が、実務に対する影響が大きいのではないかと思っている。(9)の文書不存在は、文書管理とも絡むので、そこでもう一度申し上げるが、要するに、文書不存在にも物理的にないものと、解釈論上ないものとがあり、また、ないと言っても行政文書の特定と絡んでいるものといろいろあり、廃棄とか保存が各省庁バラバラという問題もある。文書管理との関係で議論しておくべきものと思う。
  (6)と(8)だが、「部分開示」については、ヒアリングでも意見があったように、最高裁が大阪の知事交際費の再上告審で情報単位論をとっているわけだが、最高裁判例及び調査官解説の影響力はやはり大きいものがあって、それが自治体条例の判決だけではなく、情報公開法の判決にも影響を及ぼしている。かつ、それが個人情報だけではなく、1号以外の情報にも影響を及ぼしているという2つの問題があると思う。自治体についての判決であったものが国に影響を及ぼしているというのと、1号についての判断であったものがそれ以外のものにも及ぼしているという2つである。立案当時の考え方は、ここは個人情報については念のために確認的に書いておいた条文で、それ以降はある程度解釈でわかるはずだというものであった理解しているが、必ずしもそれが当然の理解とはならなかったということもあると思うので、少しそこを深めて議論をして、また、判例、答申等も精緻に分析したほうがいいと思っている。
  それから(8)の「存否応答拒否」については、自治体の条例等では、1号情報、個人情報だけに絞るとか、あるいは法人情報を含めてそれぐらいに絞るとか議論があったが国はそうではなくて、いろいろな情報があるというはずだという、その立案の趣旨そのものは適切なものだったとは思う。ただ、6号の事務事業の執行になると、そもそも存否応答拒否というのは、あるかないかさえ言えないというところに力点があったはずだが、かなり精緻な議論をして支障があるから、元に戻って存否応答拒否だというのが行政庁の主張にみられる。かなり細かくなっている。条文上はそういう解釈は可能だが、しかし、運用としては、どこかであるとわかっているとか、自治体の議会の答弁などで、国から来たそういう書類があるとわかっていても、精緻な議論をして支障があるということで存否応答拒否にできるという主張が審査会等で見られる。そこは少し検討をしたほうがいいと思っている。
小早川座長 存否情報と内容情報とが連続していて、存否情報も内容情報の1つには違いない。
藤原委員 それは、そうだ。
小早川座長 その文書そのものの名前なり何なりあるわけで、そのへんの問題だと思う。ただ、この検討会としてどうするか。実際の運用上、そこは必ずしも解釈運用が適切でないケースがある、あるいはさらには審査会答申でも、これはおかしいというようなことを上級審的に言うことにするのか。
藤原委員 議論する価値があるという話で、(6)とか(9)と同じということではない。そこは議論のグレードというか濃淡はあるとは思っているので、問題点の指摘なり、あるいはここに解釈、運用が適切に行なわれているかという問いかけがあるので、そういう意味では議論をしてみてもいいのではないかという意味である。個々の答申を論じるというのではもちろんない。
小早川座長 この「解釈、運用が適切に行なわれているか」という項目がほかにもあるが、それで調べてみて、この答申はおかしいというようなことはなかなか言いにくい。そこはどういう論点があるかということの分析まではできる。評価はどこまでいくかというのは、ケース・バイ・ケースだろうということか。
三宅委員 最近幾つか存否応答しても、あるんだからできないよという答申が私の調べたここ1、2年で10〜15件ある。あるものについてはそんなことを言っても無理でしょうというニュアンスの答申になっているように思う。8条の規定で「不開示の情報を開示することになるときは」というところで、既にある場合は除くとか、そういう文言を入れるかどうかという議論まで答申の分析からできるとすると、審査会答申とは別に議論があり得るかもしれないので、一応分析はしておく必要があると思う。
  それから、部分開示のところで、ここは説明責任を尽くす上での部分開示義務の重要度を考える必要があり、最高裁は情報公開法における6条2項の位置付けを間違ったのではないかと個人的には思うが、説明責任を尽くすということは、できる限り細かく検討して、開示できるものは開示しようということにつながるのであり、そうだとすれば、そもそも法1条の目的における説明責任と部分開示義務の関係みたいなものももう少し明確に打ち出したほうがいいのではないかという気がする。部分開示の方法についてどう考えるかといったときに、その6条1項はもともとどういう趣旨で作ろうとしたのかが重要だ。6条2項は、要綱案の考え方では5条の1号のただし書きの中で提言していたのではないか。
小早川座長 そうだ。
三宅委員 考え方ではたしかそうだったが、立法の段階で6条2項に入ったから、裁判所から見て6条2項のある個人情報とそうでない法人情報等を比較するという、立法の経過をほとんど読み込まないで、文理解釈に走ったのではないかと思う。これは後でまたヴォーン・インデックスのときにお話をしたいと思うが、6条1項自体の本来的な意味みたいなものを、法制局との協議の中で、なぜ6条2項の形で入ったのかも含めて調べていただければと思う。
小早川座長 事務局資料の(6)「部分開示」の最初のかっこ書きが、(立案当時の議論)ではなくて、ただ(趣旨)と書いてあって、私の記憶でも、立案当時の過程での議論とでき上がった条文とは形の上ではずれている。それがいいか悪いかはまた別だが、この問題で今後いろいろ混乱が続くというのはあんまり好ましくないことなので、その経過と考え方について、この際できるだけ整理をしたいと思う。
西鳥羽委員 5条5号の「審議・検討等情報」と、6号の「事務・事業情報」の関係だが、審議・検討等情報はさしあたり不開示にする。検討過程でingの情報を出すと、いろいろ審議過程に支障が生じたり、それから国民の間に混乱を生じさせたりするから、まず一応の決着がつくまで暫定的に不開示にする情報だという性格のものだととらえていた。そうだとすると、実は最終的に、その情報の性質から見て、これは公開できるものなのかどうかというその事務・事業情報への該当性の問題は依然として残る。そうすると、審議・検討等情報に該当すると言って不開示にされたが、それがそうではなかったと、審議・検討等情報には該当しないという答申が出た場合、依然として、事務・事業情報への該当性は残ってしまうのか。そういうとらえ方をしてしまうと、常に、審議・検討等情報を持ち出してくるときには、よほど明らかなものではない限りは、事務・事業情報該当性も一応持ち出してくる必要性が出てくる。そこの整理がちょっと立法過程でもついていなかったのではないか、そういう印象を持っている。まだ、そういうような運用は見られていないと思うが、2つの不開示類型の関係について、何か議論なり、現場での運用で意見の交錯があったなどという例はないか。
小早川座長 例えば、公務員の懲戒事案、不祥事が生じているときはまさにそういうシチュエーションである。さしあたり処分が決まってない、あるいは刑事処分も決まってない。刑事確定記録のほうも、訴訟記録のほうも問題がある。そういうときには必ず今おっしゃったようなシチュエーションが出てくる。処分が決まれば1段階は進むけれども、しかし、人事管理の云々ということにはなると。
西鳥羽委員 開発問題などで、地域の住民が情報を知りたいということを念頭に置くと、少し不安に思っているのは、そういう5号と6号をリンクさせてしまう考え方も、条文を読む限り、解釈上は成り立ち得ないわけではない。暫定的な情報だから開示してもいいのではないかという運用と、いや、まだ暫定的な情報だから、まだ事務・事業情報のところで決着がついてないから、なるべく門戸を狭くするという、2つの両方に向かう運用の可能性が考えられる。まだ現実にそういう事態が起こっていないのならいいが、ちょっと不安に思った。
小早川座長 具体的にどういう不安なのか、もうちょっと具体的にわからない。本来は、少なくとも国の立法のときには、5号と6号のそれぞれのねらいは違っていて、ねらいが違うから絞り方も違うということで、多少自治体のそれまでの運用が両方の境がはっきりしないような感じがそのときはしていて、そのことも意識して、特に6号は、事務事業の性質上と、特殊性質があるからこうだということで、事務事業一般に広がらないようにという意識はあったように思う。そのへんをきちっと絞っておけば、西鳥羽さんのこっちから自然にこっちへ移っていくというご心配はある程度防げるのではないかと思う。
