<7 開示請求>

回答

Q7-1
保護法で開示請求権制度が設けられている趣旨は何ですか。また、情報公開法の開示請求権制度とはどのような違いがありますか。

A

 保護法は、行政機関における個人情報の適正な取扱いを確保し、個人の権利利益を保護することを目的としています(第1条)。この目的を達成するため、保護法では、個人情報の保有の制限(第3条)、正確性の確保(第5条)、利用及び提供の制限(第8条)など行政機関における個人情報の取扱いに関する規律を定めています。
 保護法の開示請求権制度は、行政機関がこれらの規律に従って、個人情報を適正に取り扱っているか、具体的には、利用目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を保有していないか、あるいは保有個人情報の正確性を確保しているかなどについて確認することができるよう、個人が行政機関に対して自己を本人とする個人情報の開示を請求することを権利として定めたものです。
 これに対して、情報公開法は、政府の有するその諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的としており、この目的を達成するために、行政機関に対して行政文書の開示を請求する権利を定めています(同法第1条)。
 保護法と情報公開法の開示請求権制度には、次のような違いがあります。

保護法と情報公開法の開示請求権制度の主な違い
開示請求者
  • 保護法では、何人も自己を本人とする保有個人情報の開示を請求することができる。このため、開示請求者が本人であることの確認を要する(保護法第13条第2項)。
  • 情報公開法では、何人も行政文書の開示を請求することができる。開示請求者が誰であるかを問わないため、開示請求者が本人であることの確認を要しない。
開示請求の対象
  • 保護法における開示請求の対象は、行政文書に記録された「保有個人情報」。開示請求の対象である保有個人情報が記録されている行政文書中に含まれる他の情報は、開示請求の対象外(保護法第12条第1項)。
  • 情報公開法における開示請求の対象は、「行政文書」(情報公開法第3条)
不開示情報
  • 両法の開示請求権制度における不開示情報の類型は、基本的に同じ
  • 保護法では、本人に開示することによる支障の有無を判断する(保護法第14条)のに対し、情報公開法では、公にすることによる支障の有無を判断する(情報公開法第5条)。

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Q7-2
開示請求は本人だけでなく、代理人によっても行うことができますか。

A

 Q7-1で説明したとおり、保護法は、行政機関が保有する保有個人情報についてその本人からの開示請求を認めるものです。このため、原則として、本人以外の者は開示請求をすることはできません。
 しかし、未成年者や成年被後見人のように本人が自ら開示請求をすることが困難な場合もあります。そこで、保護法では、これらの者については、例外的に、本人に代わって法定代理人が開示請求をすることが認められています(第12条第2項)。法定代理人に対して本人の保有個人情報を開示することにより、本人の権利利益を害するおそれがある場合には、保護法第14条第1号の規定により不開示となります。このため、法定代理人に開示請求することを認めても本人の権利利益の保護に欠けることにはなりません。
 なお、広く代理請求を認めることは、かえって本人の権利利益の保護に欠けるおそれがあることから、いわゆる任意代理人による開示請求は認められていません。例えば、本人が何らかの事情により行政機関の窓口に来所して開示請求をすることができないような場合には、開示請求書を行政機関の長に送付して開示請求をすることができます(一部の行政機関については、電子情報処理組織を使用して開示請求(オンラインによる開示請求)をすることもできます。)。

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Q7-3
開示請求の際の本人確認は、どのように行われるのですか。

A

 Q7-1及び7-2で説明したとおり、保護法では、行政機関が保有している個人情報をその本人に対して開示するという仕組みをとっています。このため、本人以外の者に保有個人情報を開示することのないよう、行政機関において開示請求者が当該保有個人情報の本人であることについて厳格な確認を行うことが必要となります。
 開示請求の方法としては、1)行政機関の窓口に来所して行う方法、2)開示請求書を行政機関に送付して行う方法、3)オンラインにより行う方法があります。それぞれの方法について、次のように本人確認のための手続の概要は次のとおりです。

  • 1) 行政機関の窓口に来所して行う方法

     開示請求者は、法令の規定により交付された運転免許証等の本人確認書類(開示請求書に記載されている開示請求者の氏名、住所又は居所と同一のものが記載されているもの)を行政機関に提示又は提出しなければならない(令第11条第1項第1号)。

     運転免許証等を提示又は提出することができないような場合には、行政機関の長が適当と認める他の本人確認書類を提示又は提出することが必要となる(同項第2号)。

  • 2) 開示請求書を行政機関に送付して行う方法

     開示請求者は、開示請求書とともに、1)に記載した本人確認書類を複写機により複写したものと開示請求者の住民票の写しその他本人であることを示すものとして行政機関の長が適当と認める書類を送付しなければならない(令第11条第2項)。

