【行政機関等個人情報保護法整備法令概要】

行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律の概要

第一 法律の概要
  本法は、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第58号。以下「行政機関法」という。)、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第59号。以下「独立行政法人法」という。)及び情報公開・個人情報保護審査会設置法(平成15年法律第60号。以下「審査会設置法」という。)の施行に伴い、関係する諸法律について所要の規定の整備を行うものである。

  解説
     行政機関法との調整措置
) 開示について、商業登記簿等、特許原簿等、訴訟に関する書類等に記録された個人情報についての適用除外
  商業登記簿等、特許原簿等、刑事訴訟法に基づく訴訟に関する書類等については、一般的な行政文書と異なり、独自の完結した体系的な開示の制度の下にある。これらの文書について認証のない写しの交付を認めることは、これらの文書に係る制度の趣旨を損なうことから、これらの文書については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号。以下「情報公開法」という。)の制定時に情報公開法を適用除外とする措置を講じている。
  行政機関法における開示請求権制度との関係についても、情報公開法における場合と同様の趣旨から、これらの文書に記録された個人情報について行政機関法に基づく開示の規定を適用除外とする措置を講じている。
) 訂正・利用停止について、商業登記簿等、特許原簿等、訴訟に関する書類等に記録された個人情報についての適用除外
  商業登記簿等及び特許原簿等については、一般的な行政文書と異なり、その内容の訂正については、商業登記簿等及び特許原簿等については変更事由が生じた際に申請すること、戸籍については家庭裁判所の許可を得て戸籍訂正の申請をすることといった、それぞれの法の趣旨から必要な体系的な訂正の制度が設けられており、これらの文書に記録された個人情報について、行政機関法に基づく訂正を認めることは、その必要性が乏しいのみならず、これらの文書に係る制度の趣旨を損なうこととなる。
  また、これらの文書は特定の権利を公証することを目的としており、行政機関法による利用停止を認めることは、これらの文書に係る制度の趣旨を損なうものである。
  刑事訴訟法に基づく訴訟に関する書類等についても、一般的な行政文書と異なり、司法部門における独自の完結した体系的な制度の下にあり、例えば、公判調書の記載の正確性につき、検察官、被告人又は弁護人は、裁判所に異議を申し立てることができる制度が設けられているなど、訴訟に関する書類等に記録された個人情報の取扱いについては、司法機関である裁判所の適正な関与の下になされるものである。
  このような観点から、商業登記簿等、特許原簿等、訴訟に関する書類等に記録された個人情報については、行政機関法に基づく訂正及び利用停止の規定の適用除外とする措置を講じている。
) 統計法等に基づく統計調査により集められる個人情報についての適用除外
      統計法及び統計報告調整法に基づく統計調査により集められる個人情報については、行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律(昭和63年法律第95号。以下「旧法」という。)において適用除外とされている。その理由としては、1)統計調査により集められる個人情報は、集計後は統計処理されることにより、個人を識別できない形で利用、提供されること、2)統計上の目的以外での調査票の使用が厳しく制限されていることなど、個人情報の取扱いに必要な制度上の規律が統計法等において整備されていること、3)統計調査については、国の行政機関のみでなく地方公共団体も調査実施者となっており、統計法等の体系に従って一体的な管理運営の下に行われていること、の三点が挙げられる。これらの理由は、行政機関法においても妥当することから、旧法と同様の理由から、行政機関法においても統計法等を適用除外とする措置を講じている。

    独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律との調整措置
) 開示、訂正及び利用停止について、訴訟に関する書類等に記録された個人情報についての適用除外
  刑事訴訟法に基づく訴訟に関する書類等に記録された個人情報について、行政機関法と同様の調整措置を講じている。
) 統計法等に基づく統計調査により集められる個人情報についての適用除外
  日本銀行が届出統計調査の実施者であること、独立行政法人統計センターが平成十五年四月に設立されたこと等を踏まえ、統計法及び統計報告調整法について、行政機関法と同様の調整措置を講じている。

   三  審査会設置法との調整措置
    情報公開審査会を情報公開・個人情報保護審査会に改組することに伴い、情報公開審査会を引用している法律の規定の整備を行ったほか、情報公開法中の情報公開審査会に係る規定の削除等を行っている。
  併せて、会計検査院法を改正し、会計検査院情報公開審査会を会計検査院情報公開・個人情報保護審査会に改組するための規定の整備を行っている。


行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令の概要

第一 本政令の概要
  本政令は、1)行政機関法、2)独立行政法人法及び3)行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成15年法律第61号。以下「整備法」という。)の施行に伴い、関係政令について、所要の規定の整備等を行うものである。

   第二  本政令による整備等の内容
  一  適用除外措置
  整備法による関係法律の改正で商業登記簿等、特許原簿等に記録された保有個人情報について行政機関法第四章の規定を適用除外としたことと同様に、各政令で規定される登記簿等に記録された保有個人情報についても行政機関法第四章の規定を適用除外とした。
  改正対象政令は、次のとおり。
・  鉱業登録令
漁業登録令
鉱害賠償登録令
ダム使用権登録令
特定鉱業権関係登録令
債権譲渡登記令
後見登記等に関する政令

  二  各省組織令等における所掌事務規定の整備
  今般の行政機関法の施行に伴い、各省ごとに個人情報保護に関する事務をその所掌事務として明記し、責任の所在を明確にすることが個人情報保護の観点から望ましいことから、各省の官房等の所掌事務に「○○省の保有する個人情報の保護に関すること」という規定を追加している。
  改正対象政令は、総務省組織令、法務省組織令等十三政令である。

  三  その他
  その他、旧法である行政機関の保有する電子計算機処理に係る個人情報の保護に関する法律を引用している政令や、情報公開審査会の情報公開・個人情報保護審査会の改組に伴い必要な規定の整備等を行っている。


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