藤原委員 自治体にしろ、国にしろ、現実の運営を見ると、5号はある意味でアンブロックに非常に広くとらえられていた意思形成という言葉で出てこなかった情報を出す。組織共用文書と関連させて早く出すというところはある程度実現されていると思う。
  むしろ強いて挙げれば、5号で「不当に」という言葉を3回かけてかなり絞った関係で、自治体にせよ国にせよ5号を使って不開示にすることはかなり難しいということで、どちらかというと意思形成過程途上かなという情報を6号に流し込んで主張するという傾向がある。5号そのものが認められている事例は国レベルでも自治体レベルでも今は多くはない。それはそれぞれが別の法益であるという前提はきちんと運用されていると思う。ただ、さっき私が強いて挙げればと言ったような、新たな問題というか論点みたいなものはあると思うが。
曽和委員 6号で「適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」と国の情報公開法ではなっているが、自治体の条例では、「著しい支障が生じるおそれ」と、「著しい」という文言が入っているものが多い。国の場合に「著しい」の文言が入らなかった理由は何か。
藤原委員 私の覚えている限りでは、自治体の例は調べたと思う。制定過程でどの程度詳細に議論されたかどうかはちょっと覚えてないが、「著しい」と書いてあるものの自治体の実際の答申事例とか事案の処理を見ると、本当に著しいのかというようなものが散見されたという記憶はある。要するに、運用上は、文言の差でそれほどは絞っていないのではないかということである。「著しい」という文言を付加していることで、理論的にはともかく、実際の開示・不開示に直接影響していない事例のほうが多かったのではないかと記憶している。
藤井統括官 議論はされている。その事情については議事録が残っていると思うので、その部分を整理して出したい。
曽和委員 開示・不開示の基準の問題点として市民団体からのヒアリングを聴いてなるほどと思ったのが、個人情報の定め方の部分である。第一に、情報公開法では不開示情報としての個人情報を「個人識別型」で定めているが、諸外国の情報公開法を見ると、「プライバシー型」で定めているところが多い。「個人識別型」での定め方はかなり特殊日本的な立法だなと思う。「個人識別型」だと、それだけを形式的に適用すると非公開の範囲が広がるので、「ただし」書きで非公開部分を絞るという形でやっているが、その絞り方もあんまりうまくない。全体の条文もややこしい。
  第二の不満は、公務員の氏名について、地方公共団体の場合は職務に関係する文書の中に公務員の名前が出ていても開示するのが当たり前だというように運用されているが、国の場合は省庁によって、課長以上は公開するが、それ以下はしないというものがあるし、また、それを是認する法制度になっている。このあたり、私は説明責任をうたうのであれば、公務員の氏名が職務に関係して出てくる場合になぜ隠す必要があるのか、疑問を持っている。民間団体でも、例えばスーパーでも、従業員は全部名札を出して市民の前で仕事をしている。役所もそういうのが当然だと思うが、なぜ氏名が出せないのか。運用の問題なのか制度の問題なのかも含めて、ぜひここは議論をしていただきたい。
小早川座長 公務員の職務関連での取扱いは、確かに条文の書き方とその後の実務あるいは社会通念の動きとを照らし合わせてどう考えるかというのは、この検討会でやるべきことでしょう。範囲についてどう考えるかとここには書かれています。
小幡委員 曽和委員のおっしゃったことは非常に大きな話で、「プライバシー型」にいくかということである。現実はそのような運用がなされている場合もあるし、そのあたりをとらえてどういうふうにそもそも原則を持っていくかということかと思う。
  公務員の氏名は、職員録に載っているのと合わせ技のような形でしか今は出ていないので、国の場合は非常にわかりにくくなっているというのは、私も同じ印象を持っている。
  それから3ページの4)「本人からの開示請求」だが、特に国の場合これを討論する必要があるかどうかちょっとわからないが、地方の条例の下ではこのあたりが個人情報保護法制ができた後であっても足りないような状態になっている。自分の個人情報としては請求できないものもどうもありそうな感じで、なかなか悩ましいところだ。情報公開法が、誰が請求してもこの情報から判断して開示できるかできないか決まるというのが今までの在り方、原則だったわけだが。請求者が本人である場合に、何か例外的なものがあったほうがよいのか。実は地方の場合の実態をみると結構そういうのは必要かなと思っているが、国の場合はどうかなというのはまだ検討が必要かと思っている。
小早川座長 具体的に個人情報保護と情報公開の接点で、何か制度的な、あるいは運用上の特別の取扱いすべきケースが具体的にあるのかどうかということである。ありそうな気もするが。行政機関といろいろやりとりをしていて、というような場合だろう。情報公開法での説明責任的な部分もあれば、そうでない部分もある。何となくそんな気がするが。具体的にどうか。
小幡委員 自治体の現場ではかなり現実にある。例えば、建築紛争の隣人と自治体から建築確認をされた人との関係とか。それがズバリ国のほうにまで同じような事例があるかというと、不明である。大体国と合わせて地方が条例をつくるので、多少そこの当たりの問題があるかと思っているが、国としてどうするかというのは別かもしれない。
小早川座長 何か適切な例がありましたら、事務局に。
曽和委員 市民にとってはどういうルートで情報公開をすれば情報が出てくるのかがわかりにくい場合がある。先ほど存否応答拒否のところで議論されていた問題もそうである。私が自治体で経験する存否応答拒否というのは、自分に関する情報の公開を、情報公開条例に基づいて行う場合が多い。先ほどのお話でいえば、建築確認で、自分は隣の家が違法建築物だと思うので不服申立て、苦情申立をしたが、それがどういうふうに取り扱われたかを知りたいと、こういう文書の公開請求をする。そうすると、当該文書があるともないとも言えないとの回答が来る。つまり、特定の者を対象とした不服申立てがあるのかどうか、それをどう処理したのかという情報を、一般市民なら誰でも知れるということになると、難しいので、存否応答拒否ということになる。ところが、本人にとっては、自分が不服申立てをした、苦情申立てをしたのはわかっているわけだから、あるともないともいえないとは何だ、という話になる。このような場合、個人情報保護制度に基づいて請求してくれれば出るのに、情報公開法だから出ない、あるいは、今の苦情申立ての例では、むしろ、苦情処理システムの一環として苦情を申し立てた者には迅速にそれの対応結果をきちんと説明するというような形で処理すべきだと思われる。情報公開法を情報公開に関する基本法として位置付けをするならば、他にどういう情報公開の手段がありますというのが分かるような交通整理をすることも考えられる。法律の中に示すかどうかは別にして、国民に対して説明をしないとわかりにくいのではないか。さきほどの存否応答拒否の問題も根っこにそのような問題があるのではないかと思う。
西鳥羽委員 個人識別情報との関連での質問だが、例えばこういう会議で、この会議は発言者名をきちんと公開しているが、発言者名は公開してほしくないと、委員全員の同意が得られなかった、ただし、議事録は開示しますという場合で、その議事録を子細に検討すると、司会者の発言はわかってしまう。最初の発言などから話の持っていき方などで、これは司会の小早川先生だということはわかってしまう。ほかに内容的な発言があって、これは著書の関係から宇賀先生の発言ではないかとか、これは弁護士の三宅先生の発言ではないかとか、その発言内容で個人が大体の想像がついてしまうような場合、この扱いはどういうふうにされるのか。担当省庁が違えば、また違うのかもしれないが、こういう場合の個人識別情報の範疇だが。
小早川座長 推認はされるけれども、識別はされないかどうかという、そういう話じゃないか。