  • 3) オンラインにより行う方法

     開示請求者は、公的個人認証制度等を利用して、開示請求書の記載情報に電子署名を行い、電子署名を行った者を確認するために必要となる電子証明書を開示請求書とともに行政機関に送信しなければならない。認証局を利用することができないなどの理由により、電子証明書を送信することができない場合には、1)又は2)の場合と同様の方法による。

 なお、本人に代わって法定代理人が開示請求を行う場合には、開示請求者(この場合には法定代理人)自身の本人確認書類に加えて、法定代理人であることを証明する書類(戸籍謄抄本など)を併せて提出することが必要となります(令第11条第3項)。

※ 本人確認書類について詳細は請求先の窓口による案内を御参照ください。

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Q7-4
開示請求をする場合の手数料はいくらですか。また、手数料はどのような方法で納付するのですか。

A

 手数料の額は、インターネットを利用したオンラインによる開示請求をする場合には、行政文書1件について200円です。これ以外の窓口に来所して請求する場合や開示請求書を送付して請求する場合には、行政文書1件について300円となっています(令第18条第1項)。なお、1つの行政文書ファイルにまとめられた複数の行政文書や相互に密接な関連を有する複数の行政文書について開示請求をする場合には、それら複数の行政文書を一件の行政文書とみなして、手数料は300円となります。また、独法等保護法に基づき開示請求する場合の手数料の額については、各独立行政法人等が、実費の範囲内で保護法の定める手数料の額を参酌して定めることとなっています(独法等保護法第26条)。
 手数料の納付方法は、オンラインによる開示請求の場合には、原則として電子納付により行います(令第18条第3項第3号)。これ以外の方法による開示請求の場合には、原則として収入印紙を開示請求書にはって納付することになります(同項本文)。また、特許庁のように収入印紙で手数料を納付することができない機関については、専用の納付書により納付します(同項第1号)。収入印紙や専用の納付書による納付のほかに現金で納付することができる事務所もありますので(同項第2号)、詳細については、開示請求を行おうとする行政機関の窓口にお尋ねください。

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Q7-5
開示の実施を受ける場合にコピー代などの手数料はかかりますか。

A

 情報公開法に基づき行政文書の開示を受ける場合には、開示請求時に納付した「開示請求手数料」(行政文書1件につき300円(オンライン請求の場合200円))とは別に、行政文書の写しの交付等に要する費用として、「開示実施手数料」を納付することとなっています(同法第16条)。これに対して、保護法に基づき保有個人情報の開示を受ける場合には、写しの交付等に要する費用を納付する必要はありません(保護法第26条第1項)。
 なお、独法等保護法に基づき開示の実施を受ける場合においても、同様に、写しの交付等に要する費用を納付する必要はありません。
 保護法の規定に基づくのではなく、別の制度に基づいて開示の実施を受ける場合には、それぞれの制度の定めるところによります。

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Q7-6
開示請求をすることができるのは、個人情報ファイル簿に掲載されている個人情報ファイルに記録されている個人情報に限られるのですか。

A

 昭63保護法では、開示請求の対象は個人情報ファイル簿に掲載されている電算処理ファイルに記録されている個人情報に限られていましたが(同法第13条第1項)、保護法では、こうした限定はなく、行政機関が保有するすべての保有個人情報が開示請求の対象となります(保護法第12条第1項)。
 したがって、個人情報ファイル簿に掲載されていない個人情報ファイルに記録されている個人情報についても開示請求をすることができます。また、そもそも個人情報ファイルに記録されているのではなく、例えば紙文書の中に散在的に記録されている個人情報(散在情報)についても開示請求をすることができます。

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Q7-7
開示請求が行われた場合、開示請求に係る保有個人情報のすべてが開示されることになるのですか。すべてについて開示されないことがある場合、どのような情報が不開示とされるのですか。

A

 行政機関の長は、開示請求が行われた場合には、開示請求の対象となっている保有個人情報に不開示情報が含まれている場合を除いて、開示請求者に対し、保有個人情報のすべてを開示しなければなりません(保護法第14条本文)。

 保護法は、このような原則開示の枠組みの下で開示範囲をできるだけ広げる観点から、不開示情報について、「○○に関する情報」などの不開示により保護しようとする情報の類型的な基準に、「○○を害するおそれ」などの定性的な基準を組み合わせることにより、明確かつ詳細に規定しています(第14条各号)。不開示情報の類型は、次のとおり、7類型あります。

  • 1) 本人に関する情報(保護法第14条第1号)

     本人に対して本人に関する情報を開示する場合であっても、開示することにより本人の利益を害するおそれがある場合があることから、開示請求者の生命、健康、生活又は財産を害するおそれがある情報を不開示情報としています。

     具体的には、カルテを患者本人に開示する場合に、患者の精神状態等からみて、開示により病状の悪化をもたらすおそれがあるような場合が想定されます。

  • 2) 第三者に関する情報(同条第2号)

     開示請求の対象となっている保有個人情報の中に本人以外の第三者(個人)の情報が含まれている場合には、開示することにより、第三者の権利利益を害するおそれがあるため、第三者に関する情報を不開示情報としています。また、第三者に関する情報について、特定の個人を識別することができない場合であっても、開示することにより、なお個人の権利利益を害するおそれがある場合には、同様に不開示情報としています。

     ただし、人の生命、健康等を保護するために開示することが必要であると認められる場合には、例外的に開示されます。

  • 3) 法人等に関する情報(同条第3号)

     法人等に関する情報であって、開示することにより、法人の権利や競争上の地位等を害するおそれがあるものなどを不開示情報としています。

     ただし、人の生命、健康等を保護するために開示することが必要であると認められる場合には、例外的に開示されます。

  • 4) 国の安全等に関する情報(同条第4号)
    5) 公共の安全等に関する情報(同条第5号)

     我が国の安全、他国等との信頼関係及び我が国の国際交渉上の利益や公共の安全と秩序を維持することは、国民全体の基本的な利益です。このため、これらが害されるおそれがあると行政機関の長が認めることについて相当の理由がある情報を不開示情報としています。これらの情報については、その性質上、開示・不開示の判断に高度の政策的な判断を伴うことなどから、司法審査の場において、裁判所は行政機関の長の第一次的な判断を尊重することが適当であることによるものです。

  • 6) 審議検討等に関する情報(同条第6号)

     国の機関等の事務事業について意思決定を行う際には、様々な審議や検討が行われます。これらに関する情報であって、開示することにより、率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に国民の間に混乱を生じさせるおそれがあるものなどを不開示情報としています。

  • 7)事務事業に関する情報(同条第7号)

     国の機関等が行う事務事業に関する情報であって、開示することにより、当該事務事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものを不開示情報としています。

 なお、開示請求に係る保有個人情報に、これまで説明してきたような不開示情報が含まれていても、不開示情報に該当する部分を容易に区分して除くことができる場合には、行政機関の長は、不開示情報に該当する部分を除いて開示しなければなりません(保護法第15条)。

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Q7-8
開示請求をする場合、開示を求める保有個人情報を特定するために必要な事項として、開示請求書にどの程度の記載をすることが必要ですか。例えば、「○○省が保有する自己に関する保有個人情報」と記載した場合には、開示を求める保有個人情報を特定するために必要な事項が記載されていることになりますか。

A

 開示請求をする場合には、開示請求者は、開示請求書に「開示請求に係る保有個人情報が記録されている行政文書の名称その他の開示請求に係る保有個人情報を特定するに足りる事項」を記載しなければなりません(保護法第13条第1項第2号)。
 この「開示請求に係る保有個人情報を特定するに足りる事項」については、開示請求を受けた行政機関の職員がその内容から開示請求者の求める保有個人情報を識別できる程度に具体的に記載されている必要があります。開示請求者の求める保有個人情報の内容等によっても異なるでしょうが、求める保有個人情報が記録されている個人情報ファイルや行政文書の名称、個人情報の保有に関連する事務事業の名称、記録項目、取得(作成)時期、担当機関名等を適宜組み合わせて記載することとなるものと考えられます。
 個別の開示請求事案における保有個人情報の特定は、各行政機関の長が個別に判断することになりますが、設問のような「○○省が保有する自己に関する保有個人情報」といった記載の場合、観念的には開示を求める保有個人情報の範囲は一応明確になっているといえるかもしれませんが、一般的には、行政機関の活動は多種多様であって、行政機関が保有している保有個人情報の量等からみて、この程度の記載では特定が不十分であると考えられます。この場合、開示請求を受けた行政機関の長は、保護法第13条第3項の規定に基づき、開示請求者に対して開示請求書の補正を求めることになります。

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Q7-9
開示・不開示の決定は、誰が行うのですか。

A

 開示請求に対する開示・不開示の決定は、行政機関の長が行います(保護法第18条)。なお、行政機関の長が、保護法第46条の規定に基づき、開示・不開示の決定に係る権限を他の職員に委任している場合には、権限の委任を受けた職員(例えば地方支分部局の長など)が決定を行うことになります。
 独立行政法人等における開示・不開示の決定は、独立行政法人等が行うこととなっています(独法等保護法第18条)。独立行政法人等については、法人内部での事務委任が行われている場合であっても、開示決定等の名義は、法人名で行うことが必要です。