西鳥羽委員 他の情報と照合することにも関わってくると思う。
小早川座長 今、具体例で挙げられたようなことであり得るだろう。ただ、そこはまたどうなのかな。
  それから、「個人識別型」か「プライバシー型」か、という問題提起が最初にあるが、国の審査会の運用では、ここは権利利益侵害の要件でかなり操作して、それでかなりの部分を処理しているということがあるので、そういった運用と、これも一種の法律の規定の文言とのズレとまでは言えないかもしれないが、立法当時の考え方とは微妙にちょっと違ってきているかもしれない、そのへんはどう押さえておくのかというのもここでの問題だと思う。
  曽和さんは、それはうまくいってないとさっき言われたけど。
曽和委員 「個人識別型」と「プライバシー型」は、条例であれば両方のタイプがある。その両方の条例の運用を見ていった場合に、そんなに違いがあるかというと、現実にはそんなに違いはない。実際の運用は、例えば「個人識別型」だと、ただし書きのところを拡大的に考えたり、あるいは「個人に関する情報」の部分から職務情報を外したりして、非公開部分が拡大しないような工夫をしている。実際の運用にあまり差がないのであれば、それでいいのではないかというふうに収まる可能性もある。ただ、「公にされ、又は、公にすることが予定されている」場合には公開するというただし書きの運用として、いちいち過去の例、他の自治体の例を全部調べるというようなことでいいのか。あるいは、「公にすることが予定されている」という中に一定の価値判断を入れて、実際にはプライバシーを侵害しているというような実例もある。
  つまり、正面からプライバシーとは何か、何を本当に非公開にすべきかを議論せずに、個人識別という形式的な定義だけがあるから、いびつな解釈論を展開せざるを得ないようなきらいがある。立法技術としてはあまりよくないのではないかと思う。プライバシー型にすると、運用が難しいという意見があるが。しかし、実際に何を本当に保護しなければならないかという問題に正面から向かうわけで、各行政機関が真剣に考えるのではないか。どういうふうに変えればいいのかという私自身の案はないが、今の運用の仕方は少し無理をしているという感想を持っている。
三宅委員 特に「公にすることが予定されている」というところを審査会はかなり「べき」論的な議論も含んでやっていて、一番最初にそれが始まったというか、ある程度文書になって出てきたのは、藤田審査会委員の東北大学のホームページで仙台の税務署で話をされているところのホームページにある。それにある程度「公にすることが予定されている」というところ「である」ではなくて、「べき」論的に解釈したほうがいいんじゃないかというような、ちょっと趣旨が違うかもしれませんが、そのような感じがあった。
  それで、その運用を見ていると、例えば天皇を公務員に準ずるものとして、天皇のデータが出てくることについてただし書きのイを適用するというのと、それから宮内庁の常時参与は厳格に言うと公務員ではないけれども、公務員に準ずる者としてただし書き適用ということで、ただし書きのイを適用するということで、公務員の氏名のところに限界があるので、その職務の内容等から審査会はかなりただし書きのイで「公に予定することが」というところを広げて、実質的にそれによってプライバシー型と識別型の微妙な差異がなくなりつつあると思う。ただ、裁判所に行ったときに、「公にすることが予定されている」というところを、「べき」論的なところを含んで裁判規範として解釈することには、どうも裁判官としてはまだためらいが随分あるように実際の裁判の法廷で弁論のやりとりをしていると思う。そこのところは、今のところをもっと本当に詰めていくといろいろ議論はありそうだが、審査会が今の方向でどんどんただし書きのイの「べき」論的なものも広げていくという運用がそのまま認められるなら、それはそれなりにプライバシー型と識別型の違いはほとんどなくなりつつあるのではないかと思う。ただ、それを条文上手当するとなると、完全にプライバシー型に変えなければいけないのか、ただし書きをもう少し工夫することによって調整できるのかという微妙な違いはたぶん出てくるので、これは議論には値するとは思う。
小早川座長 整理の仕方がいろいろあって、それぞれの優劣、メリット、デメリットは何かというようなことをもう一度整理するということは、これは当然できるだろう。
西鳥羽委員 さっき質問したことに関連して、発言内容から個人が推認されると、個人推認情報とでも言おうか、それが5条1号の個人識別情報に該当するかということを判断する場合に、ただし書きのイで考えていくと、ここで運用からいうと、結局、公にすることが予定されているのかどうか、最終的には委員各自の私生活に影響が及ばないかどうかとか、プライバシー的な要素も考慮していくことになるのではないか、実務上は。結局は、さっき曽和さんが言われたように、運用上は同じようなところに帰着するのではないかと思っている。
  個人情報保護法が制定され、今のコンピュータ情報化社会では、個々断片的な個人に関する情報にプライバシー性があるかどうかというよりも、個人が識別される個々断片的な情報を保護の対象にしていかないと、コンピュータ情報化社会ではマッチングというか、名寄せというか、いろいろな作業を通じて個人の私生活がかなり明らかになってしまう。だから、断片的な個人情報を保護するという趣旨だったと思う。憲法の方たちも自己情報コントロール権ということを主張しており、個人識別型で、時代の状況に合わせていって、ただし書きのイなどの運用で対応していく。実質的にはプライバシー型と同様の運用条件に持っていくというのが穏当なところではないかと思っている。現行法どおりで、ただし書きの運用がどう行なわれていくのか、そこを注視すべきではないかという感想である。
小早川座長 それは一つのご意見としてあり得る立場だと思うが、公務員の職務に関しては、これは立法当初から一応手当がされている。その後問題になっているのは、1つは公務員の私的部分である。他方、私人で、さっきから例を挙げられている懇談会なり研究会なりで公務員になってない場合、ここもそうである。公務員じゃない、だから、形式的には職務関連情報ということにはならないが、それは純然たる私的情報ではなく、公的な情報ではないかというようなことはある。さらに、お役所の話ではなくても、私企業の従業員として行動している場合には、それは公的な情報ではないかということで、判例でもそういう扱いがされるようになりつつある。
  だから、公務員情報と、その次に公務員ではないけれども、公的な情報と私的な情報と、それから私的な情報の中でも、本当に憲法上保護されるべきプライバシーに関わる情報と、スペクトルがずっとあって、そこのへんが今の現行法では必ずしも的確に色分けができてないのではないかという、そういう意見はあり得るのではないか。そこを運用上、いろいろなところを使って何とかしのいでいるということではないかと思う。
小幡委員 「部分開示」だが、最高裁の判決は国のほうには影響ないと思ったが、判決が出ると、必ずしもそう言ってはいられないのかもしれないというような変化が若干あるようなので、当初の立法時に考えていないようなことであれば、何か舌足らずのところがあるということであれば、手当が必要なのではないかという気がする。
  それから「有意の情報」で、これは誰にとって有意かというところはなかなか難しく、その請求者の意思として、ほんの少しでも開示がされた方がよいかという形だけでももらえたほうがよいという場合もあるかもしれないし、そのあたりがなかなか客観的には判断できない。細かい話だが、自治体の現場などでは、ほとんど墨塗りになってしまうけれども、表の一部はわかるような状態で目一杯出すと、複写費用はもらうという話になって、非常に費用がかさんできて、やっているほうも申しわけないような気もしながら、しかし、かといって有意性がないということで、全く不開示にするのも抵抗があるというので、ぎりぎりのなかなか難しい判断をしているところもあるようだ。現場では、どんなに不開示部分が多くても、しかし、やっぱりこういう形の文書があると出すことを求められているかもしれない。そこらの有意性が難しい判断になる。ここで墨塗りが多い場合複写費用を減額するとかの細かい話までするというわけではないが、そんなことが現場では考えられているということである。