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Q7-10
開示の実施を行う場合は、どのような方法で行うのですか。

A

 行政機関が行う開示の実施は、開示請求に係る保有個人情報が記録されている媒体の種類によって、次のような方法で行うこととされています(保護法第24条)。

  • 1) 文書又は図画に記録されているとき
     文書又は図画に記録されているときは、閲覧又は写しの交付により行います。「閲覧」とは文書又は図画そのものを見せることをいい、「写しの交付」とはその写しを作成して交付することをいいます。写しの作成については、通常は複写機によることとなりますが、マイクロフィルムであれば用紙への印刷、写真フィルムであれば印画紙への印画等の方法によることとなります。なお、原本の傷みが激しいなどの理由によりそのまま閲覧に供することに支障がある場合、部分開示をするために墨塗りをする必要がある場合などには、同一性を保持した上で、原本の写しを作成し、この写しを閲覧に供したり、写しに墨塗りをしたものを閲覧に供したり、交付することができます。
  • 2) 電磁的記録に記録されているとき
     電磁的記録に記録されているときは、電磁的記録の種別、情報化の進展状況等を勘案して、あらかじめ行政機関が定めて一般の閲覧に供している方法により行います。具体的な方法としては、用紙に出力したものの閲覧又は写しの交付、専用機器により再生したものの閲覧又は視聴、FDやCD-Rに複写したものの交付などが想定されます。
     なお、開示決定に基づき保有個人情報の開示を受ける場合には、行政機関の長に対して、求める開示の実施の方法等を申し出なければなりません(保護法第24条第3項)。

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Q7-11
開示決定に基づき保有個人情報の開示を実施する場合に、不開示情報が含まれているときは、どのような方法で行われるのですか。

A

 行政機関の長は、開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれている場合には、不開示情報に該当する部分を容易に区分して除くことができるときは、その部分を除いた残りの部分を開示しなければなりません(保護法第15条第1項)。
 不開示情報に該当する部分を除く具体的な方法として、開示請求に係る保有個人情報が文書又は図画に記録されている場合には、不開示情報に該当する部分の内容が明らかにならないように、当該文書又は図画に被覆を行ったり、その複写物に被覆や墨塗り等の加工を行った上で、閲覧に供する方法や写しを交付する方法等が考えられます。また、当該保有個人情報が電磁的記録に記録されている場合には、紙に出力できるものについては文書又は図画の場合と同様の加工をして開示することが考えられます。さらに、電磁的記録として開示することを求められた場合は、不開示情報に該当する部分が明らかにならないように加工することについて、技術的可能性等を総合的に判断して開示の実施を行うこととなります。例えば、録音テープに複数の人の発言が同時に記録されている場合であって、そのうちの一人から開示請求がなされたときには、原本である録音テープを複写し、当該複写物に記録されている不開示情報に該当する部分を覆い隠す音声の追加や消去などにより、技術的に不開示情報を容易に区分して除くことができるのであれば、その範囲で、専用機器により再生したものの聴取による方法又は原本の写しの交付の方法などにより、開示を実施することとなります。

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Q7-12
開示決定に基づき保有個人情報の開示を実施する場合に、当該情報が記録されている行政文書の中に保有個人情報以外の情報も記録されているときは、どのような方法で行うのですか。

A

 保護法に基づく開示請求の対象は保有個人情報です。このため、開示決定に基づき保有個人情報を開示する場合には、同一の行政文書に記録されている保有個人情報に該当しない部分については、開示義務が課されていません。保有個人情報に該当しない部分を除いて開示する場合には、当該部分にQ7-11で説明したような加工を行って開示を実施することとなります。
 また、保有個人情報に該当しない部分を含めて開示する場合には、訂正請求又は利用停止請求の対象となり得る部分を開示請求者が認識することができるよう、開示請求に係る保有個人情報に該当する部分を明確にして開示することが必要となります。なお、開示請求に係る保有個人情報に該当しない部分に開示することが適当ではない情報が含まれている場合には、必要に応じて、Q7-11で説明したような加工をすることが必要となります。

Q7-13
特定個人情報について、開示請求することはできますか。

A

 行政機関の保有する特定個人情報については、保有個人情報と同様、保護法の規定により、誰でも自己を本人とする特定個人情報の開示を請求することができます。(保護法第12条第1項)
 なお、代理人による請求は、保有個人情報については法定代理人にのみ認められていますが、特定個人情報については、任意代理人にも認められています。(マイナンバー法第29条第1項)

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