  それからもう1点は、文書の不存在のところだが、これは文書の特定の仕方と絡んだ形で実際には不存在という判断がされることが多い。最後のほうに開示請求をしようとする者に対する情報提供が、9ページにあるが、特に国の情報などの場合は、どういう情報にどういうふうにアクセスできるか、流れというのがわかりにくいというところもあって、総合的にどうやったら情報公開をうまく請求できるかということを教えてあげられる窓口が必要であろう。それから各省それぞれどういう職員が窓口にいるか、やはり慣れているかいないかによって、情報提供に差があると思うが、そのあたりを、法律の文言でどうするということでは必ずしもないかもしれないが、考えていく必要があるのではないかという気がする。
小早川座長 有意性、これも確かに現場では結構微妙な使い方をしているのかもしれない。例えば、ここを隠すと、それ以外にはいろいろ大事なことが書いてあるけれども真意がわからなくなるのでもう有意性がないとか、ただ誤解されるだけのような文章の断片になってしまうからもう有意性がないとか、そういうようなのも何かあるような気もする。さっきの6条の問題ともつながっている。情報の単位の問題とマスキングということをどういうふうに意味づけるかということだ。いろいろな整理が必要なんじゃないかと思う。
  項目だけ言うと、「国の安全、公共の安全等情報」はちょっと気になっている。行政機関の長の判断を尊重するという立法趣旨でできているが、実際には、情報そのものはこういうカテゴリーだけれども、国の安全情報を必ずしも外務大臣なり内閣総理大臣ではなくて、例えば国立大学の長がそれを判断しなければいけないとか。情報を誰が持っているかという問題だ。公共の安全情報もそうで。その犯罪の捜査、取締りについて責任を負っているわけではない行政機関の長が、この条項を使って不開示にするというケースがある。そういうときに裁量判断とか専門家の判断という話とどうつながるのか。ちょっと落ち着きの悪い問題があるのかなという気もする。

(休憩)
小早川座長 それでは、再開する。
  先ほどに続いて、第2のくくりは、開示手続等、不服申立て等といったところだが、まず、事務局から資料の説明をお願いしたい。
事務局(資料1に基づき、「I1個別論点」の「3開示請求、開示決定等及びその実施手続き」から「5情報公開訴訟」までを説明)
小早川座長 それではご意見をいただきたいと思うが、一応時間的順序を追って、3からいきたいが、いかがか。
  文書の特定の問題は、実際には非常に問題があると思うが、どういう形で問題をすくい上げることができるかだ。審査会まで来てしまうと、そのあたりはもう整理されていて、何でこんなにもつれたのかと考えて、どうも最初の特定のところがおかしかったのではないかという感じを持つことがある。では、どうすべきかというそのあたりがなかなか難しい感じだ。
三宅委員 文書特定の問題は、請求するときに、請求者の側に立って相談に乗ってあげられる役所のサービス機関みたいなものが少しあってもいいかなと思う。例えば請求対象の特定とか、初歩的なことでも、市民団体のほうには、一般の方から、随分いろいろメールや電話で相談が来たりして、他の仕事をしたいけどできないという状況もあるようで、何か情報公開請求についてのオンブズマン的な役割を担って、何でも相談に乗ってくれる人が役所のほうに居るとよい。これは多分、後のほうの総合窓口にも関わってくるが、総合案内所にそういう機能があって、請求でぎくしゃくしているときには、その人も間に入って、役所とやりとりするときに対応に乗ってくれるような、そういう人もあると少し整理ができるかなと思う。これは事実上の問題にも関わるが、先ほどの座長の発言からすると、何かそのへんが少し足りないのかなという気がするので、検討をしていただきたいと思う。
小早川座長 今すぐ総務省情報公開推進室がそういう世話をしろと言ったらびっくりするかと思うが、ただ、どういう機能が今後必要かという意味では重要な点だ。
曽和委員 文書の特定のところで、現在は4条に「行政機関の長は、開示請求者に対し、補正の参考となる情報を提供するよう努めなければならない」という、行政機関の側に文書の特定に役立つような情報を示しなさいという規定はあるが、私は、同時に、開示請求者が自分が求めている文書の特定に役に立つような情報を提供する義務の規定も必要ではないかと思う。お互いが努力して対象文書を絞り込む手続を整備しないと、情報公開コストがふくらむ一方である。情報公開事務は、何人でも理由の如何を問わず情報公開請求ができ、そして、情報公開請求があれば自動的に仕事が始まる事務であり、これは理論的にはいくらでも拡大する可能性のある事務であるから、適切な運用が求められる。
  行政機関側からのヒアリングでは、大量請求の問題、特定の方の繰り返し請求や、ときには嫌がらせと思うような請求があってというような話があり、それらが果たして濫用に当たるのかはこちらで判断することができないが、理論的には、そういうまさに悪意の利用をしようと思ったらできる可能性のある制度である。そういうものに対する手当をきちんとしておかないと、本当にまじめな真っ当な請求が逆にできなくなるおそれがある。うまく言えないが、これからの検討では情報公開制度がうまく機能していくために、請求する側も、請求を受ける役所の側も、文書の特定について、誠実に努力し合ってゆくということが大事な課題かと思っている。
小早川座長 今の点は、何かほかにあるか。
  対立関係ができてしまっていて、一方から見ればあれは不誠実だと、また、他方から見れば、あれは悪意に満ちているというような関係ができてしまっている場合がある。それから、そうでなくて、もっと落ち着いて協力し合えば適切な絞り方ができるのに、それがただ面倒くさいから何となく抽象的な請求になってしまう。受けるほうもそれをそのまま受け取って、やってみたら何十万枚の書類だというような……。では、その何十万枚を整理して、マスキングして、開示すると言ったら、そんな要求した覚えはないからと言って閲覧にも来ない。そういうのもたまにはあるようだ。だから、そのへんは両方あると思われる。特定し、絞っていくためのうまい仕組みがどうなのかということだ。
宇賀委員 行政文書の特定のところだが、開示請求をする場合に、「これこれについて記載された文書」という形で出てくることが一般的だが、現在はほとんど、まずパソコンで文書を作り、それをプリントアウトしているので、電磁的な記録とそれをプリントアウトしたものという両方の形態で存在するのが通常だと思う。請求者がもし電磁的記録があればそちらでというふうに断って請求している場合も見受けられるが、多くの場合には、特にそういう断り方をしてないので、両方存在する場合でも、行政機関の対応として、紙の文書だけを取り上げて、これについては閲覧は幾らですよ、コピーすると幾らですよということだけを教えて、もし電磁的記録であれば、それについてどれぐらいの手数料がかかるのかということまでは教示する対応をしていないという例がどうも相当あるようだ。だから、複数の媒体で存在する場合に、開示請求者からこれこれの情報を記録した文書というときに、その複数の媒体が存在することを伝えて、それぞれについて手数料についての情報の提供をきちんとやるような運用をすべきではないかなということを感じている。
小早川座長 そのへんはさっきの窓口の問題にも多少は絡んでくる話かもしれない。
ほかの点はいかがか。
時間の問題はいろいろあるが。それから大量請求の問題ももちろんある。
  理由付記の点も、審査会においてどこまでやるべきなのかということがなかなかはっきりとスタンスを持てないという実感を私も持ったことがある。普通の不開示の場合もそうだし、不存在の場合は、また、それなりの問題がある。これはさっきもちょっと出たが、どういう意味の不存在かというのは書くべきなのだろう。
藤原委員 理由付記について、審査会として、申請処分だから、それについて理由が不十分だからといって簡単には取り消し難いというところがあって、確かに審査会としては難しい判断だ。ただ、その前提としては、ここでの話になるかどうかはともかく、今一度、行政手続法の趣旨を徹底する必要があるのかなと思うのが一つ。
  それともう一つは、理由付記と一般的に言っているが、先ほどの不存在の場合とか、存否応答拒否、3号、4号、個人情報と、おそらく程度は違うので、そこは条文の話ではないが、運用状況分析等に合わせる形で、相場観というか、どの程度のものが必要だ、あるいはどの程度のものでやむを得ない場合もあるというのをある程度集めてみたほうがいいのかなという感じはしている。
小早川座長 審査会は開示・不開示の判断の専門家という意識があって、その判断はやるが、手続の瑕疵でもって処分を取り消せというようなことはあまり言いたくないという感じはあるような気がする。
  それはともかくとして、処分を取り消すかどうかという話よりも、行政手続法一般の運用の問題で、だから、総務省としてそちらのほうで考えていただく必要もあると思う。
三宅委員 ちょっと戻るが、オンラインによる開示請求について、使い勝手が悪いという声が出ているので、実際本当にちゃんと使われているのか、可能なのか。請求するのにえらい時間がかかるという話も聞いたことがあるので、私も一度してみたいと思っているが、各省庁の対応、請求がどれぐらいあって、スムーズに請求できるような形になっているのかを調べていただければと思う。
  それから大量請求のところは、少量多数請求の取扱いが各省庁によって取扱いが違うのかどうか、そのへんも少し各省庁の対応を調べていただければと思う。
西鳥羽委員 理由の提示について、小早川座長も今発言したように、手続の瑕疵を違法事由として申立人のほうから上げてきた場合には、理由付記の瑕疵も見ていかなくてはならない。これは実態を見ての話だが、訴訟で理由付記の瑕疵を理由に取り消されても、きちんとした理由を書いて、また同一の処分が繰り返されることが多く、また、仕切り直しをすることになる。大体理由付記の瑕疵を理由とする訴訟はそういうルートをたどるということを聞いた。そういう経路を取っても、一度は勝ったんだということで、それなりの体質改善という役割はあるのかもしれないが、運用の段階で理由付記の問題を申立人の側から出してきた場合に、こういう確認ができるかどうかはちょっとはっきりはわからないが、例えば理由付記の問題で不開示処分を取り消して行政庁側に返して、もう一回判断してもらうというときに、結局、同じ判断が繰り返される事情にあると認められる客観的な理由がある場合には、審査会の審査段階で審査会委員のほうからその点を申立人の側に確認するとか、そういう手続を一つ入れてあげたほうが、申立人の方たちにはかえって便利になるんじゃないかという気はする。では、どうやって確認するんだと言われると、直に行政庁側に聞いてみるということしかないかもしれないが、それが一点である。
  それから、先ほどから出ている大量請求の問題についての対応だが、ハードな対応からソフトな対応までいろいろあると思う。それから、申立人の側の大量請求とはまた逆に、ヒアリングの際に市民団体の方たちからひどい対応があったということも述べられていた。大量請求などの対応として、最終的にどういう目的で何が知りたいんだということをとことん対応手続で聞くと、個人の請求目的は問わないという情報公開制度の基本理念が壊れてしまう。大量請求に対して、また、逆の行政庁側の制度の本質を理解しない対応に対して、何らかのそこを少し抑える対応策が必要なことは、これは言うまでもないと思うが、現段階でソフトな対応としてできることというと、39条の施行状況の公表のところで、そういう具体的事例を、表現に工夫は必要だろうが、客観的に差し障りのない程度に、総務大臣名で記載すること、そういうことを悪しき事例として、両方の面から記載していって、少し牽制していくというようなところが最もソフトな対応ではないかと考えているが、その点はどうか。
小早川座長 大量請求の問題はなかなか微妙なものであることは言うまでもない。何が悪くて、何がいいかということを誰が判断するかという問題がある。ただ、おっしゃるように、情報公開制度がどういうふうに運用されているのかという点の情報の公開は必要なことだ。それについて役所の側からすれば、これだけのコストが実際にかかっているという、そのデータはやっぱり公にして、世間の評価にさらすということなんだろうと思う。
曽和委員 手数料の話について、三重県の条例改正のときに、大量請求や、特定の者の繰り返しの請求、濫用に対する対策として、手数料をとろうという意見もあったが、情報公開制度というのは行政の透明性を確保して、行政活動の質を向上させるといういわば公共的な目的の制度なので、手数料は無料を続けるべきであるという結論になった。国の場合は、開示請求の手数料を取っているが、これが公開請求に抑止的に作用していないかどうか気になるところだ。
  まず、開示請求1件という数え方が、対象文書のくくり方とか、その文書の特定の仕方にもかかわるのだが、どうなっているのか。それがあまりに請求者側に負担にならないような数え方になっていないかどうか。
  それから、CDに保存されている電子情報をプリントアウトしたら何十万ものコピー代を請求されたという話にはちょっとびっくりした。電子情報だと、電子情報そのものをコピーして渡すという形で運用できないのか。オンライン請求で、添付ファイルで公開すると、行政にとっても請求者のとってもコストが安くつく。そのようなシステムの開発あるいは文書管理が工夫できないかなと思う。
  手数料の減免については、現在の規定でも、「経済的困難、その他特別の理由があると認めるときは」と書いているが、これがどう運用されているのか。公益目的とか、非常に公共性が高い請求ということになれば、減免規定を利用できるのかどうか。そのあたりも今後議論していきたいと思う。
小早川座長 減免の実態について、データはわかるか。
山内室長 毎年の施行状況調査において、減免件数は取っている。
三宅委員 減免は、申出の実態もわかるか。減免したということと、たしか生活保護受給者からの減免を認めたのが何件かはあるが、要件的にもちょっと厳格になっているようなことがあってそれ以外の手続はなかなか認められてないように思った。総数のようなものはわかるか。もしわかれば、ちょっと調べておいてほしいと思う。
山内室長 昨年分はまだ取りまとまっていないが、一昨年度分であれば、減免申請件数が11件、そのうち認められたものが4件。
三宅委員 なぜ認められなかったのかのところも調べたい。4件は認められたという報告とかデータをいただく以上に、7件はどうしてだめなのかのところを少し検討したいと思う。
山内室長 わかった。
小早川座長 それでは、次に不服申立てあるいは訴訟についていかがか。
宇賀委員 情報公開法が運用されて、当初あまり予想していなかったことで、運用上で出てきた一番大きな問題は、不服申立てがされてから情報公開審査会へ諮問されるまでの期間が、場合によっては2年を超えるというものすらあり、また、1年を超えるものも相当見られたことである。いろいろな事情があるにしても、あまりにも長過ぎる。ここについて現在法律上は何の規定もないので、これはぜひ是正する必要があると思う。具体的にどうやるのかということはなかなか難しくて、一定の期間を定めるということもあるかもしれないが、あるいはもっと抽象的に速やかに諮問しなければならないとか、そういう規定を置くとかいったこともあると思うが、やはりここはいくら審査会のほうで努力しようと思っても、なかなか諮問がされないということでは、審査会のほうも動きようがない。何か対応を考える必要があるのではないかと思う。
小早川座長 某省が特別に問題だったということはあったが、一般的にも問題である。だから、これは本当のところを理解する必要があると思う。何でさっさと来ないのかということだ。制度的な話もあるだろうが、お役所のそれぞれのカルチャーというか雰囲気というかそういうのもあるんだろうと思う。各省またがった第三者機関とのつき合い方にまだ慣れてないのかなという気もするが、やはり実態というか、本当の原因が何で、どういうふうにしたら改善できるのかというところをできれば調べていただきたいと思う。
三宅委員 審査会の在り方や、第三者機関とのつき合い方にも関連するが、裁決機関にすると早くなるとかそういうことはないのか。もしそうだとすると、裁決機関にという議論がもう少し積極的に出てくるかもしれないと思ったりもする。調べていただくというより理論的なところなので、議論をいずれどこかで深めておく必要があるかなと思った。
曽和委員 自治体で幾つか経験があるが、自治体によってだいぶ違い、不服申立てを受けてから審査会へ諮問するまで長い期間がかかる自治体もある。それは1つには、情報公開に対する習熟度の違いがある。最初の第一次決定を非常にいいかげんにやっていて、不服申立てを受けてからあわてて理由を考え出すというような場合には一般に遅くなる。諮問書という形ですごく整った形式を出そうとするから、それが全部書けなくて遅くなるというのもある。    
  それから、裁決機関か諮問機関かという点について、これは当初からある議論だが、私の印象では、諮問機関であってもうまく運用されていて、事実上もそこでの判断が尊重され、現実の情報公開実務をリードしてきている。だから、無理して裁決機関にする必要性はないのではないかと思う。
  意見具申とか苦情処理等の機能・仕組みという項目について、情報公開審査会の意見具申機能は正面から認めて良いのではないか。地方自治体によっては審査会と別に情報公開審議会といった名前で運用の在り方を考える組織を持っている場合がある。国の場合には審査会しかないのだから、審査会が運用の中で気づく問題について、一般的な制度改善を要望する機能をしっかり位置付けることが必要であろう。もっとも、別建てに情報公開の制度の在り方を一般に審議していくような審議会のようなものを作ることも考えられる。
藤原委員 三宅委員の理屈はどうなるのかというご質問だが、結論は曽和委員と同じで、今の仕組みでいいと思う。裁決機関にする場合に、原処分庁のやっていることを入口から全部最初からやるとなったときには、問題は、やっぱり人員と体制だ。そこがよほど充実しないと、迅速性という意味ではそれほど変わらないということになるのではないかと思う。念のため。
小早川座長 この際、議論をもう一度やる意味は十分あるだろうと思う。その際に、開示請求についての裁決機関か諮問機関かという話と、それから今いろいろ出ているように、付加的な機能・役割をどこまで審査会が持つべきか、現に答申で「一言付言するに」というようなことでチクリと釘を刺すということはたまにはやられている。しかし、行政組織全体の在り方として、自治体の場合だと、首長と近いところにあって、わりあい全体に対してすぐにパッパッパと何かいくという感じもあるが国の場合には必ずしもそうではないとは思う。そのへんの違いもあろう。それから、私の個人的な感覚からすると、そうでなくても審査会が苦情処理的な機関みたいに思われているところがあるのではないか、あるいは情報公開制度がそう思われているのではないか。役所はけしからんと直に言っても取り合ってくれないので、審査会へ行くんだという感じのものがある。それは確かにそういう意味で国民と行政との間のインターフェースの一つではあって意味はあるんだと思うが、そういう役割を正面から担ったら、これは一般的な苦情処理機関みたいになってしまうので、それも限界はあるという気もする。そのへんの審査会全体イメージがどういうことになるのかということは、これからしっかり議論をしていかなければいけないなと思う。
訴訟のほうはいかがか。
三宅委員 訴訟のほうは、ヴォーン・インデックスの手続とインカメラの制度を何らかの形で制度化したいということを、実際に裁判をやっている上で特に思う。たまたまある事件を審査会にかけて、同時に訴訟を提訴したケースがあり、審査会でもう少しヴォーン・インデックス的なものを出してもらえるといいなと思っていたが、一部開示になり、不開示の部分についてヴォーン・インデックスがなかったために、それについてもうちょっと細かく裁判所で審議しようと思っても、出てきた録音テープは、沈黙のままの時間だけがザーッとあって、それは事務局の説明なのか、公務員の方の発言なのか、公務員でない方の発言なのかということが時間割りであると、そういう細かい議論をもう一度訴訟でできる。たぶん審査会では録音テープを聴かれて、それで開示するかどうかの判断にとどまったので、名前入りの議事録を作るかどうかの審議のところが一律非開示になっている。たぶん見て判断される方は、それである程度救済をしたという意見の取りまとめになるのだろうと思うが、それをさらに詰めていくとなると、もう少しヴォーン・インデックス的なものを訴訟で独自にやる必要が出てくるかなと思う。
  情報公開法の要綱案の考え方で、司法救済上の諸問題で残されたところで、不服審査会における調査の過程で得られた資料が、訴訟上活用されることも期待されるところであると言われていたが、今回、行政事件訴訟法の改正で、前々回に座長がサゼスチョンされた行政事件訴訟法の23条の2の釈明処分の特則でどこまでいけるのか。たぶん記録そのものが出てきて、審査会の記録も全部裁判所に出てきて、ある程度きっちり審査会でやってあったものが出てくるということになると、訴訟上の規定としての改正まで要るのかどうかというところで、もしなくても釈明処分の特則でかなりいけるかどうかと。ただ、そうなると、審査会のほうで、細かくヴォーン・インデックス的なものを実施機関側に作成を促すような手続もどうしても必要になってくる。
  そこで、先ほど言った部分公開義務規定をより厳格に、審査会の判断の中で、今条文上はそういうことができるという規定になっているし、審査会の裁量としてできることになっているが、説明責務を尽くすということを詰めていくと、もう少し部分公開義務規定に基づくヴォーン・インデックスの作成を審査会に義務付けるような規定はできないものだろうか。そのへんだと訴訟法の手続の改正なしでもう少し詰めて、つまり、釈明処分の特則で詰められたところに、情報公開法の事実上の運用なり、審査会の取扱いなんかの改正で橋渡しをすれば、もう少しヴォーン・インデックス的なものがある程度作りやすくなるとか、出やすくなるんじゃないかなという点も一つ思っている。少しそのへんも考えてみたいし、もしそこで十分でないとすると、どこの法律になるのか、情報公開法の中で裁判管轄の特則を設けたような形で、行政事件訴訟法の在り方についての特則をこの法律の中で整備するという提案をしなければいけないのかもしれない。そのへんちょっとまだ整理ができてないが、いずれにせよ、これをしないと細かいところの真偽がなかなか裁判所でできないし、特にこれから個人情報保護法、行政機関個人情報保護法とか、独立行政法人等の個人情報保護法ができて、本人開示の問題が出たときに、本人にどこまで開示するかという問題になると、情報公開法だけの問題ではなくなる。そのへんの細かな議論にどう対応するかということにもつながってくるので、ここは十分検討をしたいと思う。
小早川座長 今の、ヴォーン・インデックス的なものの開示義務が6条で実体法上あるんだという議論については。
三宅委員 もうちょっと踏み込んで言いますと、今、行政事件訴訟法の9条2項というので、原告適格のときに考慮するという規定が入った。それと同じように、6条の1項とか2項はこういうふうに考慮するということで、説明責任と結びつけた考慮規定的なものを入れると、裁判所はそれに乗って、釈明処分の特則にそれをかけるという可能性が一つ出てくるかなと考えている。そういうものができるのかどうかというのが1つ。
  それから、審査会の調査権限のところで、27条の3項に、「審査会に提出するよう求めることができる」とある。これをもう少し申立人側からも強く言えるような、先ほどの説明責任を尽くす上で、もう少し審査会に強くやっていただけることを申立人側から促すような何らかの手当みたいなのがあり、そういうものが実際にできやすくなると、その記録が裁判所にいくということもあり得るだろうと思うので、そのへん考えられないかなと思う。
小早川座長 確かに審査会はインカメラしてしまうので、そこらへんあまり念入りに考えないでやってしまうというところがあるかもしれない。何か制度設計ができるのであれば。
  裁判管轄はどうか。特に問題ないのか。今回の行訴法の改正もありますし、問題なしに定着したということなのかもしれないが。
  それでは、まだあるかと思うが、時間もだんだん迫ってきているので、最後の部分もご説明いただいて、全体について議論をしたいと思う。
  それでは、第3番目のくくりで、文書管理、情報提供、法目的等というようなあたりを、説明をお願いする。
事務局(資料1に基づき、「I1個別論点」の「6行政文書の管理」から「II2の制度全体に関わる論点」までを説明)
小早川座長 それでは、今説明のあった部分についてご意見があればよろしく。
藤原委員 6番目の「行政文書の管理」の問題について、この中で、ファイル管理簿の有効利用は、今後のおそらく電子政府の構築の進展とともに状況は改善されていくのだろうなと思うし、その際にユーザーフレンドリーというか、利用者に親切なという観点から構築されれば、かなりの問題がクリアできるのではないかとは思う。
  それともう一つ別に、先ほどの文書不存在との関係で、やはり文書管理の不適切性が問題になると思う。特に、ここに諸外国の文書管理法とあるが、一気に文書管理法の話にいくかどうかは別の問題として、ここにある廃棄の手続とか、そういったものについてきちんと各省庁が統一的に、また適正にやっていれば、文書不存在の中の深刻な問題は、限界があると思うが一定程度落ちるのではないかという気がする。文書不存在で、特定の問題であるとか、解釈の問題だとかというのは、審査会でもある程度カバーできる。文書があれば、組織共用ではないかという読み方ができないわけではないし、特定も、先ほど座長から話があったように、どうしてここまでこじれたんだろうという問題はあるものの何とか対処はできると思う。しかしながら、ないものはなかなか対処し難いというところがあるので、そこのところを手続的に、ここは情報公開法策定の過程で各省庁の奥の院と呼ばれたところでなかなか難しいところはあるが、何らかの対応をしておく必要があるのではないかと思う。
宇賀委員 開示請求制度と情報提供施策との連係の部分について、この部分はアメリカでは1996年に電子的情報自由法ができたときに、繰り返し開示請求があるものについては、アメリカの場合には読書室という概念があり、そこでオンラインで提供するということになった。司法省のガイドラインでは、3回開示請求があると、そういう義務がかかってくるようになっている。
  東京都の場合は、情報公開条例を全部改正したときに、これを一つの参考にして、繰り返し開示請求があるようなものについては、開示請求を待つまでもなく閲覧させるように努めるという規定を置いて、実際上、そういうふうに運用されているようだ。だから、ここは法改正という形でいくか、あるいは運用という形でいくかは議論があると思うが、繰り返し開示請求があって、ニーズの高いものについては、なるべく情報提供というルートでやることは、国民にとっても、わざわざ手数料を払って開示請求をするという手間が省け、時間的な面でも有利になるし、行政機関にとっても、開示請求に要する事務的な負担が軽減するという面でもメリットがあると思うので、この点は少し考えていく必要があるのではないかなと考えている。
小早川座長 積極的情報提供というと、独法のほうで新機軸を出した。あれと行政機関情報公開法とのペースのずれ、何か整理されているのか。行政機関も追いつけということなのか、それとも、あれはあれで別だということなのか。
藤井統括官 特殊法人と独立行政法人については、財務諸表の公開等が問題になっていて、そういったことが独立行政法人通則法でも公にするというような方向性が出されていた。それだけでなく、特殊法人は特に見えにくいということから、積極的な情報提供が必要ということで、独法等公開法については、情報提供制度を開示請求制度に並ぶものというような位置付けにするということで例示された。
  同じような話は、たぶん国の行政機関についてもあるのだろうと思うが、現状はどうかというと、まだ、それを全体的に何か基準を示してやるというところまではいっていない。ただ、例えば特別会計の公開の問題にしても、政策評価の公開にしても、それぞれの総合調整官庁ではこういう積極的な情報提供というものが重要であるという認識が相当出ていて、そういう施策が講じられつつあるのではないかと思っている。
  だから、この検討会でも、特に行政機関についてのいろいろの情報提供施策の現状をまず事務局として整理してお示しした上で、全体の情報公開の総合的推進という観点から、何か一歩を踏み出すというか、イニシアチブを取る必要があるかどうかというところも含めてご検討いただければということで整理しているところだ。
小早川座長 そもそもこの検討会は、独立行政法人のほうも射程に入っているのか。
藤井統括官 入る。
小早川座長 ほかにいかがか。
曽和委員 情報提供と開示請求制度の連係は、私も非常に重要な論点だと思う。今後、情報提供の質と量をどれだけ充実させるかということがこの情報公開制度に対する過度の負担を減少させていくための実際上の保証になるのではないか。情報提供が非常に貧困なままであれば、結局のところ、情報公開請求しないとものは出てこないということでみんなそっちに来るわけだが、請求者側も行政期間側も非常に時間と手続、コストを払って運営をしていなければならない。だから、有益な情報をどしどし情報提供するということでお願いしたい。この検討会の守備範囲で何がどこまでできるかわからないが、情報提供の充実についても考えていきたいと思う。
  それから、審議会等の公開というのがこの情報提供のところにあるが、外国では会議公開法という独立した制度として作っているところもあるので、少なくとも情報公開法の中に、会議の公開というような項目で一カ条、あるいは会議公開の根拠になるような規定があってもいいのではないかと思う。
小早川座長 会議の公開について、今日のペーパーにもそれが入っているが、審議会等会議の公開と行政文書の開示とどうつながるのか、一致するのか、しないのか、理論的にはいろいろ議論はあり得る。
曽和委員 この法律そのものの性質にも絡むかもしれないが、私の意識では、情報公開法というのは、政府の情報公開の基本法的な位置付けであるべきで、基本は公文書の公開だが、そのほかにも情報提供についても一カ条あり、会議の公開についても一カ条あり、あるいは個人情報保護との関係についても何かありという、全体として政府の情報公開をどう実現するかについての見取り図みたいなものもあって良いのではないか。別に公文書の公開というふうに限定する必要はないのでではないかと思う。
小早川座長 議論はしよう。事務局も、何か条文に入れられる感じがあって、こう書いているのか。
藤井統括官 まさにそういったことをこれからご検討いただくという意味で整理しているわけであり、今書いてある論点は、基本的にこれまでに先生方からご指摘いただいた点等、あるいは関係団体、それから各省などから出された意見を整理したものであり、それ以上に制度論的なフィージビリティーとか、理論的などうのこうのとかといったことは一切事務局としては斟酌していない。まさにこれからご検討いただければと思う。
三宅委員 今の会議の公開のことで言うと、中央省庁等改革基本法の30条で、審議会が原則公開で、審議会の議事録も原則公開という形の規定になっていると思う。一般的な審議会はかなりそれで運用されていると思う。問題は、その審議会は多いからなるべく少なくしようということで検討会が多くなって、審議会の場合には任命の手続を取るから一般的には公務員扱いで委員も発言をするということになるが、検討会の場合は有識者の意見を聴くということで、公務員の扱いにならないというところで、今いろいろ問題になってくるのは、その会議の公開なり、その議事録の取扱いが原則的に公開でないような問題が実際は議論になる。会議の公開についての一般規定を設けるというようなことと同時に、その法律の30条の運用と、それに則した検討会が全般的にどういう状況になっているのか、そこも少し議論としては詰めておかないといけないのではないかと思う。どこまでこの検討会について調べられるのかわからないが、ちょっとできる限り調べていただければと思う。
  それと、先ほど言おうとしたインカメラの審査についてちょっと私も調べたところ、知的財産訴訟検討会、司法制度改革推進本部の検討資料の中で、非公開審議を巡る学説の状況ということで、あまりインカメラ審査は82条に違反すると言い難いような説がずっと並んでいるのがホームページ上にあった。ここでもインカメラをするかどうかについて、82条論をちょっと整理しておく必要があるのではないかなと思ったので、先ほど言い忘れましたので補足する。
藤原委員 情報提供として、中央省庁等改革基本法の30条に関連しては、閣議決定があって、各審議会は原則としてあれで今はやっていると思う。
  曽和委員が触れた会議の公開について、自治体の中には、理屈付けはともかくとして、情報公開条例の中に会議公開を一カ条入れるところが徐々に増えていることは増えていると思う。ただ、それが理論的に検討されたものかどうかはちょっと調べたことはないが、一応念のため。
小早川座長 狭めに取れば、記録の作成義務、これも文書管理の一部と言えば一部だが、どういうところでどれだけの議事録を作れということを行政管理局あたりがきちんと履行を担保できるということであれば、そういうことを閣議決定をさらに進めるような格好で考えるという話もあり得る。さらに進むと、およそ政策形成決定過程の公開ということになってきて、そうなると、文書の公開とかなり離れるのかなという気もちょっとしたが、ただ、そこはとにかく議論はしよう。
  あとはいかがか。「知る権利」については。あまり時間がないが、何か特にきょうご発言があれば。
  逆に言うと、説明責任というのも随分人口に膾炙したが、最近はあらゆることが説明責任になって、情報公開法の1条で言う説明責任って何だっけねという、話が逆になっているところがある。そうすると、今のこれがこれでいいのかということも逆にある。
三宅委員 「知る権利」と明確に明記するかどうかということにも関わるが、立証責任の分配で言うと、不開示情報のただし書きの部分の立証責任がどちらにあるのかということについて仙台高裁の秋田支部の判決で、情報公開条例に関わるものだが、実施機関側にありという判決が一度出て、ちょっと着目したことがあった。その後のフォローをしてないが、このへんは「知る権利」なり、公文書開示請求権なりが権利としてはっきりして、その例外としての不開示情報だという関係で、そのただし書きは原則に戻るんだという形にすると、不開示情報から「この限りでない」というのを除かれた部分については、実施機関側にありという判断はもうちょっと結び付いてできるのかなと思うので、実質的な議論をもしするとすると、そのへんで「知る権利」の明記というのか、そういうようなことにつながるのではないか。今、説明責務のところが希薄になって、それを最初1条に入れたときよりも非常に広がり過ぎて、そのへんの機能まで結び付けられるような文言でなくなりつつあるとすると、もう少し立法上の工夫みたいなのは提案できるかもしれないと思う。一つとしては実質的な議論。
  それからもう一つは、情報公開条例の関係だが、上告受理申立てと上告の関係で、上告をするときに両方とにかく出す。なぜかというと、それは憲法違反だと言って上告審で判断してもらえれば非常にいいなと思って、21条に関わる「知る権利違反」だと絡めて言うと、最近は最高裁もいろいろ考えて、上告受理申立てと上告の両方について、一本のペーパーで、上告は棄却して上告受理はしないという一本の決定をするようになってきて、そのへんも情報公開についてもう少し上級審の判断をきちんと求めたいときに、なにかの手掛かりが本当はあって、憲法上の位置付けがはっきりしたほうがいいなと思うときはある。「知る権利」を入れるかどうかについての実質的な議論をもしするとしたら、そのへん2つのところにはちょっと絡んでくるように思うので、そういう議論もしてみたいなとは思う。
小早川座長 立証責任とか、そのへんの実際の具体的な判断の仕方で、裁判所において法目的議論がどれだけ働いているのかというのを実証的に調べていただくことは、もしできればいいなと思う。
  ほかにいかがか。
西鳥羽委員 今の立証責任について、5条本文がかつての自治体の条例と違う規定の仕方になったことによって、その点はただし書きであっても、一応、いったん行政機関の長に該当性を判断する義務が課されてあると解釈できるのではないか。第5条は、次の各号に掲げる情報のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該行政文書を開示しなければならないから、いずれかが記録されていないかどうかを、行政機関の長はとりあえず一応全部これ5条の各号を全部見る責任がある。
小早川座長 三宅委員が言われたのは、各号のどれに当たるというところの主張までは行政機関側で必要で、その先のただし書きについては。
西鳥羽委員 ただし書きは入らないのか。解釈問題か。
曽和委員 この点については私も気になっていて、これは議論すればいいと思うが、理屈では二通り考えられると思う。公開が原則で非公開が例外なのだから、例外に当たるというほうが立証責任を負うということが一つ。それから、当該文書を行政機関が持っているのだから、結局持っているものがそれに基づいて立証をせよというのがあって、その二つがおそらく行政機関が立証責任を負うということの理由だと思う。ただし、ただし書きについて見ると、人の生命、健康、それから財産を保護するために公にすることが必要だということの立証を、個別事案で請求者側がこの文書は自分の生命とか健康にこういうふうな影響があるんだということを言わなければだめなのか。そういうふうに考えると、請求者側の立証という議論が出てきそうだが。しかし、他方では、文書そのものの性質から定性的にこれを判断するのだとなれば、文書を持っている行政機関がここに該当するかしないかもやっぱり判断すべきだと。そこは両方考えられるのではないかと思う。いずれにしても、「知る権利」があるからないからというのは直接は関係がないような気はする。
小早川座長 今もお話があったが、だから、情報公開訴訟のあたりの問題でもある。実際に裁判所がどういう前提で審理をしており、また、どうすべきなのかということ。
三宅委員 最後のところの「行政機関・独立行政法人等以外の情報公開」で、国会と裁判所の情報公開と、指定法人等の情報公開と書いてあるが、これは私が言うのも何だが、どの程度ここで議論して実益があるのか。どこまでがこの見直し検討会の範疇だけれども、こういうことはやっぱり少し言っておいたほうがいいというところはどこまでなのかなというのをちょっと疑問なんだが、どうか。
藤井統括官 事務局から検討会にお願いしたという趣旨から、事務局としての考え方をご説明したいと思う。今回の検討会の開催要領の1の「目的」に尽きるわけで、行政機関法と独立行政法人等の制度運営についての見直しということでお願いしている。既に今ご指摘の3つの問題については、当検討会でも検討したらいいではないかというようなご指摘もあった。事務局としては、そういうご論議を制約するというような考え方はない。ただ、おのずと三権の関係なり、あるいは現状というか実態に照らすと、最後のものの言い方とかは工夫の余地があるという場合はあるかもしれないが、こちらでご検討をいただくということ自体は、それは非常にいいことではないかなと思う。
三宅委員 そうだとすると、行政機関が保有する国会と裁判所作成文書の類型というのにとどまらず、例えばどこまで回答をしていただけるかわからないが、裁判所の依命通達による情報公開制度の運用実態ももし報告をいただけるなら、最高裁にお願いして、現状がどうなのかということをちょっと調べていただきたいことと、国会にもお願いができるのであれば、先ほど国会図書館でホームページ上のデータを管理しようかというようなお話がちょっと小幡委員のほうから出ていたが、国会のほうでこういうことをお考えなのかどうかという、これはちょっと抽象的な話になるが、そういうことの問いかけももし可能であればしていただければと思う。
藤井統括官 いずれも先方とも話し合わなければいけないことだが、当方としては、先生方の意向に沿って相談させていただきたい。
小早川座長 そこはうまくやっていただきたい。
  それでは、まだいろいろあるかとは思うが、時間も過ぎたので、このあたりできょうの議論は終る。
  おかげさまでこの非常に多岐にわたる論点だが、どこがポイントかというようなことがかなりはっきりしたのではないかと思う。本日の意見等を踏まえて、事務局のほうで必要な資料を準備していただきたい。今、国会や裁判所の話もあったが、各行政機関についても様々な注文が出たので、できるだけ協力いただき、我々としても実態を知りたいので、よろしくお願いしたい。
  次回は秋以降になるが、3回程度に分けて、個別の項目ごとに議論をしたい。どういうふうに順序立てしていくか、事務局とも相談するが、順に議論を進めていきたい。
それでは、事務局から何か連絡事項はないか。
山内室長 次回の会議は、9月28日(火)15時からということで予定している。場所については決まり次第、改めて連絡する。

  − 以上 −